WOVN MX Blog

PDF 翻訳の課題とは? PDF を翻訳する際のツールや方法を解説

作成者: 佐藤菜摘|2024/12/30 8:24:48

ビジネスのグローバル化が進む中で、外国語による PDF 形式の資料を読んだり作成したりする場面が増えてきました。
「グローバルビジネスの展開にあたって、海外のレポートを翻訳して読みたい」「多国籍なチームで同じ情報を共有するためにファイルを翻訳したい」といったニーズが高まる一方で、求める品質やコストに適した PDF 翻訳の方法が見つからず、課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、PDF 翻訳に使われる代表的な翻訳ツールやそれらの課題に加え、その他の PDF を翻訳する手段についても解説します。

目次

 

PDF 翻訳とは

PDF 翻訳とは、PDF 形式のドキュメント内のテキストを別の言語に翻訳する作業のことを指します。Adobe が開発したファイル形式である PDF (Portable Document Format)は、どのような環境で開いても同じレイアウトで表示されるのが特徴です。

PDF で作成される文書は、請求書や契約書などのビジネス文書から、マーケティング資料、取扱説明書や製品マニュアル、パンフレットまで多岐に渡ります。そのため、グローバル化が進む近年、海外向けの情報発信や社内コミュニケーションなどのために、PDF を翻訳する需要が高まっているのです。

 

PDF 翻訳が難しい理由

PDF 翻訳のニーズが増加している一方、PDF の性質上、翻訳が難しい側面もあります。
多くの PDF ファイルには、文字だけではなく、画像や表が含まれますが、PDF 翻訳ツールでこれらの情報を正確に認識して翻訳することはまだ簡単な作業とはいえません。

また、文字が画像として埋め込まれている場合、一般的には文字を読み取ってテキストデータに変換するOCR 機能が使われます。この読み取りの段階で、誤認識が起こり翻訳に反映されてしまうこともあるのです。

さらに、PDF のセキュリティ対策による保護機能によって、テキストをコピー&ペーストできない場合があります。その結果、翻訳のたびにテキストを書き起こして、自動翻訳ツールに貼り付けなくてはならないケースも少なくありません。

このように、PDF を正確に読み取って翻訳することは、単なるテキスト翻訳より格段に難度が高く、時間やコストがかかります。企業が海外ビジネス展開の準備などを進める上で、障壁となることもあるでしょう。

 

代表的な PDF 翻訳ツール

PDF 翻訳は通常のテキスト翻訳と比べて難度が高いですが、手軽に利用できる翻訳ツールもあります。ここからは、代表的な翻訳ツールである「Google翻訳」と「DeepL」について説明します。

Google 翻訳

Google 翻訳は、米国の Google 社が提供している無料の翻訳ツールです。貼り付けたテキストやアップロードしたファイル内のテキストの翻訳文を出力する機能があります。PDF 翻訳にも対応しており、PDF ファイルをアップロードすると文書が翻訳されます。2024年11月時点で約250言語に対応しており、さまざまな言語を翻訳できることが特徴です。

利用にあたって、Google アカウントの作成やログインは必要ありません。Google 翻訳にアクセスして、PDF ファイルをアップロードするだけで手軽に使用できます。
ただし、PDF ファイルをアップロードすると、表示されないテキスト末の改行記号を読み込んでしまうことがあり、誤訳が発生しやすいという問題もあります。

DeepL

DeepL は、ドイツの DeepL SE 社が提供している翻訳ツールです。無料版と有料版の「DeepL Pro」があり、ビジネスシーンでも使用されることが多いツールといえます。PDF の翻訳には、無料のアカウント登録が必要になります。

2024年11月時点で対応しているのは30言語以上で、Google 翻訳より言語数は少ないものの、口語表現やニュアンスを含む流暢な翻訳が行える点が特徴です。
有料版では、プランによって1ヵ月あたりに翻訳できる最大文字数や一度にアップロードできるファイルのサイズ、用語集に登録できる単語の数が増えるなどのオプションがあります。

 

一般的なPDF翻訳ツールの課題

Google 翻訳や DeepL をはじめとした一般的な PDF 翻訳ツールは、文書の内容によってはビジネスに利用できる場合もあります。ただし、以下のような課題があり、うまく翻訳ができないケースも少なくありません。

専門用語の翻訳が困難

PDF 翻訳ツールの課題のひとつは、専門用語の翻訳が困難な点です。一般的な PDF 翻訳ツールは、各分野の専門用語の翻訳を得意としていません。したがって、高度な専門用語が頻出するテキストになると、翻訳精度が低くなる傾向があります。誤訳や文脈に合わない不自然な表現になる場合もあるので、人の手による最終チェックが欠かせません。

