グローバルに事業を成長させたいと考える企業にとって、ホームページの多言語対応は必要不可欠な業務です。
なかには「多言語対応させるには、どのくらいの費用がかかるのか?」と疑問を抱えている方も少なくないでしょう。
本記事ではホームページの多言語対応にかかる費用や制作する際のポイント、主な制作の流れなどを紹介します。
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ホームページの多言語対応とは、日本語だけでなくさまざまな言語に対応したホームページを作成すること。グローバル化を目指す企業には、必要不可欠な作業といえます。
その際、正確な翻訳だけでなく、コンテンツやデザインを含めた運用方法を多言語化の観点で考えることが必要です。特に、コンテンツを特定の国や地域、言語、文化、宗教、法律などに合うように対応することはローカライゼーションと呼ばれ、多言語対応をする上で重要な要素です。ローカライゼーションの詳細に関しては「Localizationとは」をご覧ください。
ホームページを多言語対応にすると、企業はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。多言語化の具体的なメリットを、3つご紹介します。
ホームページを多言語化し、言語の壁を取り除くと、外国人ユーザーに「アクセスできる」「得たい情報が得られる」という印象を与えることができます。企業の理念やビジョンを正しく伝えられるため、国内外の顧客からの信頼を獲得しやすくなるでしょう。
今は、日本国内の顧客だけを対象にしていたのでは、企業の成長が成り立たない時代になっています。海外の取引先や顧客、投資家など、企業が情報発信するべき相手は世界に広がっています。ホームページを多言語化すれば海外のステークホルダーに対しても情報発信が可能になり、事業の成長を後押しするはずです。
ホームページを多言語対応にすると、自社の商品・サービスの情報を海外の人にも広く発信できるようになります。どれほど良い商品やサービスでも、知ってもらえなければ購入にはつながりません。
多言語対応によって国内外の外国人消費者に商品やサービスの魅力を伝えることができれば、新しい販路や顧客を開拓して利益をアップさせるきっかけになります。日本人だけを対象に事業を展開するよりも、ビジネスチャンスは格段に広がるでしょう。顧客が自分の母国語で情報を受け取れることで、その企業に対する満足度が高まり、リピーターやクチコミなどでさらに新たな顧客を獲得できる可能性もあります。
ホームページを多言語化すると、企業がグローバルな視野を持っていること、多様な顧客のニーズに真剣に取り組んでいることをアピールできます。国際的な認知度を高め、ユーザビリティの高いサイトとして認識されれば、競合他社との差別化も図れるでしょう。海外の顧客にもアプローチすることでグローバル市場での競争力が高まり、ライバル企業から一歩リードできるかもしれません。
将来的に海外進出を視野に入れている場合も、事業展開を優位に進められる可能性があります。
元言語のホームページとは別の言語でホームページを制作するための費用は、多言語に対応するホームページのボリュームや、外注を依頼する範囲によっても異なりますが、数百万円~数千万円とわれています。EC サイトのように、決済やマイページなど開発が必要な機能があると、コーポレートサイトなどと比べると費用が高くなるかもしれません。
また、言語数やページ数、制作工数、UI/UX デザイン、開発要件、翻訳品質によっても費用が大きく異なります。さらに、制作後の運用、海外 SEO 対策やカスタマーサポートなどの費用も別途かかる場合もあるでしょう。以下では各項目について解説します。
システム開発では、問い合わせフォームやサーバー設定、CMS などを多言語対応にする作業があります。ホームページを閲覧するユーザーがいる国・地域によって、サーバーをその国・地域に設置しなければならない場合もあるため、その際には、日本語のホームページとは別のサーバーを構築する必要があります。また、言語が増えることで開発や管理の負担が増え、多大なコストが発生することになってしまいます。
多言語対応のホームページを作成する場合、日本語のホームページと同様、コンテンツ制作費用がかかります。元々あるコンテンツを翻訳して掲載するのか、新規作成するのかでも費用が異なるため注意しましょう。既存のコンテンツを活用する場合でも、対象国・地域のユーザーにとって必要な情報や文化、法律などに合わせた内容を追加する必要もあります。
