石灰石などの無機物を主原料として、プラスチックや紙に代替できる新素材「LIMEX」を開発する TBM。新素材開発のユニコーンベンチャーとして世界中から注目されています。
「2030年までに100万トンの LIMEX とプラスチックを50カ国で循環させる」という目標に向け、コーポレートサイトの多言語化は欠かせませんが、人的リソースが足りず十分な情報を発信できないという課題を抱えていました。そのような中、WOVN.io の導入によってコスト・工数を抑えた多言語サイトの構築・運用を実現し、海外に向けたブランディング・海外営業の後方支援に寄与できた、というお話を伺いました。
<目次>
酒井:
今回 WOVN.io を導入したのは当社のコーポレートサイト(https://tb-m.com/)です。多言語化によって、世界中の顧客や販売・生産パートナー、投資家など多様なステークホルダーに向け、LIMEX の情報を正しく・タイムリーに伝えることを目的としています。
ステークホルダーとのコミュニケーションチャネルの中心にコーポレートサイトを据えているので、海外展開を更に強化していくうえで多言語化は必須でしたね。
海外戦略としては、2030年までに50ヶ国で事業を展開することを目指しています。LIMEX はファブレスモデルで、素材を作る設備や成形機さえあれば、世界中どこにでも製造拠点を構築できるんです。だからこそ、コーポレートサイトを通じてしっかりとブランディング・PRすることが、事業を大きくするうえで重要でした。
そんな背景から、元々一部の情報を多言語で発信していたのですが、その量は決して十分とは言えませんでした。英語は日本語の半分程度、中国語やベトナム語はたったの1ページでしたね。なんとかしたい思いはあったのですが、私自身は中国語やベトナム語は分からないですし、コーポレートサイトの更新以外に様々な業務がありますので、付きっきりになるわけにもいきませんでした。
中野:
そのような中、コロナ禍の収束に伴い、営業が直接海外に出向いたり、海外の展示会に出展したりと、海外との行き来もしやすくなってきました。この機を逃さず海外展開を加速させるためには、コーポレートサイトの情報を多言語で充実させることが急務だと考え、何か手段はないかと検討を始めました。
私は Web サイトのシステム面を担当しているのですが、海外拠点ができる度に新たにサイトを開発するのは、リソース・運用負荷の観点から避けたいと思っていました。当社の日本語のページは300ほどありますが、これを3言語で公開するとなると単純に3倍の時間とコストがかかります。
今後、海外拠点の拡大に合わせて対応言語も拡張していきたいと考えている中、全ての言語分のサイトをスクラッチで開発・運用していくのは到底無理だろう、と感じていました。
酒井:
Web サイトを Google翻訳の API で繋ぐことも考えました。これだとコストは抑えられますが、言語別に URL を変えたり、画像やコンテンツを出し分けるローカライズ対応をしたりすることができないので、採用には踏み切れませんでした。
酒井:
最適な手段を検討する中で、とある企業が WOVN.io を使っているのをみたのがきっかけで WOVN を知りました。Web サイトをみると、数々の大手企業への導入実績があるようで、圧倒的に信頼感がある会社だなと思いました。実際に問い合わせて営業の S さんから話を聞いたのですが、S さんはコミュニケーションがとりやすく、わからないことがあったときにも素早く対応いただけました。導入時・導入後にもサポートの方がついてくださるとのことで、「この会社なら大丈夫そうだ」という安心感に繋がりましたね。
中野:
機能面では、コードが読めない人でも簡単に使える UI/UX が素晴らしいと思いました。
私たちは単に Web サイトを翻訳したかったのではなく、ブランディングに寄与する Web サイトの多言語化を行いたかったので、ローカライズ、たとえば言語別にコンテンツを出し分ける、などに取り組みたい思いがありました。
WOVN.io では、ワンクリックでページの表示・非表示を選択できたり、画像を差し替えたりすることができるので、操作性が良く、社内で幅広く活用していけそうだと思いました。
