Web サイトを活用して、コンテンツマーケティングを行う企業は増えてきました。なかでも、海外に事業を展開させようと考える企業は増加傾向にあり、対策として「海外 SEO」に興味を持つ企業も近年は多くなっています。
本記事では、海外 SEO の概要や、日本の SEO との違い、メリット・デメリットなどを紹介します。
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海外 SEO とは、外国人ユーザーに向けてサイトを最適化する取り組みのことを指します。主に Google などの検索エンジンで自社の Web サイトを上位表示させて、外国人ユーザーに自社の商品やサービスの情報を届けることが目的です。
海外は、日本とは異なる規制、法律の場合があります。また、国によって、主流の検索エンジン、コンテンツ嗜好が日本と異なるケースもあります。海外SEOを展開する際には、これらの違いに留意したうえで、具体的な対応を実施する必要がありますが、成功すれば外国人ユーザーの流入を大幅に増やせるなどのメリットを得られます。海外への事業展開を検討する企業にとって、一般的に行われている マーケティング施策となっています。また、 Web サイトを多言語対応する際にも実施され、海外向けに情報提供を行うための方法としても活用されています。
対象となる国によって対応が変わってきます。
たとえば、日本で多く利用される検索エンジンは Google や Yahoo!JAPAN が主流です。Yahoo!JAPAN の検索エンジンは Google と同じアルゴリズムを流用しているため、Google 検索エンジンに対する SEO 対策がメインになります。
一方で、海外は国別にシェア率の高い検索エンジンは異なり、たとえば、中国では「百度」、ロシアでは「Yandex」、英語圏では「Google」などが使用されています。そのため海外 SEO を成功させるには、国別に主流となっている検索エンジンをチェックし、それに応じた SEO 対策が求められるでしょう。
また、地域によって好まれるコンテンツが変わってきます。
日本で人気のあったコンテンツだからといってそのコンテンツを翻訳しただけで、海外で受け入れらるというわけではありません。その地域にあった人気のあるコンテンツの傾向を把握し、コンテンツを制作する必要があります。
海外 SEO を実行することには、さまざまなメリットがあります。以下では、海外 SEO を行うことによって得られるメリットを解説します。
海外 SEO を成功させれば、検索流入数やコンバージョン数などを増やせるため、見込み顧客が増えやすくなるというメリットがあります。 SEO 対策を行う前と比べてより多くのユーザーに Web サイトを閲覧してもらい、海外でもる自社商品やサービスの知名度を高められるでしょう。
また、検索順位の上位表示され続けることで、その間は追加の集客コストをかけずに集客し続けることができます。結果的に新規の外国のユーザーを獲得する際のコストを抑えることが可能です。
海外 SEO を成功させることは、自社のブランディング効果にもつながります。検索エンジンを使うたびに自社の Web サイトが上位表示されるようになれば、ユーザーの認知を海外まで広げることができ、ブランディングの強化が可能です。また、検索した内容に対して適切な回答をしている Web サイトは上位表示されやすくなるため、上位表示されることである程度の信用を得られユーザーが良い印象を持ち、信頼を感じることにつながります。
海外 SEO の実施には、いくつかのデメリットもあります。以下を参考に、デメリットについても理解しておきましょう。
海外 SEO を実施する際には、言語ごとの独自 URL の設定、 Web サイト内の文章を翻訳するためのコストなどがかかります。管理するサイトも増えるため、社内における運用コストも増加する点にも注意が必要です。
また、SEO で成果を出すには長期的な視点を持つ必要があるため、ランニングコストが膨れあがる可能性があります。導入時にかかる一過性のコストだけに注目するのではなく、運用にかかるあらゆるコストを踏まえて海外 SEO を実施するのがポイントです。
海外 SEO を実施したとしても、必ず結果が出るわけではありません。場合によっては多くの人員と時間的コストをかけたのに、海外で全く認知されないというケースも考えられるでしょう。海外 SEO は思う通りの結果を出すことが難しい分野です。とくに SEO に関するノウハウが少ない企業は注意が必要です。
たとえば、質の低いコンテンツが制作された場合、検索エンジンのクローラー(サイトの情報を読み込むロボット)がその内容を正確に読み取ってくれず、思うように検索順位があがらない懸念があるでしょう。
海外 SEO を成功させるには、検索エンジンやコンテンツ選定のほかにも、実施前に意識すべきことがあります。以下を参考に、海外 SEO の実施時に把握しておきたいことを確認してみましょう。
海外 SEO を実施する際には、まず質の高い翻訳を行って自社コンテンツを外国人ユーザーにもわかりやすい形に制作することが重要です。具体的には、言語に対するネイティブな人材がコンテンツを翻訳し、対応国別にわかりやすい形に整える必要があるでしょう。
機械翻訳なら翻訳コストを抑えることができるため、海外 SEO におけるコスト負担を抑えやすくなるでしょう。一方で、機械翻訳を活用した場合は、誤訳や訳文が急に抜け落ちてしまったり、原文にない内容が訳文にあらわれたりといったことが起こる場合もあるため、一度チェックを行うことが必要です。機械翻訳と人力翻訳の使い分けの詳細は「【具体例付き】機械翻訳と人力翻訳の意外と知らない使い分け!」をご覧ください。
海外 SEO では、対応する言語ごとに独自の URL を設定するほうがよいでしょう。複数の言語が混在している Web サイトになってしまうと、訪れた外国人ユーザーが、どのコンテンツを読むべきなのか初見で判断できず、離脱の原因になります。
訪れた外国人ユーザーのユーザビリティを高められるように、対応国の数だけ専用の URL を用意するのが海外 SEO を成功させるポイントになります。コスト面に制約がある場合には、海外展開する言語を少数に絞って集中的に展開していくのがおすすめです。
海外 SEO ではコンテンツを掲載するサーバー次第で、検索エンジンからの評価が変わるといわれています。たとえば、Google 検索は、IP アドレスに基づいてサーバーの場所を確認するアルゴリズムを採用していることから、上位表示したい国のサーバーをホスティング(サーバーを借りること)することで Web サイトの最適化を進められるでしょう。
そのため、海外 SEO を行う場合には、日本のサーバーではなく AWS などの海外対応しているサーバーを活用して、検索エンジンの評価を高めることがおすすめです。
ターゲット設定ツールを使って対象とする国を変更することで、検索エンジンにターゲットとして想定している対応国を示すことが可能です。具体的には Google サーチコンソールでインターナショナルターゲティングの設定を行うことで、ターゲットとする国と自社 Web サイトの関連性を向上させられます。
1つの URL に対して1つの対応国・地域を指定すれば、SEO 効果を最大化できる可能性が高いため、積極的に活用すべき施策となります。
ターゲットとする国次第では、 日本のように4G回線が一般的なインターネット環境として整備されていないケースもあります。いまだに3G回線がインターネット環境におけるメインになっていることもあるため、「ページスピードインサイト」などを活用して、 Web サイトの表示スピードが快適に使えるレベルに達しているか確認するのもポイントです。
海外 SEO を実施する際には、その基本と成功を収めるためのポイントを理解することが重要です。これから事業の海外展開を考えているのなら、インターネット上の自社コンテンツを最適化する海外 SEO 対策は必須となるでしょう。この機会に海外 SEO について調べ、自社でできることを明確にしてみてください。