日本国内での外国籍運転免許保有者数は年々増加しつづけ、2018年には約90万人*の在留外国人が運転免許を保有していると発表されています。
ジップラスが運営する合宿免許ポータルサイト「アイディ」では、海外の運転免許をすでに保有している、またはこれから運転免許を取得予定の在留外国人のために、日本の運転免許制度を外国語で説明したり、外国語対応をしている教習所の案内を行っています。
ジップラスは、日本で暮らす在留外国人に、車がある生活で日常をより豊かに過ごせるように、との思いでアイディに WOVN.io を導入し、英語、簡体字、ベトナム語で展開しました。
今回は、多言語化を行った背景や多言語化で工夫された点、そして今後はどんなサービスを展開していく予定なのか、お話を伺いました。
(*1 内閣府 https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r01kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_03.html )
飛躍的に伸びている在留外国人市場と多言語化のニーズをキャッチ
ホップ:私はアイディのベトナム語対応を担当しています。アイディに掲載されているベトナム語のチェックや、ベトナム語での問い合わせがあった際に、窓口として情報を案内しています。
辻原:私はもともと日本人のお客様のオペレーションを対応していたのですが、外国人事業部署が強化され、現在は外国人事業部署と国内チームととりまとめるポジションを担当しています。
金坂:ベトナム語を中心に社内の外国人事業部署は今、急激に成長しています。これは、在留外国人からの合宿免許に申し込みたいという問い合わせや申込が増加しているからです。市場の流れと在留外国人のニーズを素早くキャッチ出来た事、また弊社の Web サイト合宿免許アイディを多言語化した効果だと思っています。
現在では90万人を超える在留外国人が日本で運転免許を取得しています。その状況を鑑み、全国の自治体の多くで、英語、中国語など受験人口が多かった言語に加えて、ニーズが高まっているベトナム語での運転免許試験の受験が可能になってきています。
合宿免許情報を多言語化した結果、申込数は2倍以上に増加
金坂:在留外国人が運転免許を取得するためには、母国で運転免許を取得している場合、その外国の免許を日本の免許へ切り替える方法と、日本の教習所に通い、教習所を卒業して、運転免許試験に合格する方法の2通りがあります。
ただ、外国人には、日本の免許制度や教習所で免許をとる流れ等、特に合宿免許などはなかなか理解してもらえません。通学免許と比べて外国人からの要望のある“早く”・“安く”・“確実”に免許取得できる方法として合宿免許の説明をするとまさにニーズと合致して、弊社を通じてお申込みいただけるため、これらの情報を多言語で発信する必要があると考えたのです。
結果、教習所の情報を多言語化で発信してから、アイディでの在留外国人の合宿免許申込数は2倍以上に増加しました。
ただ翻訳するのではなく、ターゲットを具体化し意識すること
辻原:申込数が伸びた理由は、合宿免許に関する情報を単純に外国語に翻訳したから、ではありません。最も意識したことは、ターゲットに応じた“情報のカスタマイズ”でした。なぜなら、日本で運転免許を取得する日本人と在留外国人は、それぞれターゲットが異なるからです。
日本人の場合、主なターゲットは大学生です。夏休みや冬休みを利用して、短期間で運転免許を取得することができるからです。一方で、在留外国人の場合、主なターゲットは社会人です。就労のために来日しているケースが多いので、お仕事の関係から取得する場合は特に勉強に対する意欲も高かったりします。
なので、学生向け、社会人向けと伝え方を変えたり、在留外国人が知っておくべき内容を強調したりと、ターゲットを意識した情報発信を心掛けました。今後はコンテンツ自体もそれぞれ異なるものを発信しようと考えています。
日本人と在留外国人のターゲットの違いを理解し、ターゲットにあった情報を発信することでで、アイディが発信している合宿免許の情報を深く理解してもらうことにつながりました。
ホップ:最新の情報を素早く伝えることも大事です。
