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ChatGPT で翻訳する方法は?正確に翻訳するコツや注意点を解説

作成者: 佐藤菜摘|2024/12/30 8:24:12

OpenAI 社の AI チャットサービス「ChatGPT」の技術的進歩は、ビジネスの視点から見ても非常に重要です。その高い言語処理能力は翻訳作業の効率化にも活用されており、Web サイトの多言語化に新たな展望をもたらしているといえるでしょう。

本記事では、ChatGPT の翻訳機能と活用方法、他の翻訳ツールとの違いを紹介します。また、ChatGPT で正確な翻訳を行うためのコツや注意点についても併せて解説します。

目次

 

ChatGPT の翻訳機能とは?

ChatGPT は、人工知能の研究と展開を行うアメリカの企業「OpenAI」が開発した対話型 AI の一種です。ユーザーの質問に対して、人間のように自然な対話形式で答えてくれる AI チャットサービスです。
会話だけでなく、文書の作成や要約、プログラミングコードの作成、データ分析、ブレインストーミングなど、さまざまな知的作業を行うことができます。

ChatGPT は、プロンプトで指示すれば翻訳に使うこともでき、多様な言語への翻訳が可能です。英語はもちろん、中国語や韓国語、スペイン語、ドイツ語、フランス語など、多様な言語に対応しており、自然な表現で翻訳してくれます。

ChatGPT で翻訳したい場合は、例えば「以下を日本語に翻訳してください」などとプロンプトを書き、翻訳したい文章を入力するだけで、翻訳された文章が表示されます。

 

ChatGPT の翻訳機能の活用方法

ChatGPT は、プロンプトで指示すれば、翻訳にまつわるさまざまな作業が可能です。ここからは、ChatGPT の翻訳機能の活用方法を見ていきましょう。

翻訳したい文章を要約する

ChatGPT の翻訳機能の活用方法のひとつに、翻訳したい文章の要約が挙げられます。ChatGPT では、外国語の文章の翻訳と要約を一度に行うことも可能です。海外の論文やニュースをチェックしたいときなど、効率的に情報収集ができます。
プロンプトは「以下の文章を日本語で要約してください」などと入力します。「以下の文章を箇条書きで日本語に要約してください」など、条件を付けることも可能です。

翻訳文を改善する

ChatGPT の翻訳機能を活用すれば、翻訳した文の語句や表現を、目的や読者に合わせて書き換えるなど、文章の改善も行えます。例えば、カジュアルな表現を丁寧な表現に書き換えたり、英語のマニュアルなどで見られる、主語に「You」を使用しない文に書き換えたりといった指示も可能です。
また「原文はビジネスメールに使用します。この日本語の文章を英語に翻訳してください」「生成した英訳文を丁寧な表現に添削してください」などとプロンプトを入力することで、条件に合わせた翻訳ができます。

翻訳の誤りを指摘する

ChatGPT の翻訳機能では、誤訳や訳抜けを指摘することも可能です。プロンプトでは「誤訳を探してください」「以下の文章を校正してください」などと入力した上で、既存の翻訳文書をペーストすれば、誤りを指摘してくれます。誤りに対して「修正案を教えてください」などとプロンプトを追加すれば、修正作業もスムーズに行えます。

特定の要素を調べる

ChatGPT の翻訳機能では、翻訳したい文章内で特定の要素を調べることも可能です。ChatGPT に外国語の論文などを読み込ませた後、その内容について質問することで、長文の中から知りたい要素だけを抽出できます。例えば、「このファイルを読み取り、◯◯に関する情報を日本語で抜粋してください」といったプロンプトを入力すれば、指定した要素だけ翻訳した状態で抽出してくれます。外国語の製品マニュアルを読ませておき、使用方法を知りたい特定の箇所について調べるといった使い方も可能です。

用語集を作成する

ChatGPT の翻訳機能を使えば、用語集の作成も可能です。ChatGPT に原文を渡せば、用語集の登録候補となる用語を抽出できます。外国語の原文を読み込ませた後に、「重要な用語を抽出して、訳案を併記してください」といったプロンプトを入力すると、用語と訳案を出力してくれます。その際、表形式やリスト形式など、用語集の形式も指定することが可能です。

 

ChatGPT と他の翻訳ツールとの違い

テキストやファイルの翻訳は、ChatGPT の他、「Google翻訳」や「DeepL」といった翻訳ツールを使う方法もあります。ChatGPT とこれらのツールの違いは、以下のとおりです。