また、デザインに関しても同様です。日本語から別の言語に翻訳すると、文字数が変わりレイアウトが崩れて読みづらくなったり、日本語ホームページのデザインのままでは、対象国のユーザーにとって不親切なデザインになることもあるため、デザインの変更が必要となることがあります。
コンテンツを多言語対応させる作業にも、翻訳コストがかかります。翻訳方法には、翻訳の専門会社や自社にいる専属の翻訳者に依頼する人力翻訳と、機械翻訳の2種類の方法があります。日本語から英語への翻訳は、一般的に1文字あたりの単価が10~30円程度といわれます。一方の機械翻訳は、機械翻訳エンジンにもよりますが、一般的に人力翻訳よりも1文字あたりの単価が圧倒的に低くなり、翻訳作業にかかるコストを抑えることができます。
人力翻訳の特徴としては、背景を理解した上での正確な翻訳が可能です。ただし、コストが少し高くなることと納品までに時間がかかることもあります。一方、機械翻訳は、ページ数が多い場合やスピードを求められる際に利用されることが多いです。背景知識や微妙なニュアンスの翻訳が苦手なため、公開前に一度チェックをしたほうがよいでしょう。各々の特徴を知った上で、翻訳作業を使い分けるとコストを抑えることができます。
海外 SEO 対策やコールセンター、カスタマーサポートなど運用費用がかかることもあります。特に、ホームページ上で販売を行う場合に運用費用がかかることが多いです。また、ホームページは制作して終わりではありません。ホームページのコンテンツ追加や更新対応なども発生します。保守運用していくために人的リソースや体制作りも必要といえます。
多言語対応ホームページを制作する際には、以下7点の手順で進める必要があります。
1.多言語化の目的を明確にする
2.翻訳する箇所や翻訳結果の品質を決める
3.多言語対応する言語を決める
4.多言語対応の方法を決める
5.多言語ホームページのレイアウト・デザインを見直す
6.海外 SEO 対策を検討する
7.多言語ホームページを運用する
多言語対応ホームページを制作する手順をより詳しく確認したい方は、「【入門編】Web サイトを多言語対応する方法とは?必要な工程や注意点について解説」をご覧ください。
続いては、多言語ホームページを制作する際のポイントをご紹介します。大きく7つに分けて解説しますので、ひとつずつ見ていきましょう。
ホームページの多言語対応を、「ホームページの日本語テキストを外国語に翻訳すること」と考える人は多いかもしれません。しかし、ホームページの多言語対応とは、単に日本語を外国語に翻訳することではありません。
ただ外国語にするだけなら、翻訳ツールやアプリを使って翻訳することも可能です。しかし、日本語をそのまま直訳するようなやり方では、ネイティブの方にとって不自然な表現になってしまったり、日本独自の言葉や表現が伝わりにくくなったりする可能性があります。また、文化や風習の違いから、思いがけないタブーにふれてしまうリスクがあるかもしれません。
海外の企業による日本語翻訳サイトを見て、「何となく意味は伝わるけれどわかりづらい」「言葉の使い方に違和感がある」などと感じたことはないでしょうか。ホームページの多言語対応を単なる翻訳と捉えていると、外国人ユーザーからも同じような印象を持たれてしまいます。
特に、日本語から文法が大きく異なる欧州系の言語へは、正確な翻訳が難しい場合があります。また、日本語のような句読点がなく、文節の区切りがないタイ語の場合、改行ルールを守らないと意味が正しく通じないケースもあります。ホームページの多言語対応を行う上では、言語以外のさまざまな要素にも気を配る必要があるでしょう。翻訳を外部に依頼する場合は、対象となる国・地域と日本の両方に精通した翻訳者や翻訳会社を選ぶことが大切です。
多言語化は、既存サイトのすべてのページに対して行うとは限りません。多くのホームページには、外国人にとってニーズの高い情報とそうではない情報が混在しています。例えば、日本の一部の地域に向けた限定的な情報などは、海外に向けて発信する必要がありません。外国人ユーザーに関係ない情報を多言語化してもメリットがないばかりか、費用も余計にかかってしまいます。
ホームページを多言語化する際には、閲覧するユーザーにとって有益なコンテンツや、海外に向けて優先的に発信していきたい情報をあらかじめ選定しておきましょう。同時に、多言語化する言語の種類や数についても検討が必要です。
