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マクニカのグローバル Web 戦略 〜 豊富な日本語コンテンツの英語化で海外拠点をサポート〜|マクニカ 塚本氏

作成者: 佐藤菜摘|2024/05/13 13:49:03

本記事のポイント

  • グローバル展開をする以上、「日本語だけの Web サイト」というのはあり得ない。多言語化もアクセシビリティもメリットの有無以前に、対応していないことがリスク

  • 今すでにある豊富な日本語コンテンツが海外拠点でも活用できる

  • 機械翻訳はデータを活用し、人の主観に左右されない正確な情報をスピーディに発信できる

    Wovn Technologies株式会社は、2024年3月21日に株式会社マクニカ コーポレートブランディング本部 マーケティング統括部 DXマーケティング部 部長  塚本 祐子氏をゲストに迎えセミナーを開催。「マクニカのグローバル Web 戦略 〜 企業価値を向上するWeb サイトのあり方とは 〜」と題して、グローバル展開を進めるうえでの Web サイトの運用方法についてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。


【登壇者】

塚本 祐子 
株式会社マクニカ
コーポレートブランディング本部
マーケティング統括部
DXマーケティング部 部長

米国のIT企業において英語→多言語化を推進するローカリゼーションプロジェクト管理に長く携わる。その後日本に帰国、B2B業界で多様なマーケティング活動を経験。現在の業務では、グローバルにおける経験を強みに、テクノロジーを活用した国内および海外におけるマーケティング活動の支援をする。


小林 弘祐 
Wovn Technologies株式会社 
Head of Customer Relation Section

100以上の B2B、B2C 向けサブスクリプション型 SaaS サービスに携わった経験を生かし、2017年3月より Wovn Technologies株式会社に入社。セールスとして、2年間で2,000社以上の多言語化における課題に向き合い、ソリューション提案を実施。Sales、CS、Product Marketing、Sales Enablement のマネージャーを歴任。2023年より Customer Relation マネージャー。


加嶋 優
Wovn Technologies株式会社 
Marketing Department

新卒は専門商社でセールスに従事。その後、創業2期目の広告代理店に参画し、広告運用チーム立ち上げと拡大に従事。2019年からは SaaS 事業にピポッドし、PO・CS 責任者・マーケティング責任者などを歴任。現在は「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」をミッションに、インターネットにつながるデータのローカライズを行う。

 

目次

  1. 幅広い事業展開に合わせた3つの Web サイト運用
  2. グローバル展開において、多言語対応しないリスクは大きい
  3. 豊富な日本語コンテンツの英語化で海外拠点をサポート
  4. Q&A


加嶋(WOVN):
マクニカさんのグローバル Web 戦略について、お話を伺いたいと思います。塚本さん、よろしくお願いします!


塚本(マクニカ):
私は Web サイトや Web のインフラ周辺の国内向けマーケティング、およびローカリゼーションといったグローバルマーケティングを担当しています。今はマーケティング部門で働いていますが、最も長いキャリアとしては、米国の事業会社の管理部門でローカリゼーションプロジェクトの管理に携わっていました。今はそのローカリゼーションの実績とマーケティングの両方を活用できるような仕事をしています。


幅広い事業展開に合わせた3つの Web サイト運用

塚本(マクニカ):
当社は昨年50周年を迎えました。グループ売上高は1兆円を超え、全世界で4,200人の従業員がいます。81拠点・23カ国に分かれていますが、日本が最も大きく、アジア周辺をメインの市場としています。
半導体商社としての認知が高いですが、半導体だけではなく、ネットワーク製品やサイバーセキュリティ製品も扱っています。「VAD Model」という、技術的な要素でお客様をサポートしながらテクノロジーを紹介する商社モデルと、「Service and Solution Model」という、お客様の課題を共に解決するためにソリューションを提供するモデルの2つの柱で事業を行っています。


小林(WOVN):
かなり幅広い展開をされている中で、塚本さんはどういった業務がメインなのでしょうか。


塚本(マクニカ):
当社は事業部制をとっていて、サイロ化されたマーケティング部門が存在していますが、私はそこを横串で刺すマーケティング部門におります。各事業部のマーケティング活動が円滑に行えるように、全体に関わるインフラや Web サイトを私のチームが担っています。

スピードを重視して、各部門がマーケティング活動を進め、その活動を支える部分はリソースを補うためにも私たちのチームが行います。各部門の自律性とガバナンスのバランスを取るのが当社の方針です。