DeepL との違い

DeepL は、ドイツの DeepL SE 社が提供している、ビジネスシーンでも使用されることが多い翻訳ツールです。無料版と有料版の「DeepL pro」があり、テキスト翻訳とファイル翻訳に対応しています。用語集機能も搭載されており、「である調」「です・ます調」を指定しての翻訳が可能です。
DeepL は、ChatGPT と比べると、ニュアンスを汲み取った自然で流暢な訳文になることが多いといわれます。一方で、一部の文言が翻訳文から落ちる「訳抜け」は、DeepL のほうが多く発生する傾向があります。

Google 翻訳との違い

Google 翻訳は、米国の Google 社が提供している、テキスト翻訳やファイル翻訳に対応した無料の翻訳ツールです。Web サイトの翻訳にも対応しており、アプリ版ではカメラに映った画像を読み取っての翻訳も可能です。約250言語に対応しているため、非常に広い範囲の翻訳をカバーできます。
Google 翻訳と ChatGPT は、DeepL と比較すると、比較的直訳調であることが多いといえます。他方で、Google 翻訳のほうが ChatGPT より訳抜けが少ないことが特徴です。

このようなツールによる特徴の違いは、それぞれの翻訳モデルの違いに由来します。
ChatGPT は、LLM (大規模言語モデル)といわれる、大規模なテキストデータを学習することで構築された、言語の理解や生成に優れたモデルの一種です。自然言語処理に特化しており、文章の生成、翻訳、要約、質問応答など幅広いタスクに対応しています。
これに対し、DeepL やGoogle 翻訳は、言語間のテキストを自動翻訳することを目的とする MT (機械翻訳)の一種です。いずれも昨今は LLM が搭載されていますが、あくまで特定の言語間での翻訳を実現するためのものであり、ChatGPT のようにプロンプトで、翻訳文書の目的や対象読者を指定できるわけではありません。

一方で、DeepL や Google 翻訳は大量のテキスト処理が圧倒的に速いという利点もあるため、それぞれの特徴を踏まえた上で、作業内容に適したものを選ぶことが大切です。

 

ChatGPT で正確に翻訳するコツ

ChatGPT による翻訳は、ユーザーの質問に対して答える形式のため、プロンプトの書き方によっても翻訳の精度が変わります。ChatGPT で正確に翻訳するために、プロンプトを作る際のコツを紹介します。

指示を明確かつ具体的に行う

ChatGPT で正確に翻訳するためには、指示を明確かつ具体的に出すことが必要です。どのような翻訳文を求めているのか、プロンプトに具体的に書き込むことで、翻訳の精度は上がります。文字数や文章のテイストを指定する他、5W1H を示すなど、できる限り明確に書きましょう。

例えば、単に「以下の文章を英語に翻訳してください」とだけ書くより、翻訳の目的は何か(Why)、どこで使用するものなのか(Where)、文章のトーンやおおよその文字数はどうするか(How)といった条件を加えた方が、意図に沿った翻訳文になります。また「あなたはプロの翻訳者です」「あなたはプロの翻訳チェッカーです」(Who)などと ChatGPT の役割を明記することで、求める品質を明確にするのも効果的です。

指示の背景を伝える

ChatGPT で正確に翻訳するためには、指示の背景を伝えることも大切です。単に質問や指示をするだけでなく、質問の背景や文脈まで含めてプロンプトに書いた方が、より目的に合ったアウトプットが期待できます。
例えば、「自社の Web サイトに掲載する、英語版のプレスリリースを作成します」といった掲載先の情報や目的などを、プロンプトに加えた上で具体的な指示を出しましょう。

参考情報や回答例を共有する

参考情報や回答例を共有することも、ChatGPT で正確に翻訳するためには有効です。プロンプトに、回答の参考になる情報や完成形のイメージを含めることで、イメージに近い翻訳文ができる可能性が高くなります。

例えば、英語で書かれた海外企業のサイトや関連記事を読み込んで、その企業について簡潔に翻訳してほしい場合は、回答に含めてほしい内容の例をプロンプトに入れておきましょう。具体的には、設立年、CEO の名前、主要なサービスなどを表形式で記載するように指定すれば、わかりやすく翻訳して表にまとめてくれます。

不完全な回答の場合、修正を繰り返し依頼する

ChatGPT で正確に翻訳をするためには、翻訳後に修正を繰り返し依頼することも大切です。ChatGPT の翻訳では、条件が多かったり翻訳したい文章が長かったりすると、最初から完璧な翻訳文を得るのは難しいことがあります。そうした場合、最初はシンプルな指示を行い、徐々にプロンプトを修正していった方が、期待する翻訳文を作成できる可能性は高くなります。
例えば、まずは「以下の文書を英語に翻訳した上で、◯◯に関連する情報のみを箇条書きにしてください」と指示します。そこで求める情報がえられなかった場合は、さらに出力すべき情報の詳細を指示するなど、プロンプトを修正していくことが大切です。

