田中貴金属グループの中心となる持株会社として、グループの戦略的かつ効率的な運営とグループ各社への経営指導を行っている TANAKAホールディングス。従業員へ社長の思いを伝えるメッセージ動画の英語字幕対応を行うため、WOVN.video を導入しました。WOVN.video だからこそ、動画配信期日までの限られた時間と工数の中でスピーディに英語字幕対応が実現できたというお話をお伺いしました。
<目次>藤本:
当社は、2016年にスイスの貴金属精錬大手の「Metalor」をグループ会社にしたことで、従業員規模が約5,000名になりました。グループ全体でみると、約3割が外国籍従業員です。今回 WOVN.video で英語字幕対応を行った社長メッセージ動画も、少しずつではありますが海外の従業員も閲覧できる環境になっています。
従業員向けの多言語対応として、社長メッセージ動画とレターを日英で毎月配信しています。その瞬間の思いを伝えたい場合は動画、文章できちんと残したい場合はレター、というように用途を使い分けています。
社長メッセージ動画は、現社長が就任した2020年から配信を開始しました。開始当初は、基本的に日本語のみで配信し、新年の挨拶など節目のタイミングのみ英語字幕対応を不定期で行っていました。本格的な英語字幕対応が始まったのは、動画配信開始から約1年が経った頃でした。英語字幕対応は、グループ規模の大幅な拡大や、新社長就任と同時に新たに始まった「TANAKA ルネッサンスプラン(TRP)」*を社内浸透させたいという思いからでした。
* TANAKA ルネッサンスプラン(TRP):TANAKAホールディングスが2021年にスタートした、創業200年となる2085年に向けて持続可能な社会や超長期の企業経営を目指すプラン
藤本:
これまでの英語字幕対応は、日本語字幕を Google 翻訳にかけた結果を貼り付けるだけの、粗い対応でした。ですので、「この表現は変だな」とか「意味が通じないな」という翻訳は、正直いくつもありました。
また通常は毎月10分程度の動画を配信しているのですが、年に一度4月だけは1時間弱の大掛かりな動画を出しています。この動画は他の動画に比べて視聴率が高いこともあり、外国籍従業員から「この翻訳は違うんじゃないか」と翻訳について意見をもらうこともありました。ただ一方で、当時は少なからず英語字幕対応しているということそのものに満足している部分もあったと思います。
そんな中、昨年末に私は現在の部門へ異動になりました。異動前から英語字幕対応を手伝っていたのですが、これを機に次の長尺動画作成のタイミングまでに英語字幕対応をなんとか改善できないかと考えていました。
米井:
従前の英語字幕対応は、別の担当者が日本語字幕を英訳して、私が英訳を動画の適切なタイミングに当てはめるという流れでした。
特に動画編集ソフトを使ったわけでもなく、パソコンのメモ帳機能を駆使して、英訳テキストファイルの時間部分を頼りに動画を見ながら、手作業で英訳を当てこんでいくという作業でした。他の業務の合間を見ながらやっていたので、相当時間もかかっていましたね。また、10分動画ならまだしも、4月分は1時間ですので、動画を見ては巻き戻して、字幕をつけて、という作業をひたすら繰り返していました。何度動画を見返したかわかりません。とにかく人がやる作業ではなかったです(笑)
藤本:
英語の翻訳精度が高かったことが、WOVN.video 導入の大きな決め手の一つになりました。
実は当社では WOVN さんの Web サイト多言語化ソリューション「WOVN.io」を、当社創業 200 年を迎える 2085 年に向けたプロジェクトサイトに導入している実績があります。サイト内容がだいぶ 遠い未来の話なので、漠然とした表現や、ふわっとしたニュアンスがかなり多く含まれています。その文章を英訳した時に、このレベルであれば十分に意図が伝わるという印象を受けました。海外に在住していた経験から英語の読み書きは不自由ないレベルにあることもあり、この翻訳精度には非常に満足していました。それで、動画の英語字幕対応もお願いしてみようとなり、今回 WOVN.video を導入しました。
加えて、翻訳精度だけではなく、動画字幕多言語対応のトータルパッケージとしての利便性も決め手でした。日本語原稿を英語に翻訳するだけであれば、それこそ翻訳会社さんにお願いすることもできます。ですが翻訳会社にお願いする場合、メールでのデータのやり取りに加え、英訳を字幕対応ファイルに書き換え、話している秒数だけ字幕を表示させるよう動画に当てこむ、という工程がありますので、どうしても細かな手間が膨大にかかってしまいます。
その点 WOVN.video は、“英語字幕を作成する”という最終目標に対して利便性が高いソリューションだと感じています。動画アップロード、日本語文字起こし、英訳対応、字幕ファイルのダウンロードまでの全工程を見ていたからこそ、字幕生成部分を WOVN.video で完全に切り出していただけてすごくありがたかったです。
藤本:
WOVN.video は、元動画をアップロードすれば、話者が話している秒数だけ、英語字幕がついてきたものが作成されます。それでも多少の修正はありますが、作業工数は月とすっぽんほど違いますね。動画を見て巻き戻して、みたいな作業がゼロになったので、昨年と同様のやり方をとっていたら、完成までにもう2〜3週間はかかっていたと思います。
翻訳精度は、以前のクオリティと比較して格段に良くなりました。これまでは、翻訳の“修正”ではなく、もはや“書き直し”でした。今年の動画は納得できる翻訳が提供できて良かったです。
正直、去年の動画の英訳の完成度は6割程度、言いにくいですが未完成のレベルでした。それに加えて、今年4月にはオフィス移転や会社イベントがいくつか重なっていました。それにも関わらず、動画配信日までの限られた工数の中で、昨年よりも完成度の高い動画を作成することができてとても満足しています。
米井:
もし WOVN.video がなかったら、4月の動画の英語字幕は諦めていましたね(笑)。
藤本:
また昨年のように、外国籍従業員からの英語字幕に関する指摘は今のところは一件もきていません。
WOVN さんのサポートに関しては、正直そこまで問い合わせることがありませんでした。『元動画をアップロードしたら適切なタイミングに英語字幕の付いた動画が生成される』という、WOVN.video は使い方が非常にシンプルだったからこそですね。
(取材日:2024年5月)