文化的なニュアンスを汲み取るのが困難

一般的な PDF 翻訳ツールでは、文化的なニュアンスを考慮した翻訳は困難です。文化的なニュアンスとは、社会やコミュニティに存在する価値観や信条、慣習などを指します。
言葉は社会や文化に根付いたものなので、ただ直訳しただけでは、もとの意味をそのまま伝えることはできません。ある社会では好意的に受け取られる表現でも、別の社会では侮蔑的な表現になってしまうこともあります。そのため翻訳では、文化的なニュアンスを汲んだ上で言葉を置き換えていくことが重要になりますが、一般的な PDF 翻訳ツールはまだそこまで対応できないのが現状です。

ファイルサイズの制限

ファイルサイズに制限が設けられていることも、PDF 翻訳ツールの課題といえます。翻訳ツールの種類やプランによって異なりますが、例えば、Google 翻訳はドキュメントサイズが10 MB 以下、PDF ファイルのページ数が300ページ以下のファイルしか翻訳できません。DeepL の無料版は、最大1,500文字、1ヵ月に3ファイルまでの利用となっています。PDF のファイルサイズや使用頻度によっては、翻訳ツールの制限を超えてしまうことがあるでしょう。

レイアウトの崩れ

PDF 翻訳ツールの課題として、レイアウトの崩れも挙げられます。PDF のテキストを翻訳すると、文字列が長くなったり短くなったりすることで、テキストボックスにうまく収まらなくなることが少なくありません。そのため、PDF に表や画像が含まれていると、テキストが重なったり、画像とキャプションが重なったりというレイアウトの崩れが起こります。これに対して、翻訳された文字の量を別途調整したり、レイアウトを修正したりする作業が必要となる場合もあります。

情報漏洩のリスク

PDF 翻訳ツールを使う際は、情報漏洩のリスクがあることも忘れてはなりません。無料で使える PDF 翻訳ツールは、入力された情報を収集し、機械学習データとして利用している場合があります。例えばGoogle 翻訳や無料版の DeepL では、どちらも入力したテキストやアップロードしたファイルの情報を収集することがプライバシーポリシーに明記されています。
このようなツールを使うと、機密情報や個人情報が外部に流出するリスクがあるので、ビジネスでの利用にはおすすめできません。

 

その他の PDF 翻訳の手段

一般的な PDF 翻訳ツールは手軽に使えるので便利な反面、翻訳の精度や情報漏洩のリスクなどさまざまな課題があり、ビジネス利用に適しているとはいえません。ここでは、 PDF 翻訳を行う他の方法を紹介します。

翻訳会社に依頼する

一般的な PDF 翻訳ツールを使わない場合は、翻訳会社に依頼することも選択肢のひとつといえます。翻訳会社に依頼するメリットは、翻訳の品質が担保されることです。機械翻訳で起こりがちな誤訳が起きず、文化的なニュアンスまで汲み取った翻訳が期待できます。また、レイアウトを含めて伝わりやすいドキュメントに仕上げてくれるため、その分社内のリソースを別の重要業務に割くことができるといった点も魅力です。
一方、デメリットとしては、時間とコストが多くかかることです。翻訳作業が継続的に発生する場合はコストがかさみ、企業にとって大きな負担となる可能性があります。

社内の人材に翻訳してもらう

PDF を翻訳するには、社内の人材に翻訳してもらう方法もあります。この場合は、自社製品やサービスを深く理解した人による翻訳ができる点が大きなメリットです。
一方で、翻訳の質は担当者の技量によるため、質にばらつきが出ることがデメリットとなります。また、スキルのある人に負荷が集中し、兼業の場合は負担が増え、翻訳作業が滞る可能性もあります。

ビジネスでの利用を想定した有料の翻訳ツールを利用する

コストを抑えながら、翻訳業務を無理なく運用するなら、ビジネスに適した有料の翻訳ツールを利用するのもおすすめです。
ビジネス利用を想定した有料翻訳ツールであれば、機械翻訳エンジンをカスタマイズして専門用語や業界特有の表現を使った翻訳が行えます。また、通信の暗号化などでセキュリティ対策がとられている点も、無料版の翻訳ツールとは異なる点です。その分コストはかかりますが、すべて人の手で翻訳する場合に比べればコストを抑えられます。

 

PDF 翻訳や Web サイトの多言語化なら「WOVN.io」がおすすめ

有料の翻訳ツールにはさまざまなものがありますが、PDF をはじめ、動画や画像など、企業の Web サイトやアプリのあらゆるコンテンツの多言語化を行うなら、「WOVN.io」がおすすめです。「WOVN.io」は、国内外の大手企業をはじめとした18,000サイト以上の導入実績がある Web サイト多言語化ソリューションです。
近年では IR サイトに掲載された資料や、社内ポータルサイトに掲載された社内報など、Web サイトにPDF ファイルが添付されているケースも多く見られます。「WOVN.io」であれば、そのような PDF ファイルの翻訳にも対応可能です。ビジネスのグローバル展開において Web サイトの多言語化が必要な場合は、ぜひ「WOVN.io」をご検討ください。