求めるものと異なる回答が続く場合、指示自体を改善する

何度試しても期待と異なるものが出てくる場合は、プロンプト自体を見直す必要があります。指示が明確かつ具体的に行えているか、添付できる参考情報はないかなど、先に紹介したコツを意識して再度試してみましょう。

 

ChatGPT の翻訳機能の精度が高い理由

ChatGPT の翻訳精度は、Google 翻訳などの機械翻訳ツールと比べても高い水準にあり、プロンプトで細かい条件を指定することで、用途や目的に合った自然な翻訳文が作成できます。ここからは、ChatGPT の翻訳精度が高い理由を見ていきます。

学習データの量が多いため

ChatGPT の翻訳精度が高いのは、学習データの量が多いことが理由のひとつです。ChatGPT は、機械学習の学習データとして、インターネット上の膨大なデータを活用しています。そのため、多様な言語による、あらゆる文脈に対応した表現や語彙をインプットしているのです。

自然言語処理(NLP)を用いているため

ChatGPT の翻訳精度が高い理由として、自然言語処理(NLP)を用いていることも挙げられます。NLPとは、人間が使う言語を AI に理解させて返答できるようにする技術のことです。その中には、文章を解析して意味を理解し、適切な返答を生成するプロセスも含まれます。ChatGPT は、単に逐次翻訳を行っているわけではなく、入力される文章の構造やつながり、意味、ニュアンスを理解した上で翻訳文を作成しているので、自然な表現になりやすいのです。

人間のフィードバックによる強化学習(RLHF)を行っているため

ChatGPT は人間のフィードバックによる強化学習(RLHF)を採用することで、翻訳精度をさらに高めています。RLHF とは、人間のフィードバックを利用して AI モデルの学習を調整し、より適切で正確な応答を追求する機械学習技術のことです。RLHF を搭載していることで、人間からの評価を反映し、より自然な表現ができるようになっています。

 

ChatGPT の翻訳機能を使うときの注意点

ChatGPT の翻訳精度は高いとはいえ、万能ではありません。ここからは、ChatGPT を翻訳に利用する際に注意すべき点を解説します。

すべてが正確な翻訳とは限らない

ChatGPT の翻訳機能を使うときは、すべてが正確な翻訳とは限らない点に留意することが必要です。文脈や言葉の微妙なニュアンスが読み取れずに誤訳する場合や、訳の抜け漏れが発生する場合もあります。複雑な文章や専門用語、スラング、最近登場した言葉やトピックなどには、特に注意が必要です。重要文書などは、人間がチェックしたり専門家に監修を依頼したりするようにしましょう。

専門性が高すぎる文章は翻訳できない可能性がある

ChatGPT の翻訳機能では、専門性が高すぎる文章は正しく翻訳できない可能性もあります。ChatGPT は、インターネット上のテキストデータを学習元にしているため、専門性が高すぎる文章については翻訳精度が低くなることがあるのです。また、専門性の高い文章だけでなく、独特の言い回しや文化的背景とセットで理解される言葉、詩や文学作品などの情緒的なニュアンスのある翻訳も苦手といわれています。

マイナー言語に弱い

マイナー言語に弱いという点も、ChatGPT の翻訳機能では留意する必要があります。マイナー言語はその言語を使用している人口が少ない分、インターネット上にあるテキストデータの量も少なくなります。そのため、ChatGPT が学習元にできる情報が十分ではなく、翻訳精度に差が生じるのです。

情報が漏洩するリスクがある

ChatGPT の翻訳機能を使う際は、情報漏洩のリスクについても知っておきましょう。ChatGPT に入力した情報は、一定期間保存されてデータ学習にも活用されるため、内容が外部に漏れる可能性もあります。企業の機密情報や個人情報などを入力してしまうと、他のユーザーに知られるリスクがあるため、十分な注意が必要です。
企業の重要文書の翻訳には ChatGPT を使わないか、ChatGPT に入力したデータを学習させないオプトアウト設定を行っておくなどの対策が求められます。

多すぎる文章や複雑な文法は翻訳できない可能性がある

ChatGPT では、文章量や文章の複雑さによって翻訳できない場合もあります。ChatGPT には、入力や出力のできる文字数に制限があります。文字数の上限は、入力する言語や無料版か有料版かによって異なりますが、長い文章は分割して翻訳する必要があります。

また、構造や文脈が複雑な文章は、誤訳のリスクが高くなります。基本的には、人間が見て意味の把握が困難な文章は、ChatGPT にとっても翻訳の難度は高くなると考えてよいでしょう。

 

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