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ナレッジシェアとは?知識共有のメリットや推進方法を解説

作成者: 佐藤菜摘|2025/04/14 11:06:31

近年では、少子高齢化や働き方の多様化、人材の流動化などにより、あらゆる業界で労働力不足が懸念されています。また、ビジネスのグローバル化が進み、企業の競争優位性を維持・強化するために、業務効率化や持続的なイノベーションが求められています。このような中、組織や個人が持つ知識を集約・共有する「ナレッジシェア」が重視されるようになりました。

本記事では、ナレッジシェアの概要や重要性、ナレッジシェアに取り組むメリット、ナレッジシェアを推進する方法などを、実際の成功事例とともに紹介します。

目次

ナレッジシェアとは「知識の共有」

ナレッジシェアとは「知識の共有」を意味する言葉です。ビジネスにおいては、業務を円滑に進めるのに役立つ知識・経験・ノウハウなどを、誰もが使いやすいように共有することをナレッジシェアといいます。

業務に関するナレッジは、「暗黙知」と「形式知」の2種類に分けられます。暗黙知とは、個人の経験や勘にもとづくノウハウ、積み重ねによって身につけたテクニックなどの、言語化されていないナレッジのことです。暗黙知は主観的であるため、言葉だけで説明するのが難しく、他のメンバーに共有しにくいといった特徴があります。
一方、形式知とは、文章や図表、数式などの形で整理され、可視化されているナレッジのことです。例えば、システムや営業のマニュアルなどは、代表的な形式知といえます。

企業がナレッジシェアに取り組む上では、形式知だけでなく暗黙知も共有できる仕組みを整えていく必要があります。暗黙知を形式知に変換して組織内で共有し、企業全体の底上げにつなげていくことが重要です。

ナレッジシェアが重視されるようになった背景

これからの企業が成長を目指すには、ナレッジシェアが不可欠といわれています。ナレッジシェアが重視されるようになった背景は、主に以下のとおりです。

人材の流動性の高まり


人材の流動性の高まりによって、ナレッジシェアが重視されるようになりました。かつて日本企業で主流だった年功序列や終身雇用が崩壊し始めており、現在では、転職が一般的な選択肢として定着しつつあります。人材の流動性が高まると、人材を確保しやすくなる一方で、社内の優秀な人材がより良い条件を求めて転職するリスクも増大します。企業にとって重要な知識やノウハウを持つ従業員が退職した場合、その損失は計り知れません。
人材の流動性が高まる現代において、企業は優秀な人材の確保や育成だけではなく、ノウハウの蓄積、継承にも積極的に取り組む必要があります。ナレッジシェアによって知識を集約・共有できれば、特定の従業員に依存することなく、チーム全体でそのノウハウを活用できるようになるでしょう。

働き方の多様化

政府が推進する働き方改革や、新型コロナウイルス感染症の流行などの影響もあり、近年では、テレワークやフレックス制度、時短勤など働き方の多様化が進んでいます。
特にコロナ禍で急速に普及したテレワークは、一時的な措置にとどまらず多くの企業で定着しました。現在では、オフィス回帰も進んでいますが、以前と比べると働き方はより柔軟になり、テレワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド型勤務を採用する企業も増えています。このような柔軟な働き方は、従業員のワークライフバランスを改善し、企業の生産性向上にも寄与しています。その一方で、従来のように従業員一同がオフィスに集まる機会が減少し、社内のコミュニケーションや情報の共有が難しくなっているケースも少なくありません。
ナレッジシェアは、このような働き方の多様化による課題を解決する手段としても注目されています。ナレッジシェアによって業務に関する知識やノウハウが集約され、誰もが使いやすいように共有されていれば、物理的に離れた場所にいる従業員同士でもスムーズな連携が可能になります。