小林(WOVN):
塚本さんが担当されている領域を含め、Web サイトはどのような役割で運用されていますか。


塚本(マクニカ):
メインでは下記3サイトがあります。

  1. 日本のコーポレートサイト(macnica.co.jp)
    日本のお客様向けに、企業認知拡大やアライアンス開拓のため事業を紹介

  2. ホールディングスサイト(holdings.macnica.co.jp)
    投資家向けの情報を発信


  3. グローバル向けサイト(macnica.com/global/en)
    海外のお客様向けにメッセージを発信。各リージョンサイトへの遷移も行う

リードジェネレーションの目的で、実際に受注につながるようなコンテンツやお客様のお問い合わせは全てコーポレートサイトで請け負い、別のステークホルダーである投資家向けには、ホールディングスサイトにコンテンツを置いています。
グローバル向けサイトは、グローバルのお客様向けへの企業情報の英語での発信とともに、
必要なリージョンサイトに飛べるようにしているので、海外のお客様の入口の役割を担っています。


小林(WOVN):
目的とコンテンツが分かれているので、3サイト運用するのは非常に大変そうですね。


塚本(マクニカ):
そうですね。ただ、責任を持つ担当部署が違うこともあり、全てを一つにすることも難しいので、今は分けるのが一番良い形として運用しています。



 

グローバル展開において、多言語対応しないリスクは大きい

小林(WOVN):
「目的に応じてサイトを使い分ける」という運用に至るまでを振り返ります。マクニカさんと初めてお話をしたのは4年ほど前ですが、当時はどのような課題がありましたか。

 

塚本(マクニカ):
当時は、何を相談して良いかもわからないほど、3サイトをどうすべきか模索していました。グローバルサイトは完全にリージョンに任せていて、日本本社では把握しきれていない状態でした。
コーポレートサイトには日本語のコンテンツが多くある一方で、英語のコンテンツが非常に少なく、様々なコンテンツを見ようとしても、英語に切り替えた瞬間、企業情報に遷移してしまうのです。

「グローバル企業になる」という掛け声はありながら、コンテンツがグローバル化されていないという課題感がありました。ただ、全てをローカライズするリソースはなかったので、どうすれば良いかと小林さんに相談しました。ツールありきではなく、運用の考え方を教えてもらうところから入りましたね。

Web サイトのあるべき姿と課題について何度も議論しましたが、一度は導入をお断りしています。当時は WOVN.io でグローバルサイトの多言語対応を考えていたのですが、国内のビジネスの方がまだ優先度が高い状況では、リソースをかけることが難しかったからです。
半年ほど経ち、本当はグローバルサイトではなく、コンテンツが充実しているコーポレートサイトの多言語化が最も必要だと気付いた時に、WOVN.io ができることと私達がしたいことが合致して話が進みましたね。

 

小林(WOVN):
コーポレートサイトとホールディングスサイトに WOVN.io を導入いただきましたが、なぜそのような選択になったのか教えてください。

 

塚本(マクニカ):
まず多言語化を行うにあたり、新たにローカリゼーション専任担当を置くリソースはありませんでした。
ローカリゼーションマネジャーの経験から、15,000ページのコーポレートサイトを多言語化するために必要なチーム像は見えていたので、今のリソースで進めるのは現実的ではありません。したがって、何らかのシステマチックなローカリゼーションプロセスを持つサービスを利用すべきだと考えました。

私達が実現したいこと・リソース・コストを全て加味したときに、WOVN.io 以外の選択肢がなかった、というのが実際のところです。リソースや、クオリティの担保の度合いなど、要件によって企業ごとに様々な選択肢があるかと思いますが、私達の要件に対しては WOVN.io が一番合致しました。

 

小林(WOVN):
何のためにコーポレートサイトをローカライズする必要があったのでしょうか。15,000ページのコンテンツを多言語化すると、どのようなメリットがありますか。

 

塚本(マクニカ):
リソースをかけずにコンテンツが様々なチャネルに展開できる点がメリットと言えますが、実際は多言語化するメリットは非常に可視化しづらいです。「このようなメリットがあるので多言語化しましょう」という説得理由は作りづらく、どちらかというと多言語化しないリスクを考える必要があると私は思っています。

企業がグローバル展開をする以上、「日本語だけの Web サイトというのはあり得ない」と、デメリットの大きさを考えました。Web には多言語化やアクセシビリティなど様々なマスト要件があります。アクセシビリティも対応する意味があるのか?とよく聞かれますが、海外だと対応していないリスクは非常に大きいです。多言語化もアクセシビリティもメリットの有無以前に、対応していないのは企業としてまずい話だと考えています。
多言語化といってもどこまでの言語に対応するかというと、グローバル展開する企業であれば、少なくとも英語はマストかなと思いますね。

豊富な日本語コンテンツの英語化で海外拠点をサポート

小林(WOVN):
英語対応する重要性は納得できた方も多いかと思います。一方で、グローバルサイトには既に翻訳されているコンテンツがありますよね。なぜコーポレートサイトの日本語コンテンツを英語化したのか、何か戦略やローカリゼーションマネジャーの経験の中で根拠があったのでしょうか。

 

