インコタームズ（Incoterms：International Commercial Terms）は、貿易における取引費用やリスクの負担範囲を明確に定めた国際規則です。
この規則は国際商業会議所（ICC）によって1936年に制定され、その後1953年、1967年、1976年、1980年、1990年、2000年、2010年に改訂が行われ、現在はインコタームズ2020が2020年1月1日から適用されています。
インコタームズ自体に法的拘束力はありませんが、世界中で便利なルールとして幅広く利用され、ほとんどの国際取引で標準的に活用されています。
それぞれの責任範囲と費用負担の範囲は、以下のとおりです。
売主が指定した倉庫や工場、オフィスで買主に商品を引き渡します。売主は商品を引き渡すまでのリスクと輸送にかかる費用を負担し、引き渡しが完了した時点で、輸送にかかる費用やリスクはすべて買主が負担する条件です。
売主は、買主が手配した運送人に荷物を引き渡すまでの費用とリスクを負担します。引き渡し場所は買主が指定した場所となります。一方、荷物が運送人に引き渡された後の費用やリスクは、すべて買主負担です。
売主は、自身が手配した運送人に荷物を引き渡した時点で、リスクの負担を終えます。その後の輸送中における損壊や紛失などのリスクは買主負担です。ただし、運賃込みの取引なので輸送費は売主が負担します。
売主が手配した運送人に荷物を引き渡した時点で、リスクが買主に移ります。ただし、指定された場所までの運賃と保険料は売主負担で、それ以降の輸入関税は買主負担です。CIP の特徴として、売主は輸送中のリスクに備えるために、ICC が規定する「最高レベルの保険」をかける義務があります。
売主は、買主が指定した場所までの費用とリスクを負担します。費用とリスクが買主に移るのは、荷物が到着し、荷下ろし可能な状態になった時点です。荷下ろし作業に伴うリスクや輸入手続きにかかる関税・消費税は、買主が負担します。
売主は、買主が指定した場所で荷下ろしを完了するまでの輸送費とリスクを負担します。費用とリスクの負担が買主に移るのは、荷下ろしが完了した後です。輸入通関やそれに伴う業務、関税については買主負担です。
売主は、買主と合意した場所までの輸送費や関税を含むすべての費用とリスクを負担します。荷物が指定の場所に到着し、荷下ろしの準備が整った時点で、買主にリスクが移ります。
買い主が手配した船の隣に荷物が運ばれるまでの費用とリスクが売主の負担です。その後は、買主が費用とリスクを引き継ぎ、輸入許可を得て荷物を運びます。
買い主が手配した船に、売り主が荷物を船に積み込むまでの費用とリスクを負担します。船への積載が完了した時点で、費用とリスクの責任が買主に移ります。
売主が商品を船積みし、買主が指定した港までの輸送費も売主が負担します。ただし、リスクは商品が船に積み込まれた時点で買主に移ります。
商品が船積みされて港に到着するまでの輸送費、および保険料は売主負担です。なお、リスクは CFR と同様、船積みの時点で買主に移ります。
インコタームズを活用することで、国際貿易における責任範囲を明確にし、取引をスムーズに進められます。
インコタームズが登場する以前は、国ごとに異なる商慣習や規則の違いから、輸送費、保険料、関税などの費用負担、商品の損壊や紛失に関するリスクの責任範囲をめぐるトラブルが頻発していました。しかし、インコタームズを利用すれば、売主と買主が負うべき費用やリスクの範囲を統一的なルールで定められるため、齟齬のない取引が可能になります。
さらに、売主と買主の理解が深まり、信頼関係を構築する一助となる点もインコタームズの大きなメリットです。
インボイスにインコタームズを記載すると、通関手続きをスムーズに進められます。
インボイスとは、売主が買主に対して取引情報を正確に伝えるための重要な書類です。請求金額や適用税率、消費税額の他、取引の詳細が記載されます。インボイスは、契約通りに荷物が納品されたかを確認する目的でも使用され、国際取引においては必須の書類です。
インコタームズを取引条件として活用する場合、見積書や売買契約書、取引基本契約書などにも記載します。「FOB Shanghai」「CFR Toyama」など、具体的な条件を明記することで、取引相手との認識の違いを防ぎ、スムーズな取引を実現できるでしょう。
インコタームズは、取引条件におけるリスクと負担を明確にするために活用されます。そのため、正確に記載することが重要です。
例えば、売主の負担が最小限となるのは EXW （工場渡し）であり、買主が輸送や通関のほとんどを引き受けます。一方、売主の負担が最大となるのは DDP （関税込持込渡し）で、輸送費や関税などはすべて売主負担です。
取引の頻度や規模、取引相手との関係性などを考慮し、利益を最大化できる規則を選んで記載しましょう。インコタームズを正確に使用することで、取引における誤解やトラブルを未然に防ぎ、スムーズな国際取引を実現できます。
そこで、多言語化ツールを活用して社内ポータルや顧客向けポータルを多言語対応することを検討してみてはいかがでしょうか。ポータルの多言語化によって言語による行き違いや誤解を減らし、業務効率を向上させることが可能です。特に継続的な国際取引では、相互理解を深め、取引先との関係を強化する上でも有用です。
インコタームズは、1936年に制定され、現在は最新版の「インコタームズ2020」が利用されています。この貿易条件を活用することで、売主と買主の間で物品のリスク移転時点や費用負担区分、輸出入通関の義務について共通認識を持ち、トラブルのない取引を実現できます。
特に新規の取引では、双方で十分に話し合い、納得のいく規則を選んだ上で進めることが大切です。
さらに、より良い国際取引を目指すためには、社内外向けポータルの多言語化も有効です。多言語開発にかかる時間や専門知識が不足している場合は、HTML に一行のスクリプトを埋め込むだけで多言語対応が可能な「WOVN.io」の導入を検討してみてください。
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インコタームズを活用して国際貿易の責任範囲を明確にするとともに、多言語化ツールを導入して情報共有やコミュニケーションを促進することで、取引先との信頼関係を深め、国際取引を円滑に進めましょう。