全国40都道府県に営業地域を拡大しているドラッグストア、ツルハホールディングス。世界中に2,000を超える店舗を展開する中、今後もさらなる店舗展開を目標に掲げながら、お客様の健康で豊かな暮らしづくりを支えています。今回、海外投資家向けに IR 情報を即時に英語で発信するべく WOVN.io を導入しました。導入後、ボリュームのある決算情報の英語対応をスピーディに行えるようになったことで、“タイムラグなく”日英同タイミングでの情報発信を実現できた、というお話をお伺いしました。
現在、ツルハHD の海外投資家比率は4割を超えています。今回の多言語対応は、まさに既存の海外投資家がメインターゲットになっています。投資家に届ける情報は、日本国内と海外において差異なく平等であることが大前提です。そのため、言語に関係なくツルハHD すべての投資家に向けて、日英での決算情報発信を即時性を持って行いたいという思いがきっかけでした。
WOVN.io 導入前からもともと決算短信・決算説明会資料は PDFで開示をしており、英語化は、翻訳会社に依頼して対応していました。流れとしては、日本語版の決算短信の内容がある程度固まった段階の資料を第一稿として翻訳会社にお渡しします。その後、第二稿を送付、プラスで内容の修正があるたびに都度追加資料をお送りし、翻訳していただく形をとっていました。
ただ、特に決算説明会資料については、第一稿としてお渡しする資料は決算の数値部分のみが固まっている状態なんです。説明部分の内容は発表ギリギリまで固まらないという弊社側の事情もあって、決算発表間近のタイミングで翻訳ボリュームが大きい部分を一気にどばっと翻訳会社へお渡しすることになってしまい、日英で同タイミングに情報発信することが難しいことを課題に感じていました。結果的に、日本語版と英語版での情報発信に1週間ほどのタイムラグが発生してしまうこともありましたね。
限られたリソースの中で、決算短信・説明会資料のみを英語対応するだけでもやっとの状態でしたが、これらこそ即時性が求められる資料ですので、日英の発信に1週間もタイムラグが発生してしまう状況は早く改善しなければいけないと感じていました。
決算資料のスピーディな英語対応・日英での同時発信を追求する中で、そもそも決算資料のみの英語対応だけでは足りないのでは、という声が社内であがりました。IR 情報だけでなく、コーポレートサイトにあるツルハHD の情報を網羅的に海外投資家にも発信するべきではないかと。
特に海外投資家は、サステナビリティへの取り組みに対する関心が非常に高いです。弊社は3年ほど前からサステナビリティの取り組みを紹介するページを設けていました。そこで、IR 情報だけでなく、サステナビリティの取り組みやコーポレートサイトの内容を網羅的にスピーディに英語対応できる多言語ソリューションを導入しようとなりました。
WOVN さんについては、とあるセミナーで登壇されていたことをきっかけに知りました。ただ、当時は多言語ソリューションの検討段階ではなかったので、すぐに問い合わせとはならなかったのですが、社内で IR 情報やコーポレートサイトの英語対応が課題として顕在化したタイミングで、WOVN さんのサービスを思い出し、資料を取り寄せたところから具体的な導入検討が始まりました。
導入の決め手は、やはり“スピード感”ですね。翻訳元となる資料やコンテンツを日本語で作成するだけで、コストとリソースを抑えながらスピーディに英語版が作成される、まさに弊社が求めていたことが実現できるようになります。サイト内に情報更新があった場合も同様に、WOVN.io が更新を自動検知し、更新部分のみをスピーディに英語対応ができる点も良かったです。
WOVN.io を導入し、翻訳会社を介したやりとりを削減し機械翻訳を上手く活用して英語対応にかかる時間を大幅に短縮できたことで、今回の四半期決算では同日・同時刻に日英で決算短信や決算説明資料などの IR 情報を発信することができました。決算短信の初稿から最終稿作成、加えて英語対応までにかかる一連の作業工数は半分ほどに削減することができました。
基本的に機械翻訳と用語集機能を使って英語化しているのですが、あらかじめ『このサイトは機械翻訳機能を使っています。』という機械翻訳モーダルを表示させていることで、翻訳品質のコントロールを行っています。そうすることで、これまでに致命的な誤訳が発生したり、クレームにつながったりという問題が起きたことはないですね。
IR 関連情報が英語化されたことで、それを見た投資家からお問い合わせをいただく機会も増えました。また間接的な効果になりますが、日本の証券会社に海外投資家や企業からお問い合わせがあった際、英語化されたコーポレートサイトを“ツルハHD について深く理解できる資料”としてご案内していただいていることもあると思います。
WOVN.io に関して普段よく使うのは「ライブエディター機能」と「リンク置換機能」ですね。「ライブエディター機能」は、IR 情報の細かな修正を加える際によく使用します。実際の画面を見ながら翻訳修正を行うことができる、ユーザビリティが高い機能です。
html 化されている部分だけでなく、PDF 資料の翻訳もお願いできることも WOVN の魅力のひとつだと思います。決算説明資料や人的資本経営などは WOVN さんに人力翻訳を依頼してファイルの英語対応を行っていますが、こんな感じに IR まわりの翻訳をまるっと一元化できるのでありがたいですね。
また「ライブラリ方式」の導入で、多言語サイトを検索エンジンにもインデックスさせられるのもありがたいですね。今後の海外からの自然流入も見込めて、企業認知度を高められるような環境を構築できたと思います。日本語サイトのドメインパワーを引き継いでインデックスされることも強いメリットの一つだと感じました。
英語対応にあたって、“時間的制約と手の足りなさ”が課題となっていたので、WOVN.io のような多言語サービスがなければ、他部署に手を借りながら、会社トータルでの工数がものすごくかかっていたと思います。同日・同時刻の日英発信は絶対できていなかったでしょうね。
今は決算短信や業務ハイライトなど IR 情報の一部のみを英語対応を行っていますが、今後は統合報告書や他の適時開示情報など、翻訳ボリュームの大きい資料も英語対応していけたらと思います。また、海外投資家向けではなく、拠点のあるタイの顧客や社員に向けて統合報告書をタイ語で発信することも検討しています。英語対応の範囲を徐々に拡大していき、海外事業展開の推進にもっと役立てていきたいです。
(取材日:2023年7月)
■WOVN.io を導入いただいた Web サイト
ツルハホールディングス コーポレートサイト:https://www.tsuruha-hd.com
元言語:日本語
対応言語:英語