更新日:
国際性を掲げる大学として、常にアップデートされた英語サイトで海外への発信力を強化
課題
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日本語を人力翻訳してサイトに反映するまでに時間がかかるために、英語サイトの更新が年に数回に留まってしまっていた
- 英語での発信量を増やすために全てを人力翻訳で対応するとコストが膨大に
- 用語の英語表記を横断的に管理運用する仕組みが未整備であった
解決策
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機械翻訳を活用し、英語サイトの運用負荷を削減できる WOVN.io を導入
- 閲覧数の高いページは人力で翻訳校正し、他は機械翻訳で自動更新
- 大学独自の用語に対して、用語集機能を用いて英語表記を統一
結果
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人力では数年かかったであろう、1,000ページを超えるサイトの英語化を、たった3ヶ月で実現
- 英語圏からのアクセス数が増加
- 英語の問合せに対し、更新された英語ページをご案内可能になり、問合せ対応の工数削減
教育指針のひとつに「国際性」を掲げる帝京大学。2021年4月には新たに国際化推進室を設立し、コロナ禍で海外渡航が制限される中でも学内で国際交流ができる施設を作るなど、「グローバル化を日常に」を掲げてさまざまな国際化施策を進めています。
大学の Web サイトにおいても海外への情報発信力を高めるため、国際化推進室と本部広報課の連携により、 WOVN.io を活用して英語サイトの運用を改善しました。限られたリソースしかない中、どのようにして日本語サイトと同じボリュームの情報を英語でも発信できるようになったのか、また、大学ならではの専門用語の英語表記を統一管理できるようになったポイントについて、お話を伺いました。
<目次>
- 「グローバル化を日常に」。コロナ禍でも学内で国際交流できる環境づくり
- 海外への発信力を高め、日本語と変わらない情報量を英語で届けるために WOVN.io を採用
- 決め手は自動運用。大学ならではの用語統一の悩みは、WOVN.io の用語集機能で解決
- 優先順位をつけた運用で英語サイトを常にアップデート。海外の学生や研究者とのやり取りにも便利
- 英語サイトを活用し、より一層、海外への発信を強化し続けたい
「グローバル化を日常に」。コロナ禍でも学内で国際交流できる環境づくり
平山:
国際化推進室は、本学の国際化施策の全般を企画運営しています。帝京大学にはイギリス・マレーシア・香港に海外キャンパスなどの教育施設が全4か所あります(直営校以外も含む)。これらを統括していた部署が2021年4月に国際化推進室に生まれ変わりました。
福島:
私も2021年6月から国際化推進室で勤務しています。その前は2年間、帝京マレーシア日本語学院において、主にマーケティング活動に携わっていました。
守川:
帝京大学の広報を担当しています。大学公式サイトやパンフレットなど、幅広い対外発信に携わっています。
平山:
本学は教育指針のひとつに「国際性」を掲げ、異文化理解の学習・体験を重視して海外交流を行ってきました。コロナ禍では海外渡航が制限される中、海外に行かずとも学内で国際化を感じられるように、との理事長・学長の強い思いから、国際化推進室が設立されました。「グローバル化を日常に」を掲げ、以前は各キャンパスで個別に行われていた国際化施策を束ねて、さまざまな施策を行っています。
2021年4月、留学生が数多くいる八王子キャンパスに、日本人学生と留学生が第三のオウチのように気軽に交流できる施設 OUCHI COMMONS が開設されました。畳などを用いて和風建築を感じられる空間です。生活や勉学のことを質問したい留学生も、外国人の友達を作りたい日本人学生も、好きな時間に訪れることができます。ランチタイムには席が足りない程の人気です。
海外への発信力を高め、日本語と変わらない情報量を英語で届けるために WOVN.io を採用
平山:
帝京大学は海外で評価され、Times Higher Education が発表する世界大学ランキングに、2019年日本の私立大学1位としてランクインしました。この影響で英語サイトへのアクセスが増えるのは喜ばしい一方で、英語サイトをより充実させなければいけない状況でした。たとえば英語サイトのトピックス欄を見ると、最新記事が一年前の内容だったのです。国際化を推進する大学として、英語の情報が更新されていないと印象が良くないため何とかしたいと考え、広報課へ相談しました。
守川:
広報課では、法人紹介パンフレットの日英併記を進めるうえで、株式会社プロネクサス様に支援頂いていました。クオリティを満たしながら、翻訳や翻訳チェック、英語表記における用語統一などをやり切ることが困難だったのです。大学サイトも含めて海外への情報発信を強化しようという機運が高まったタイミングで、プロネクサス様から、多言語サイトを効率運用できるソリューションとして WOVN.io を紹介頂きました。
WOVN.io の利用以前は、英語サイトは日本語サイトとは別に運用していました。日本語でコンテンツを作成したうえで人力翻訳を外注し、学内で英語が分かる人に翻訳校正を依頼、そして HTML で英語サイトを制作して翻訳を反映、と時間もお金もかかっていました。「そこまでのコストに対して英語サイトの閲覧者がどれだけいるのか…?」と考えてしまうほど大変でした。
英語サイトで更新できるのは必要最小限のページに限られ、日本語サイトに対して英語サイトは10分の1の情報量でした。以前の運用方法のまま情報量や更新頻度を増やす場合、人的リソースや翻訳コストが膨大になってしまいます。英語サイトをアップデートするには、人力だけではなくシステムの活用が必要でした。日本語サイトと変わらない情報量を英語で発信できるようにするため、英語サイトの運用に WOVN.io を採用しました。
