本記事のポイント
SDGs を会社の定款に取り入れ、事業が成長するほど社会課題の解決につながることを目指す
サステナビリティ推進部と各関係部署で中身を詰め、広報と連携して社会課題の解決に貢献する内容を発信
ユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First」への「共感」を高めるため、企業ブランディングと商品マーケティングの2面を意識
スピーディにサイト全体の多言語化が可能な WOVN.io を導入し、限られた社内リソースで効率的に英語対応
Wovn Technologies株式会社は、2024年8月6日に「GLOBALIZED コーポレートコミュニケーション」を開催し、「サステナブル時代を勝ち抜く英語での情報発信」をテーマにセッションをお届けしました。
当セッションでは、株式会社ユーグレナ サステナビリティ推進部 部長である宮澤氏、広報宣伝部 部長 芦田氏を迎え、「サステナビリティ×広報で仕掛ける、多様なステークホルダーに向けた情報発信」と題して、ユーグレナのサステナビリティを軸とした事業展開やユーグレナが取り組む社外に向けた情報発信の事例についてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。
【登壇者】
宮澤 郁穂氏
株式会社ユーグレナ
サステナビリティ推進部
部長
米国クラーク大学、スイスジュネーブ国際・開発研究大学院(Graduate Institute, Geneva)を卒業後、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)研究員・広報担当、大手衣料品グローバルメーカーのサステナビリティ担当を経て、2023年1月に中途仲間として入社。2024年より現職。
芦田 和佳氏
株式会社ユーグレナ
広報宣伝部
部長
東京大学大学院 農学生命科学研究科を卒業後、2008年に新卒でユーグレナに入社。創業間もないユーグレナの総務・人事を担い、総務人事課長を経て、2022年広報宣伝部コーポレートコミュニケーション課 課長、2024年より現職。
目次 |
宮澤(ユーグレナ):
私はもともと官公庁関連の研究機関で環境系の研究をしており、そこで広報やプログラムマネジメントを担当していました。その後、大手アパレル企業で ESG 担当を経て、昨年1月からユーグレナでサステナビリティ専門チームを率いています。
芦田(ユーグレナ):
同じく株式会社ユーグレナの広報宣伝部の芦田と申します。2008年に新卒でユーグレナに入社し、人事・総務を担当しました。2010年から広報に携わり、現在は広報宣伝部に所属しています。
芦田(ユーグレナ):
ユーグレナは2005年12月に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功した東京大学発のスタートアップ企業です。食品、化粧品、バイオ燃料の製造販売を行い、プライム市場に上場しています。創業のきっかけは、社長の出雲がバングラデシュで栄養失調の問題を目の当たりにし、微細藻類ユーグレナ(和名訳:ミドリムシ)を使って解決しようとしたことです。
次に我々のフィロソフィーについて説明させていただきます。取り組むもの全てがサステナビリティにつながるという意味で、ユーグレナ・フィロソフィーは「Sustenability First(サステナビリティ・ファースト)」と定めています。我々のありたい姿として、事業が成長すればするほど社会課題の解決につながることを目指しています。
バングラデシュでは、現地農家を支援しながら農作物を日本に輸入するプログラムや、ユーグレナ入りのクッキーをスラムの子どもたちに無償提供するソーシャルビジネスを10年間行っています。この取り組みに賛同してくださるお客様が商品を購入すると、売り上げの一部が寄付される仕組みを整えています。
芦田(ユーグレナ):
事業領域の拡大に伴い、社外向けのコミュニケーションを強化しました。「共感」をキーワードに設定し、ファンになってもらうことを重要視しています。また「我々のフィロソフィーに共感してくださり、一緒に未来を作っていく仲間」を「ユーグリー」と定義し、特に株主や投資家、お客様、将来世代を取り込んでファンを増やしています。
宮澤(ユーグレナ):
今まではどう SDGs に貢献していくかという攻めの事業に取り組んできましたが、2022年にプライム上場企業になった上で、規定演技と言われるような守りの部分も求められるようになりました。そのガバナンスも整えながら、攻めと守りの両軸でサステナビリティを展開しています。
そしてサステナビリティ推進部と各関係部署が中身を詰め、広報と連携して社会課題の解決に貢献する内容を発信しています。ステークホルダーの共感を得るためには、我々サステナビリティ推進部と広報宣伝部が一体となって動くことが非常に大切です。またメディアリレーションだけでなく、SNS やオウンドメディアも活用しています。
芦田(ユーグレナ):
ユーグレナに共感してくれる仲間を増やすために意識していることとして、企業ブランディングと商品マーケティング2つの面があります。
企業ブランディングでは、目指す未来や課題を明確にし、様々なステークホルダーがいる中で誰の共感を得たいか、を明確にしています。そして社会インパクトを創出するために、我々がフロンティア的に取り組むことで、他社にも追随してほしいと考えております。
