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海外展開の手順とは?企業が直面する課題と成功のポイントを解説

作成者: 佐藤菜摘|2024/12/30 6:01:31

少子高齢化により日本の総人口は減少を続け、国内市場は成熟しつつあります。こうした背景から、海外展開は日本企業の成長戦略の中心的要素となっています。しかし、企業担当者の中には、海外展開について不明点が多いと感じる人も多いでしょう。

本記事では海外展開の手順をはじめ、日本企業が直面する課題と成功のためのポイントを解説します。

目次

海外展開の重要性と、日本企業の進出状況

少子高齢化により国内市場が縮小傾向にある中、日本企業にとって事業拡大や競争力維持のカギとなるのが海外展開です。海外市場への進出で新たな販路を開拓し、顧客層を拡大するだけでなく、生産拠点を海外に移すことでコスト削減も可能です。また、「ジャパンブランド」の信頼性の高まりを受けて、日本製品の競争力が高まっており、海外市場での成功の可能性が広がっています。

2023年にジェトロが実施した調査()では、企業の海外事業への拡大意欲は増加傾向にあるとの結果が出ました。同調査によると、海外に拠点を持つ企業の47.4%が今後3年程度の海外進出方針について、「さらに拡大を図る」と回答しています。前年2022年の43.5%からやや上回りました。海外に拠点を持たない企業でも、38.1%が「新たに進出したい」と考えています。

今後、海外進出を図る相手国としては米国(28.1%)がトップ、続いてベトナム(24.9%)、中国(22.6%)が挙げられています。

※ ジェトロ [報告書版] 2023年度|ジェトロ海外ビジネス調査日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/d06df8fc5ec86c87/20230045.pdf

 

海外企業との連携強化も進む

この調査では、世界情勢や市場の環境変化により、サプライチェーンの見直しも図られていることがわかりました。調査に答えた企業のうち、およそ7割が2023年以降、販売・調達・生産戦略で何らかの見直しを実施。中でも、約3割の企業は「調達の見直し」を行っています。海外からの調達に目を向けると、34.5%の企業が取引先を増やしており、その根拠として「コスト増への対応」「自社製品・サービスへの需要の変化」「地政学的リスクの回避」などを挙げています。

海外展開と DX 推進も密接な関連があり、DX 推進の狙いのひとつに新規市場開拓があります。顧客データの取得・分析などを通じて海外進出の足掛かりとして取り組んでいる企業もあるようです。また、DX を推進するにあたり、全体の3分の1が国内外の企業・機関と連携しているとの回答がありました。

 

海外展開における日本企業の課題

事業拡大の柱のひとつである海外展開ですが、日本企業にとっての課題もあります。企業が抱える代表的な課題を4つ解説します。

現地の法規制や税制への対応

日本企業が直面している課題は、進出先ごとに異なる法律や規制への対応です。現地の言語や商慣習を正しく理解し、契約書類の作成や法規制への対策を講じないと、顧客や従業員、取引先などからの訴訟リスクが生じます。労働に関する法律も国によって大きく異なるため、現地で従業員を雇用する際は適切な管理を行わないと、訴訟や罰則などの問題が生じるおそれもあるのです。

法規制のみならず、自社・取引先を含めたサプライチェーン全体で発生する人権リスクの防止・軽減の取り組みである「人権 DD (人権デューディリジェンス)」も重要視されています。法にはふれないものの、多様な人材が働く環境では、文化的な誤解が生じるケースもあるためです。前述のジェトロの調査によると、人権 DD は大企業においては実施企業が増加していますが、全体で見ると取り組んでいる企業は1割ほどにとどまり、今後のビジネス課題のひとつといえるでしょう。

消費者ニーズや文化の違い

提供する製品・サービスについても注意が必要です。進出先によって嗜好や文化、一般常識、経済状況は大きく異なります。例えば、ある地域ではシンプルで低価格な製品が重視される一方、別の地域ではデザイン性やブランドイメージ、機能性が購買の決め手になることがあります。そのため、進出する国・地域で多くの人に好まれるデザインの採用やオプションの選定、金額と品質との調整を行う必要があるのです。