より多くの人にホームページを閲覧してもらうために欠かせないのが SEO です。とはいえ、日本語のホームページで行っていた SEO が、多言語化した場合にも同じように通用するわけではありません。ただ言語を変えただけのホームページでは、海外から特定のキーワードで検索されたときに表示されにくくなってしまいます。また、言語ごとの独自 URL の発行やメタタグの翻訳、hreflang タグの追加も必要です。
さらに、主に使われている検索エンジンも国や地域によって異なり、日本のように Google が主流ではないケースも少なくありません。検索エンジンが違えば、上位表示するサイトの評価基準も変わります。ホームページを多言語化する際には、対象となる国・地域でよく使われている検索エンジンや検索習慣を理解した上で、その言語に合わせた SEO を行うことが重要です。
デザインの検討にあたっては、対象言語の国や地域の方に好まれやすいものにすることが望ましいです。対象地域の方にとって使いやすいデザインにすることで、閲覧者に寄り添ったホームページを制作できます。
国や地域によって好まれるデザインは異なるため、事前にしっかり調査することが肝要です。日本のデザインをそのまま使用すると国・地域によっては使いにくく感じることや、文化・習慣の違いで伝わり方が変わってくることがあるため、対象の国・地域のユーザーに合わせたデザインを整えることがおすすめです。ネイティブの方などに監修してもらうと良いでしょう。
外国人ユーザーがどこで言語を切り替えられるかわからなければ、ホームページから離脱されてしまう原因になります。そのため、言語切り替えの機能はホームページを開いてすぐに見える場所に置き、ユーザーが簡単に気づけるようにしましょう。また、言語を切り替えるボタンである、と直感的にわかる UI にすることも重要です。
多言語対応にあたっては、効果測定を行うこともとても重要です。自社のホームページで利益を最大化するためには、まず、製品・サービスを理解してもらうために、ホームページへの訪問者数やユーザーの滞在時間をアップさせる必要があります。
外国人ユーザーの訪問者数が増加しているか、デザインの最適化によって直帰率は減少したか、滞在時間は伸びたかどうかなどを確認し、効果測定の結果に応じてホームページの内容・発信方法を整えましょう。多言語化の効果を見直すことで、より現地の方にとって使いやすいホームページを構築できます。
ホームページを多言語対応にすると、対応言語を利用する外国人ユーザーから問い合わせを受ける機会が増えます。そのため便利な問い合わせ対応ができるよう、事前に検討しておくことがおすすめです。
例えば、日本語の場合は問い合わせフォームに「ふりがな」があることが一般的ですが、他の言語では不要です。このように日本語サイトの問い合わせフォームを多言語対応したホームページでそのまま使用してしまうと、外国人ユーザーからは使いにくいと感じられてしまいます。現地の言語に合わせて、入力時の混乱を避けることが重要です。
ホームページの多言語対応を検討している方は、多言語化ソリューションの活用がおすすめです。数多くある多言語化ソリューションの中でも特に「WOVN.io」では、ホームページの翻訳から現地に好まれるデザイン・レイアウトの最適化、サイト公開後の運用面までサポートしています。
加えて、ホームページに1行のスクリプトを挿入するだけで、自動で翻訳できるため、開発コストや運用コストを大幅に削減できる点が大きな魅力です。
また、ハイレベルなセキュリティを備え、多言語化のプロ人材が導入から運用までサポートする点もおすすめです。「WOVN.io」の特徴に関しては、「WOVN.io の特徴~多言語化に必要な機能がすべてここに~」をご覧ください。
この記事ではホームページの多言語対応にかかる費用や、多言語対応したホームページを制作する際のポイントについて紹介しました。ホームページの多言語対応に必要な費用は、多言語化の範囲によっても異なります。目的や期待する効果を踏まえながら、対象範囲を明確にすることが重要です。また、多言語対応したホームページを制作する際は、デザイン・言語切り替え機能など注意点が多くあります。
「WOVN.io」であれば、元となるサイトを準備するだけで自動翻訳を行える仕組みが構築できるだけでなく、言語切り替えやデザインの修正といった運用負荷軽減につながる機能が数多くあります。プロ人材によるサポートも手厚いため、多言語ホームページの制作を検討する際は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。