進むグローバル化

ビジネスのグローバル化が進んでいることも、ナレッジシェアが重視されるようになった背景のひとつです。今後、企業が持続的に成長していくためには、海外展開を視野に入れた事業活動が求められるでしょう。グローバル市場における競争優位性を維持するには、拠点をまたいで知識を効率的に共有することが非常に重要です。特にグローバル企業にとっては、文化や言語の壁を超えて、従業員同士がスムーズに情報を共有できる仕組みづくりが必要になります。

企業がナレッジシェアに取り組むメリット

ナレッジシェアに取り組むと、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは以下のとおりです。

属人化の解消

ナレッジシェアがもたらすメリットのひとつが、属人化の解消です。属人化とは、業務や作業が特定の従業員に依存している状態を指します。属人化が進むと、業務の進捗が把握しづらくミスや重複の原因になったり、メンバーによって品質にバラつきが生じてしまったりします。特定の従業員が退職してしまうと、業務の遂行そのものに支障をきたす場合もあるかもしれません。
ナレッジシェアに取り組むことで、属人化を解消・予防し、メンバー全員が一定の基準で業務に対応できるでしょう。誰が対応しても同じ品質の成果を出せるようになれば、特定の従業員に負担が集中することなく、業務の効率化が図れます。また、従業員の退職や異動があってもスムーズに引き継ぎができ、柔軟性のある組織づくりを目指せます。

生産性の向上

ナレッジシェアは、組織の生産性向上に大きな影響を与えます。社内に蓄積された過去の事例やノウハウを活用することで、無駄な時間やリソースを削減できます。また、情報が共有されていることで意思決定のスピードが速くなり、スピーディーな問題解決が期待できるでしょう。無駄な試行錯誤が減って業務が効率化されれば、従業員一人ひとりのパフォーマンスが高まり、組織全体の生産性向上につながります。グローバル企業の場合、地域ごとの成功事例や戦略を他の市場に展開し、全体的な成果を向上させているケースもあります。

イノベーションの推進

多様な視点が融合するナレッジシェアは、イノベーションの源泉となります。ナレッジシェアによって組織内の情報や知識の交流が活発化すれば、新しいアイディアも生まれやすくなるでしょう。独自の製品やサービスの開発、業務プロセスの改善といったイノベーションが促進され、企業の競争力強化につながります。

従業員のスキルアップ・モチベーション向上

ナレッジシェアは、従業員一人ひとりのスキルアップにも役立ちます。共有されたナレッジから他の従業員のスキルやノウハウを学ぶことで、経験のない業務であってもスムーズな対応が可能になります。自己成長を実現でき、スキルアップとともにモチベーション向上にもつながるでしょう。「自分の働きが組織の役に立っている」と実感することで、従業員エンゲージメントが向上し、結果として離職率の低下も期待できます。

ナレッジシェアを推進する方法

ナレッジシェアの推進を成功させるには、従業員一人ひとりが持っている暗黙知を形式知に変換し、「見える化」する必要があります。やみくもにナレッジを集めても、それが組織内で活用されなければ意味がありません。集約したナレッジを適切に管理・共有し、誰もが使いやすい仕組みをつくることも重要です。
効果的にナレッジシェアを推進するためには、以下のような方法があります。

体制の整備

ナレッジシェアを推進するには、体制の整備が欠かせません。まず担当者を決め、ナレッジの集約および管理体制を整えましょう。このとき大切なのが、ナレッジの方針やルールを明確化し、何を、どのように、どこまで共有するかをきちんと定めることです。ルールを決めないままナレッジシェアを始めてしまうと、不必要な情報まで共有されたり、共有されるべきナレッジに不足が生じたりして、混乱を招く可能性があります。
担当者が中心となってナレッジの選別基準を設け、ナレッジの提供と閲覧の両方がスムーズにできるような体制づくりを進めることをおすすめします。

利用方法のマニュアル作成

ナレッジシェアの促進に役立つのが、利用方法のマニュアル作成です。ナレッジを登録する方法や検索する方法などをマニュアルにまとめ、従業員全員が活用できるようにしましょう。さらに、ナレッジをどのように活用すべきかについても説明を加え、実際の業務での利用方法や事例を示すとより効果的です。マニュアルの作成は、社内にナレッジシェアの重要性を認知させる上でも重要な手段になります。