また、宗教や伝統に根ざした文化的価値観が商品選びに影響を与える場合もあります。例えば、食品業界では特定の原材料を避ける必要がある地域や、祝日に需要が高まる商品もあるので、事前の調査が不可欠です。

現地でのパートナーシップ構築の難しさ

海外展開において、自社の100%子会社を設立するケースもありますが、現地のパートナー企業と協力してビジネスを進めることもあります。現地パートナー企業と良好なパートナーシップを構築できれば、進出先の法律や制度、文化や商慣習の正しい理解の一助となり、現地の人脈、顧客の開拓や、取引先などのサプライチェーン構築に役立ちます。

ただし、海外で他企業と信頼関係を構築するのは簡単なことではありません。例えば、「短期的な収益さえあればいい」と考えている企業と、「長期的な協力関係を築きたい」と考えている企業とでは、目的やビジョンが異なるためビジネスパートナーとしてうまくいかない可能性もあるでしょう。経営や取引方針について、意見がぶつかり対立する可能性もあります。現地のパートナー企業については綿密に調査を行い、慎重に判断した上で契約を取り交わす必要があるのです。

人材育成とマネジメントへの取り組み

業種や企業規模にかかわらず、人材の育成とマネジメントは多くの企業が抱えている課題といえます。進出先の言語、文化やビジネスに精通した人材の採用や育成は、成功すれば事業に大きく寄与するため、優先的に取り組むべき戦略です。

日本人と現地の人材のどちらがトップになるのか、日本本社と現地法人のどちらが意思決定を行うのかなど、お互いの特性を活かした人材マネジメントを行う必要があります。

海外展開の手順

次に、企業が海外展開を検討する際の進め方について解説します。企業の海外進出に際しては、大使館や総領事館など、公的な機関も相談窓口になります。海外展開が初めての場合は、第三者の意見も参考にしながら慎重に進めましょう。

1. 目的を明確化する

海外展開を検討する際には、まず目的を明確化します。

海外展開には、新規市場開拓や販路拡大、生産コスト削減、サプライチェーンの見直しによる生産効率化の向上といったメリットがありますが、多大なコストやリソース、計画的な取り組みが必要です。そのため、「なぜ今、海外進出するのか」「国内への投資では不十分か」「海外展開のためのリソースがあるか」などを明確にしなければなりません。

海外展開という手段が目的化しないよう、実現したい目標を明確化して、自社の現状をしっかりと分析することが成功への第一歩です。

2. 進出する国を選ぶ

海外展開の目的を明確化したら、次は進出する国を選定します。ここでは、情報収集や事前調査を徹底的に行い、進出する国や地域を慎重に検討する必要があります。自社の製品・サービスがどのような地域で需要があるのかを定量的・定性的に把握し、進出先を選ぶことが重要です。

進出先の法規制、外貨規制、政治・経済状況、労務情報などの重要な要素についての十分な調査が必要です。また、その国や地域の文化、歴史、宗教、習慣について学び、寄り添うこともポイントになります。現地の文化的背景や人々の価値観を理解すると、適切なビジネス戦略を立てられます。

3. 大使館などに相談する

進出先の国が決定したら、大使館などに相談するといいでしょう。多くの大使館や総領事館では「日本企業支援窓口」が設置されており、企業の相談に応じています。また、ジェトロでも、進出先の国や地域に関する具体的な情報やアドバイスを提供しており、海外進出や貿易に関して相談することが可能です。

4. 情報を収集し、進出計画案を作成

大使館やジェトロなどに相談した後は、具体的な情報収集を行い、海外進出計画を策定します。海外進出に伴い「現地法人の設立」や「販売代理店や現地の企業とのパートナーシップ」などを行うのが一般的ですが、法人を設立する場合は金融機関の口座開設や人材採用などが必要になります。

一方で、現地パートナーへの委託であれば、他社のリソースを活用できるため、スモールスタートで進められる点がメリットです。アクションプランの策定、売上目標の設定、資金調達の計画、人材確保、そして撤退条件についても事前に確認することが重要です。