アイディは合宿免許に関する情報を頻繁に更新しているので、全ての情報を人の手で翻訳することが困難でした。ですが、WOVN.io は更新された部分を検知し、随時機械翻訳で多言語化されますし、管理画面上やライブ編集機能を使って部分的に修正することも可能なので、更新された新しい情報を“素早く”、大事な情報を“正しく”在留外国人に届けることができます。
自然流入数は2倍以上に増加、オペレーション効率も格段に飛躍
辻原:多言語化を行ってから、外国語での問い合わせが飛躍的に伸びました。正直、対応が追い付かないところもあるんです(笑)。
WOVN.io を導入してから、自然流入数が2倍以上も伸びたからです。
WOVN.io は海外 SEO 対策も可能です。おかげさまで十分すぎるほどアクセスいただいていますし、問い合わせも増えました。
お客様へメッセンジャー等でのやり取りの場でも、多言語ページが威力を発揮し、一つ一つタイピングし、回答していたことも、こちらをご覧あれで、より詳細に正しい情報を提供できるようになりました。今までは日本独特の制度やルールについて、ザクっとした説明しか出来ず、認識違いからクレームになることもあったので、この辺りは導入効果がはっきりと出たなと思っています。
今後はまだまだ問い合わせの少ない、中国語での問い合わせを増やしたいと考えています。なので、削減できた広告費を中国向けの広告費として WeChat や Weibo も活用しながらプロモーションを進めていきたいと思います。
多言語化を皮切りに、業界を動かす
金坂:アイディの多言語化を皮切りに、私たちは運転免許業界に、新しい風穴を開けています。たとえば、繁忙期と閑散期。教習所は日本人大学生の夏休みや冬休みの時期が繁忙期になりますが、在留外国人は、年間を通じて申込があるので、在留外国人を集客することによって、全国の合宿免許教習所が悩んでいた閑散期を失くすことができます。
多言語化の効果や、在留外国人の集客力・送客力を評価いただき、弊社と提携する教習所の数も全国的に増加しました。数もそうですが、教習所内の教職員としての外国人スタッフの雇用、指導員養成の動きも出てきております。
先日、アイディと提供している教習所にお伺いしたのですが、その教習所にベトナム人の指導員が初めて誕生したと嬉しいお話がありました。ベトナム人の指導員が加わったことで、その教習所では技能教習をベトナム語で受けることができるようになったんですよ。
また、今年の夏には新しく多言語の動画コンテンツをリリースする予定です。教習所で学ぶ運転技能や知識について、多言語で学べる機会を一部の教習所だけでなく私どもがご紹介する全てのお客様に向けてサポートしたいと考えています。丁度、本年より自動車教習所でもオンライン学科がスタートする予定ですので、時期的にも良いなと思っております。
全ての人に、車のある幸せな人生を応援
金坂:在留外国人のための新しい取り組みはまだあります。これまでは日本で免許を取得するための情報を発信していましたが、これからは母国で既に免許を取得している在留外国人のためのサービスも展開する予定です。
在留外国人が母国で取得した運転免許証を日本国内で使用するためには、外国運転免許証の日本語翻訳文の提出が必要です。現状、翻訳文を作成できるのは、外国行政庁(当該外国運転免許証を発給している行政当局)、当該外国の在日大使館/総領事館、一部の言語に関しては一般社団法人日本運転連盟(JAF)とされていますが、今後はジップラスも日本語翻訳文の作成が可能になる予定です。翻訳文が発行できるようになれば、在留外国人の運転免許証に関する悩みを、今まで以上に解決できるんじゃないかと考えています。
ジップラスは、「全ての人に、車のある幸せな人生を応援」というスローガンを掲げています。
運転免許に関する情報を発信し続け、課題を共に解決する、そして人々の幸せな人生を支えたい、今こそスローガンに少しずつ近づいていると実感しています。
ジップラスが成長できたのは、市場のニーズをうまくキャッチして、アイディの多言語化、そして新しい取り組みを行ったからなんですよね。今後も在留外国人のための新しい取り組み、サービスを提供し続け、さらに成長していきたいと思っています。WOVN さんとは長いお付き合いになりそうです(笑)。
(取材日:2021年5月)
■WOVN.io を導入いただいた Web サイト
合宿免許の専門サイト【アイディ】
URL:https://i-drive.jp/
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