商品マーケティングでは、どんな社会課題を解決したいのかを意識し、研究結果やエビデンスを大事にしています。また商品開発に込めた想いやサステナビリティへの配慮にも気をつけながら発信しています。
宮澤(ユーグレナ):
情報発信の事例として、企業ブランディング、商品マーケティング、ファンとのコミュニケーションの3つがあります。
①企業ブランディング(Chief Future Officer)
企業ブランディングとして、未来世代の意見を経営に取り入れるために2019年から CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)というポジションを設置しました。彼女ら彼らが大人になったときにどういう世界を目指したいのか、どういう世界になっていってほしいのかを今の未来世代から意見を聞くために、18歳以下を CFO として経営の1ポジションに置いた取り組みです。
実際に CFO のような取り組みを採用した企業や団体が7件ほど増えました。
このようにフロンティア的に社会に提案し影響を与え、ブランディングにつなげるということが重要だと考えています。2024年からは提案型ではなく共創型の取り組みとしてアップデートし、企業ブランディングを強化しています。
②商品マーケティング(からだにユーグレナ)
「からだにユーグレナ」という食品ブランドを発売開始して5年目を迎え、フィロソフィーを体現するために2023年5月に「めぐれ健康」というスローガンで商品をリニューアルしました。これはお客さまの健康、お客様の大切な方の健康、そして我々が事業をしているバングラデシュの子どもたちの健康も考えていくことで、健康が「めぐる」という意味です。さらにはその商品が売れることで、その資本でバイオ燃料などが広がっていき、人も地球も健康になることがどんどん「めぐる」という意味でこのスローガンを打ち出しました。
③ファンとのコミュニケーション
通常の株主総会に加えて株主と交流できる展示会のような場を設け、事業やブランド商品の紹介を行っています。ファンコミュニティ「ユーグレナ エアポート」を運営し、オンライン・オフラインで熱狂的なファンの方とコミュニティを構築しています。また、年に一度のフェスを開催し、ファンとの触れ合いの機会を設けています。
(右から、サステナビリティ推進部 宮澤氏、広報宣伝部 芦田氏)
宮澤(ユーグレナ):
多様なステークホルダーを意識した発信をするために、WOVN.io を導入して日本語のコーポレートサイトを自動で英語対応しています。
WOVN.io の活用について、導入に至った経緯、現状の運用に分けてご説明させていただきます。
①導入に至った経緯
マレーシアでのバイオ燃料製造プラント建設・運営プロジェクトの始動に伴い、英語のコミュニケーションが不可欠となったり、バングラデシュのソーシャルビジネスなど、事業を英語で情報発信することが必要とされました。東証の2025年の英文開示義務化を見据え、効率的な英語化が求められたこともあり、スピーディにサイト全体の多言語化が可能なシステムに魅力を感じ、数年前に導入を決定しました。
②現状の運用
広報宣伝部が運用主体となり、サステナビリティ推進部とIR がキーワード設定や英語修正を行うなどメインで活用しています。
我々の事業の母体となる微細藻類ユーグレナの特徴に対応する用語や、サイエンスの世界における特殊な英語はやはりキーワード設定が必要です。専門性が高いのでクオリティの担保が求められます。
WOVN.io は自動翻訳のベースを活用しつつ、適宜英語の修正ができるため、現状の少ないリソースに合った運用の最適化ができています。
我々の部署以外でも、事業部が取引先とのやりとりに英語サイトを活用している事例もあります。
WOVN:
それでは、ここからは視聴者様からのご質問に回答いただければと思います。
1つ目のご質問です。
「サステナビリティ推進室、広報部はそれぞれ何名の体制でしょうか。また、それぞれの部門内でコーポレートサイトに関わる方は何名ぐらいでしょうか?」
芦田(ユーグレナ):
広報宣伝部は6名おりまして、コーポレートサイトに関わっているのは主に1名です。
宮澤(ユーグレナ):
サステナビリティ推進部はフルで2名、お手伝いしていただいている方が1名なので2.5人程度という感じです。コーポレートサイトに関わる人材としては、できる人が対応してるという形になります。
WOVN:
続いてのご質問です。
「 “ファン” や “共感” というキーワードが出ておりましたが、コミュニケーション施策についてご紹介いただいた3つ以外のもの、または新たに企画しているものなどはございますか?」
宮澤(ユーグレナ):
有機肥料やサステナブルな飼料は、この業界で何が社会課題としてあるのか、その課題をどう解決していきたいのか、なかなか理解が難しい部分があります。それをわかりやすく、目指す世界をしっかりストーリーとして伝えるというのを、事業部と一緒に取り組んでおります。啓蒙も含めた上での情報発信を強化していきたいです。
芦田(ユーグレナ):
未来世代といった取り組みでいうと、出張授業もしています。小学生、中学生、高校生にユーグレナやサステナビリティについて知ってもらうために、我々の会社がある港区や、ユーグレナを生産している石垣島を中心に授業をしています。
WOVN:
宮澤様、芦田様ありがとうございました。
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