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大林組が進める多様な人材活躍と組織づくりとは|大林組 中沢氏|GLOBALIZED インナーブランディング

作成者: 佐藤菜摘|2024/10/20 7:04:50

 本記事のポイント 

  • 企業グループの変革には、社員一人一人の多様性を包み込み、その能力を最大限に発揮する環境を作る必要がある

  • 日本と海外で技術を教え合う。言葉の壁を超えた交流がグループの強みに

  • 外国人とのコミュニケーションにおいて、お互いの心を開くために必要なのは、分かりやすい平易な語彙と伝えたい気持ち 

Wovn Technologies株式会社は、2024年8月30日に「GLOBALIZED インナーブランディング」を開催し、「外国人従業員のエンゲージメントを向上させるコミュニケーション戦略」をテーマにセッションをお届けしました。

ゲスト講演では、株式会社大林組 グローバル経営戦略室 ダイバーシティ&インクルージョン推進部長 中沢 英子氏を迎え、「大林組が進める多様な人材活躍と組織づくりとは」と題して、ダイバーシティ&インクルージョン推進部が行う組織づくり・人づくりがなぜ企業の変革にとって大切なのか、また海外グループと技術交流するための取り組みについてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。

【登壇者】
中沢 英子 氏
株式会社大林組
グローバル経営戦略室
ダイバーシティ&インクルージョン推進部長

新卒で大林組に入社。キャリアの前半は建築技術職として主に建築設計業務を支援するCAD関連システム開発と全国に点在している利用部門への利用推進展開を担当。その後、建設業における BIM(Building Information Modeling)推進活動、現在は多様な社員一人ひとりが企業と共に成長する豊かさを実感できる企業グループへの変革のために、人事だけでなく経営にコミットするためにグローバル経営戦略室でダイバーシティ&インクルージョン推進に取り組む。

 

目次

        1. 創業132年、変化に前向きな大林組のダイバーシティ&インクルージョン推進部
        2. 「進化する組織づくり」と「自律した人づくり」
        3. 海外グループ会社の建築職スタッフとの技術交流会

 

創業132年、変化に前向きな大林組のダイバーシティ&インクルージョン推進部

大林組は1892年に創業し、今年で132年目になります。国内の各地方の都市や海外にも拠点を置いております。主な事業は建築土木開発、さらに最近はグリーンエナジーにも領域を広げております。

今、私たちが求められていることは、時代の先を思い描く構想力、必ず形にしてみせるという自己実現力、一人一人に真摯に向き合う人間力です。ブランドビジョンの「つくるを拓くMAKE BEYOND」には、様々なソリューションを生み出すことで、従来の建設分野にとどまらない新たな領域を力強く拓いていくという意味を込めております。

我々ダイバーシティ&インクルージョン推進部は、代表取締役社長 橋田の号令で新設されました。この変化の激しい時代にしなやかに対応し、企業グループを変革させていくためには、社員一人一人が年齢・性差・ライフステージ・国籍・などにかかわりなくその能力を最大限に発揮する必要があります。

すでに多様性が存在している現状を皆に認識してもらい、お互いを受け入れ包み込む「インクルージョン」の精神によって、多様な個が有機的に結びつき、活性化する状態を創り出そうと伝えました。

また、人事部の配下に設立されることも多いダイバーシティ&インクルージョン部ですが、大林組ではグローバル経営戦略室の下に新設されました。その理由は企業の持続可能な進化、企業価値の創出において、以下の3点で非常に強い相関関係があるからです。

  1. お互いに受け入れ合える関係を作るとエンゲージメント向上に繋がる
  2. 多様な個が有機的につながり、活性化している組織においてはイノベーションが生まれやすい
  3. 想いや考え方が偏った方向に行くこと防げる
多くのメリットがある D&I の推進ですが、「アンコンシャスバイアス(無意識の前提)」と「特権」という2つの壁が存在します。私たちはそうした壁に真摯に向き合い、活動を推進しています。


 