塚本(マクニカ):
グローバル向けのサイトは、コンセプトの考案やネイティブ翻訳などに時間をかけて作り込んでいます。ただ、決定的にボリュームの差があって、コーポレートサイト15,000ページに対してグローバルサイトは数百ページです。コーポレートサイトに豊富なコンテンツがあり、海外の子会社の従業員はそのコンテンツが欲しいと思っています。現地の少ないリソースでコンテンツを一から作成するのではなく、私達が定期的に日本語コンテンツを彼らに渡していけるような仕組みがあればいいなと思いました。
日本語のコンテンツを英語にすることで、投資家に事業を理解してもらったり、潜在的なお客様に商材を知ってもらう目的は当然あります。しかし、大きなメリットは、海外の子会社の従業員が自分達では作りきれなかったコンテンツを使えるようになることかもしれません。


小林(WOVN):

企業によっては、やはり人で翻訳対応する方が良いというお話を聞きますが、その点はどのように考えていらっしゃいますか。


塚本(マクニカ):
人はどうしても主観が入るので、翻訳も主観的になります。WOVN.io のようにデータをベースに翻訳すると人の主観が抜け、正確性が高まります。言い回しがナチュラルではないこともあるかもしれませんが、私達のような B2B 向けのビジネスサイトは情緒的に読みやすい文章にしてもらうより、間違っていない翻訳の方が好ましいです。また、WOVN.io のように日本語ができたら英語も同時にできるといったスピード感の方が重要度は高いと考えています。


小林(WOVN):
元言語が日本語だと難しさがありますよね。


塚本(マクニカ):
当社がコーポレートサイトをまず英語化したのも、英語をマスター言語にしたいという理由がありました。従来型の翻訳会社が英語を挟んでから他の言語に翻訳するのと同じで、コーポレートサイトのコンテンツを一旦英語にしてからグローバルサイトに展開していくことは、私達の中でも理にかなった判断でした。日本語がベースの企業が多言語化する際のキーポイントは、一旦ニュートラルなマスター言語を作ることだと思っています。それが当社の場合は英語で、そこから多言語展開するのが、中長期的な戦略になるかと思います。


小林(WOVN):
元言語を変更して翻訳のクオリティを上げようということですね。


塚本(マクニカ):
ソースが悪いと翻訳のクオリティも落ちます。ローカリゼーションの質は翻訳者やツールの質と考えがちですが、一番の肝はソースをいかに綺麗にするかということです。ソースが綺麗だと機械的に翻訳してもクオリティの良いものが出てきます。
また WOVN.io の良さは変更がクイックにできるところです。変更箇所はすぐに次の翻訳に反映されるので、属人化せずデータベースとして蓄積され、ソースがますます綺麗になっていきます。


小林(WOVN):
「Web サイト多言語化ソリューション」という新しいサービスを採用するにあたり、稟議など社内への説明はどのように行ったのでしょうか。


塚本(マクニカ):
翻訳ツールや翻訳プロセスにそこまで理解がない上席にもわかってもらえるよう、導入することで「認知向上のスピードを上げることができる」と説明しました。当社はアジア圏での拡張がはやいため、必要に応じて繁体字・簡体字など多言語化がしやすいという点も WOVN.io を採用した大きな理由の一つです。


 

Q&A

加嶋(WOVN):
ここからは視聴者の方からの質問にお答えいただきます。「3つの Web サイトの運用は何人のチームでどのように運用されているのでしょうか」

 

塚本(マクニカ):
海外部門には私の他、インフラ担当やコンテンツ担当がいます。日本部門には、コンテンツのデザインを作るメンバーもいます。合わせると、3サイトは10人ほどの少人数で運用していることになります。

 

加嶋(WOVN):
続いての質問です。「社内では機械翻訳に対する懸念が大きく、説得する方法はないでしょうか?」

 

塚本(マクニカ):
翻訳結果を見てもらうのが一番良いと思います。私達も WOVN.io の導入前に翻訳結果をチェックしました。私達のコンテンツの場合、情緒的なものを求められる訳ではないので、全く問題ありませんでした。中国語も中国の方に見てもらいましたが、全く問題ないレベルという結果でした。10〜15年前の機械翻訳とは比較にならないクオリティです。
WOVN.io だと複数の機械翻訳エンジンから言語ペアごとに最適なものが選ばれるという点も良いと思っています。

 

加嶋(WOVN):
最後に一言ずつお願いします!

 

塚本(マクニカ):
WOVN.io を選んだ1つの理由は、今後拡張していける部分なので、真の意味での多言語化を一緒に進めていきたいと思います。

 

小林(WOVN):
多言語対応は経験のない方がほとんどです。見落としがちなことに気付けるのが我々の良いところかと思います。我々はあくまで手段の一つとして、皆さんの多言語化の目的を達成できるか一緒にお話しできればと思うので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

本セミナーの全編は下記アーカイブ動画よりご確認ください。

https://mx.wovn.io/event/archive/20240321_macnica

 

Web サイト多言語化のご相談は WOVN へ

Wovn Technologies株式会社は Web サイト多言語化ソリューション「WOVN.io」を提供しています。多言語化についてご興味のある方は、ぜひ資料をダウンロードください。