福島:
英語サイトから特に情報を届けたいのは、本学に留学検討中の海外の学生や保護者、海外の学校で本学への留学を勧める先生、協定校のスタッフなどです。英語で届く問い合わせで特に多いのは、奨学金や入試に関するものです。WOVN.io でアップデートしている英語サイトをご覧頂き、安心して受験頂きたいです。
決め手は自動運用。大学ならではの用語統一の悩みは、WOVN.io の用語集機能で解決
福島:
WOVN.io を採用した決め手は、英語サイトの自動運用が可能になることです。人・時間・費用といったコストを抑えながら、日本語で更新した情報をすぐに英語でも発信できるようになりました。
平山:
自動運用でタイムリーに発信できるため、トピックス欄の旬なニュースを海外の方にすぐ見て頂けるようになりました。
福島:
2つ目の決め手は、用語集機能で、大学独自の用語に対して対訳を統一できることです。大学でよく使われる用語や、教育指針など本学独自のフレーズを事前に登録したうえで機械翻訳をかけられるため、翻訳のバラつきを防ぐことができます。実際、英語表記の用語統一は悩みでした。以前は、情報発信元のキャンパスが異なると、たとえば部署名は英語表記を統一できていても役職の英語表記にはバラつきがあるなど、拠り所があるようで無い状態でした。
守川:
用語統一は、パンフレットの日英併記をプロネクサス様に支援頂いた一つの目的でもありました。大学組織はその多面性から数多くの用語が存在し、用語統一は大学共通の課題であると聞いたことがあります。一度ブームのように盛り上がって英語の用語集を作成しても、メンテナンスするのが大変なのです。その点、Web サイトは毎日アクティブに動いているシステムなので、WOVN.io で英語サイトを運用する限り用語集を一度作ったまま放置ということはありません。用語集の更新漏れがなくなり、鮮度の高い状態で保つことができます。
3つ目の決め手は、プロネクサス様と WOVN の連携実績です。既にお世話になっていたプロネクサス様が WOVN と連携実績をお持ちであったため、Web サイトの翻訳は WOVN も含めてトータルな体制で進められると判断しました。
優先順位をつけた運用で英語サイトを常にアップデート。海外の学生や研究者とのやり取りにも便利
福島:
英語サイトは WOVN.io での自動運用をベースにしつつ、閲覧数の高いページは機械翻訳結果を人力で校正しています。WOVN.io のおかげで一から文章を練り直す手間が省け、翻訳校正の作業時間を短縮できています。WOVN.io は複数の機械翻訳システムを組み合わせ、単語のみならず長文の原文でも精度の高い翻訳結果を表示するためです。また、過去に同様の文章や似た文章を翻訳している場合にはその翻訳結果を提案する翻訳サジェスト機能があり、日本語文の一致率 98%、85%など提示してくれるので便利です。
WOVN.io のアカウントさえ持っていれば、空いた時間で翻訳をチェックし、途中でも保存してまた後で続けられるので、翻訳確認をスピーディーに行えています。本学の Web サイトは日本語では1,000ページを超えるため、WOVN.io を導入しなければ英語サイトを運用できていなかったと思います。日本語サイトとは別に一から英文を作成し英語サイトに反映する必要があるため、英語サイトの構築に数年かかり、その頃には本学の国際化が遅れをとってしまっていたと思います。
閲覧数データを広報課から受け取ったところ、当初想定していた入試情報や学部学科情報のみならず、研究内容のページもかなり多く閲覧されていることに気づきました。英語サイトの運用改善を機に、海外研究者向けの情報発信も強化することができました。
守川:
学外からの反響としては、英語サイトの情報量や更新頻度が向上したことで、英語圏からのアクセスが増えました。
福島:
毎日、さまざまな国から問い合わせが届きます。英語の質問に対して「下記リンクをご確認ください」と英語サイトの URL を記載して回答できるようになり、問い合わせ対応の負担が減りました。以前は英語で説明を考えて記載しなければならなかったのです。また、海外の展示会で出会った方にもその場で「このページをご覧ください」とご案内できて助かっています。
平山:
他にも、研究者の先生が海外の大学に訪れて協定締結や共同研究を行った場合、すぐに英語サイトに掲載して、先生から海外の大学に「記事にしました」とタイムリーなコミュニケーションをとれるようになりました。
英語サイトを活用し、より一層、海外への発信を強化し続けたい
平山:
帝京大学では今後も、留学生の受け入れや日本人学生との交流機会を増やしていきます。2022年には外国語学部国際日本学科が誕生し、留学生と日本人学生が共に語学や日本文化、グローバル共生社会の課題などについて学んでいます。さらに、外国人留学生の日本語能力向上を目的に日本語教育センターも開設して、日本語学習の充実を図っているところです。留学生はさまざまな国から帝京大学に来ますが、皆が共通で分かる言語が英語ですので、今後も英語での情報発信を強化していきたいと考えています。
守川:
英語は他の外国語と比べ、学内の職員にとって対応しやすい言語でもあります。今後も、WOVN.io を活用し Web サイトを通して、日本語と変わらない情報量を英語でも世界中にお届けしていきたいです。
(取材日:2022年12月)
■ WOVN.io を導入いただいた Web サイト
大学サイト
URL:https://www.teikyo-u.ac.jp
帝京大学
国:日本
創立は1966年。文学部、経済学部の2学部から始まり、時代の変遷ごとに学び舎としての可能性を広げてきました。現在、10学部33学科と11研究科を擁し、大学創立の地である八王子のほか、附属病院を有する板橋、地域に根ざした宇都宮、福岡、そして霞ヶ関と5つのキャンパスを有する総合大学へと成長しています。2016年には創立50周年を迎えました。建学の精神のもと新たな50年に向け、教育・研究・医療・社会貢献の歩みを続けてまいります。