「進化する組織づくり」と「自律した人づくり」

改めて、私たちの部署のミッション、ビジョン、課題です。

  • ミッション:多様な人材が活躍でき、変化に前向きな進化する組織づくりに寄与する
  • ビジョン:社員全員のウェルビーイングの実現 / 多様な人材が活躍できる企業文化の醸成
  • 課題:常に進化する組織づくり / 変化に強い自律した人づくり

今回は、「進化する組織づくり」と「自律した人づくり」という課題を深掘りします。

進化する組織づくり
主な活動として、全国に点在する建築土木の工事事務所に対して実施している「Pit-in プログラム」があります。
このプログラムは、レーシングカーがサーキットを回る際にピットに入ってメンテナンスを行う「ピットイン」に由来しており、個人と組織の成長を目的として、組織内のコミュニケーションをボトムアップで改善する活動です。
現場が始まると、着工から竣工まで現場職員はただ仕事を進める状態になり、組織の課題に目を向けることが難しくなります。そこで、私たちがその現場に入り、組織の状態を見て、改善のための行動変容をボトムアップで取り組んでいます。

プログラムでは、1サイクルあたり2.5 時間の会議を 3 回開きます。この 3 回の会議を 2 か月以内に終わらせるサイクルを回します。
実際の会議では、各自が最低 1 個の意見を付箋に書き、ホワイトボードに貼ります。これにより現状の洗い出しを行い、意見交換をしながら改善テーマを決定します。
次にメンテナンス会議で、具体的に実施した内容を振り返ります。みんなで様々な観点から内省を行います。その内省した内容をできるだけ応用が効くように概念化し、次のステップに繋げます。このようにして経験学習サイクルを回しています。

自律した人づくり
意味のある 1on1 ができるマネージャーを育成することや、育児休職中で休んでいる人とトークカフェを実施し、企業との繋がりを持ってもらう取り組みを行っています。

また最近は外国人従業員が増えているので、異文化メンタリングとして、素性が違う人たちに対してどうのように関係をつくっていくかを学ぶ研修を行っています。
これを「MILE の会」と呼んでいますが、MILE 受講者と我々が中心で行っています。多様な人材が協同する組織を目指し、MILE で学んだ D&I の意識を人材育成や組織開発につなげ、各組織に戻ってインクルーシブリーダーのロールモデルとしてサポートするという取り組みをしています。





 

海外グループ会社の建築職スタッフとの技術交流会

私たち大林組は30年以上も前から日本を飛び出し、海外の建物の建設や橋、ダムを建設しています。最近は、グローバル化、ボーダレス化、価値観の多様化などによって環境の変化といわれるようになりましたが、言葉の壁を越えて一緒に仕事をしている中で、言葉よりも心の壁の方が高くて厚いと実感しました。同じ建設技術を志す技術者同士の交流が言葉の壁を超えるというのが大林グループの強みとなっています。

自社の強みを育むために、北米支店やアジア支店のメンバー、そして国内の建築本部のメンバーが集まり、大林組の国内現場や施設を見学する合同交流プログラムを実施しています。このプログラムでは、技術力や組織力について学び、意見交換を行います。
日本国内のトップクラスの建設技術を実際に見学し、外国人メンバーに学んでもらうと同時に、外国からの技術も我々に教えてもらい、相互に意見交換を行います。タイ大林のナショナルスタッフのコメントによると、日本語の資料をタイに持ち帰り、日本語を勉強しながら日本の仮設構造物の計算手法を学び、それをタイのナショナルスタッフに技術として伝承しているそうです。

お互いの心を開くためには、分かりやすい平易な語彙と伝えたい気持ちがあれば伝わります。なので WOVN さんのような多言語化サービスがあれば虎に翼だと思います。



我々はこの3年間、全ての人が幸福を感じられるように取り組みを推進してきました。一人一人の違いを組織の成長の可能性と捉え、マイノリティの方々も自分の居場所や活躍の機会を失わないような取り組みに今も挑戦しています。

ご清聴ありがとうございました。


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