導入検討を進めるうえで、当然、同じことができるソリューションはないかと調べてみたのですが、WOVN.io 一択だという結論に至りました。WOVN.io の競合になるとしたらスクラッチ開発になりますかね?私たちのやりたいことを、低コスト・スピーディに運用負荷をかけることなく実現できるのは、WOVN.io だけでした。
そんなわけで導入を決めたのですが、実は導入時の記憶がほとんどありません(笑)。WordPress のプラグイン方式で導入しましたが、それだけ簡単だったということですね。ただ、導入後にはいろいろと問い合わせをさせてもらいました。そのとき対応いただいたのがサポートの T さんなのですが、これまたスピーディかつ丁寧に、先回りした回答をいただけて、非常に助かりました。
中野:
WOVN.io の導入後、元々1ページしかなかった中国語やベトナム語のサイトは300ページになり、日本語と同等の情報をリアルタイムに発信できるようになりました。
結果的に、インドネシアやタイなどアジア圏からのアクセス数増加に繋がっています。
また WOVN.io の機能のひとつである、コスト削減や時間短縮の度合いを教えてくれるダッシュボードによると、WOVN.io の導入によって削減できた時間はなんと 6,000 時間以上のようです。
1ページずつ、各言語分、人が翻訳してチェックして公開する、というフローでやっていたら、Web サイトの多言語化は未だにできていなかったでしょうね。
酒井:
このダッシュボードは、WOVN.io を使い続けるべき理由を社内で説明するためにも使えるのでとても便利です。
コストや時間の削減効果をそのまま稟議に書いて、定量的な成果のひとつとして報告することができます。
このほか、WOVN.io を導入したことで、コーポレートサイトを経由してくる外国の方からのお問い合わせの質が良くなったように思います。
以前よりも情報を網羅的に発信できているので、TBM や LIMEX についてある程度理解したうえで知りたいことをピンポイントでお問い合わせいただけるようになったんだと思います。
更に、海外営業の工数削減という意味でも役立っています。コーポレートサイトに書かれている情報が正しく、またそれが多言語で発信されているので、営業が自ら説明しなければならない情報の総量が減り、手間を省けていると思います。
元々、コーポレートサイトの問合せ導線により見込顧客やパートナー企業の流入を増やしたいという考えは強くなく、TBM・LIMEX 自体のブランディング・営業活動の後方支援の意味合いが強かったので、狙いどおりの成果を得られました。
多言語対応の ROI を可視化する WOVN.io のダッシュボード(イメージ)
酒井:
海外でのLIMEX は、直販と商社や代理店経由での販売がほぼ同じぐらいであり、今後は様々なパートナーを通じた販売比率は伸びていく予定です。そうした販売パートナーが LIMEX の紹介サイトを作ってくださることもあるのですが、その際に私たちのコーポレートサイトの情報を参考にしてもらえれば、エンドユーザーに正確な情報を届けることができるので、情報共有のコミュニケーションコストの削減・情報統制にも役立てられています。
ただ、海外の販売パートナーだけにプロモーションを任せっきりになってしまうと、たとえば「LIMEX」と検索したときに、販売パートナーのサイトが検索結果の上位にきてしまう、なんてこともあるので、それを防ぐためにも海外 SEO 対策を意識した多言語化ができる WOVN.io が必要でしたし、今後も更なる言語拡張を行っていきたいですね。
中野:
WOVN.io のおかげで多言語サイトの運用を自動化できているので、構築・運用にかかるはずだったリソースはまるっと空いている状態です。この浮いたリソースを上手く活用して、地域ごとに表現を変えたりコンテンツを出し分けたりするような“ローカライズ対応”を強化していきたいですね。
WOVN なら、Web だけでなく画像の翻訳なども対応可能と聞いているので、そうした部分でもお願いしていけたらと思います。
酒井:
「2030年までに100万トンの LIMEX とプラスチックを50カ国で循環させる」という目標を達成するには、多言語化は必須です。サイト構築・運用は WOVN に任せて、私たちはより事業の根幹に関わるような業務に注力できる体制をキープしていきたいです。
(取材日:2023年9月)
URL:https://tb-m.com/
言語:日本語 → 英語、中国語(簡体字)、ベトナム語