5. 現地市場調査、視察

海外進出計画の策定後は、実際に現地市場を調査・視察します。このとき、進出先の状況を正確に知るためには、必ず責任者が現地に赴く必要があります。進出国に実際に足を運び、自社の製品・サービスにニーズがあるかを責任者が中心となって市場調査し、見極めてください。

市場調査を通じて現地の市場動向や競合他社の状況を把握できるので、より実情に沿った戦略を立てられます。また、視察によって現地市場の雰囲気を体感したり、現地企業の担当者と実際に商談したりすることも重要です。

市場調査や視察をもとに戦略の再確認を行い、必要に応じて修正や調整を加えましょう。このプロセスを経ると、海外進出の最終決定を下すことができます。事前の市場調査と現地視察を組み合わせると、より確実な判断ができるようになり、成功の可能性が高まります。

 

海外展開を成功させるためのポイント

海外展開を成功させるためには、現地のニーズを調査し、製品・サービスをローカライズすることが重要です。また、法規制や商慣習に注意を払う必要もあります。海外展開を成功させるための3つのポイントを解説します。

現地市場のニーズに対応した製品・サービスの開発

海外市場で成功するためには、現地のニーズや規制に対応した製品・サービスの開発が必要です。市場調査を行い、文化や生活様式に合った製品を提供することで、製品・サービスの競争力が向上します。

例えば、進出先の地域特有の気候やインフラに適応した製品・サービスを開発するのも有効です。また、その国・地域のユーザーに特有の消費者心理に合わせて、製品・サービスを最適化することも考えましょう。具体的には、対面接客を重視する文化では丁寧なサポートを提供する必要がある一方で、オンラインでの購買行動が主流であれば、利便性や迅速性などが評価されます。

ローカライズの実施

海外展開を成功させるには、ローカライズの実施が重要です。ローカライズは、現地の消費者やクライアントにとって親しみやすく使いやすい製品・サービスに調整する重要なプロセスであり、ブランドの認知度や顧客満足度の向上が期待できます。

例えば、現地でなじみの薄い製品・サービスの場合は、特徴や魅力を紹介する Web サイトや動画を公開することでブランディングを強化できます。また、現地の言語や文化に対応した製品・サービスの調整を行えば、現地市場での競争力も高まるでしょう。

ローカライズは、製品やサービスを現地市場に適合させるだけでなく、ブランド価値を高めるための重要な手段です。

現地の法規制と商慣習への対応

海外市場でスムーズに事業展開するためには、現地の法規制や商慣習を正しく理解し、それにもとづいて製品・サービスの提供を行うことが重要です。例えば、個人情報の取り扱いは国や地域で異なり、EU では「GDPR EU一般データ保護規則)」、中国では「サイバーセキュリティ法」、アメリカでは「CCPA (カリフォルニア州消費者プライバシー法)」といった、消費者保護の法律が制定されています。

現地の商慣習にマッチした決済方法や支払いのタイミングなどにも注意が必要です。円滑な事業展開と信頼できるビジネスパートナーの獲得のためにも、現地に精通した専門家のサポートを受けることが大切です。

 

海外展開を成功させるために多言語化ソリューション「WOVN.io」の導入を

海外展開は、企業の成長と競争力維持のために不可欠です。海外展開を成功させるカギは、現地消費者・クライアントのニーズに対応したローカライズです。ローカライズが必要なのは製品・サービスのパッケージだけではありません。製品・サービスを紹介している Web サイトの多言語対応も必要となります。また、コーポレートサイトを多言語化することで、パートナー企業や関連企業の関係者に正確な情報が提供可能です。

WOVN.io」は、国内外の大手企業をはじめとした18,000サイト以上の導入実績がある Web サイト多言語化ソリューションです。Web サイトに1行のスクリプトを挿入するだけで多言語化に対応します。自動でコンテンツの更新を行い、スピーディーに本番反映ができるため、海外展開に伴う人的リソースとコストを削減しつつ、多言語化対応を継続的に行うことができます。海外展開の実績がない場合でも、海外展開のノウハウを持つ多言語化のプロフェッショナルによる手厚いサポートがあれば安心です。

海外進出を検討する際には、「WOVN.io」の導入をぜひご検討ください。