ツールの活用

集約したナレッジを効果的に活用していくためには、目的に沿った機能を備えたナレッジマネジメントツールやコミュニケーションツールを導入するといいでしょう。ナレッジシェアに向いているといわれるのが、検索性に優れた社内 wiki や、文書管理システム、マニュアル管理システムの他、チャットボット、社内 SNS などです。
また、グローバル企業の場合は、ツールの導入と併せて多言語対応も必要になります。母国語の異なる従業員が誰でも同じようにナレッジにアクセスできるようにすることで、拠点間での情報共有がスムーズに進みます。

グローバル企業のナレッジシェアの成功事例

グローバル企業がナレッジシェアに取り組む際には、ナレッジを集約・共有する仕組みと併せて、多言語対応が不可欠です。ここからは、グローバル企業におけるナレッジシェアの成功事例を紹介していきます。

サントリーホールディングス株式会社

グローバルで「One MONOZUKURI」を掲げ、商品やサービスを通じてお客様に新たな価値を提供するサントリー。安全・安心で高品質な製品をお客様に届けるために、グローバルの各生産拠点が一体となって改善活動を進めたいとの思いから、国境・事業・会社を越えて各工場からの改善事例を共有する仕組みを構築しました。
各生産拠点で生み出された技術や知見、ナレッジの一元化を目的として立ち上げたのが、改善事例をグローバルで共有できるサイト「Continuous KAIZEN knowledge」です。英語を理解できるマネジメント層だけでなく、実際に改善活動をする現地の外国人従業員も母国語で気軽にアクセスできるように、7言語で情報を発信。工場の全従業員が母国語で改善事例を閲覧できる環境を整備することで、他工場での改善活動の取り組みを理解でき、新たな改善につなげられるようになりました。

サントリーホールディングス株式会社の事例については、「サントリーが取り組むものづくり改善活動、多言語化でグローバルでの事例共有を実現」もご覧ください。
※2022年5月時点

日本電気株式会社(NEC)

総合電機メーカーの NEC は、1899(明治32)年に設立された日本初の外資系合弁会社です。世界50以上の国と地域に約10万5,000人の従業員が、また日本国内には約300人の外国人従業員が在籍し、多様な人財の活躍によるイノベーション創出を目指しています。
従業員同士が知識・経験・情報を共有し、部署を横断したシナジーを生み出すため、グローバル共通の社内ポータルサイトを構築しました。さらに、運用を通じてグローバル共通コンテンツの整理拡充の必要性を感じ、社内ポータル内に海外拠点の従業員向け英語サイトを展開。今後は対応言語数の増加も視野に入れながら、「伝わるコミュニケーション」の実現に向けた挑戦を続けています。

日本電気株式会社(NEC)の事例については、「NEC が実践するグローバル社内コミュニケーション ~国内外10万人超の従業員に届けるための共通 Web 基盤構築~| NEC 高田氏・鉄橋氏|GLOBALIZED インナーブランディング」もご覧ください。
※2024年8月現在

グローバル企業のナレッジシェアなら、「WOVN.io」がおすすめ

企業が市場競争力を高め、持続的な成長を目指すには、ナレッジシェアが非常に重要です。業務に関わる知識・経験・ノウハウなどを効率的に共有することで、業務効率や生産性の向上が期待できるでしょう。
特に、多様な人材が活躍するグローバル企業においては、異なる文化や言語の壁を越えて連携できる仕組みを整え、スムーズなコミュニケーションを実現する必要があります。とはいえ、ナレッジシェアのために社内ポータルや社内報を多言語化するのは、手間や時間がかかります。そのため、グローバルなナレッジシェアの必要性を感じつつも、後回しになってしまっている企業は少なくありません。

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