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東急電鉄を利用する訪日外国人が困らないよう、“ルールベース翻訳”を活用して運行情報を分かりやすく・スピーディに届ける

CaseStudy - KV - 東急電鉄

課題

  • 刻々と変わる列車の運行情報をよりきめ細かく、多言語でスピーディーに届ける必要があった

  • 鉄道は専門用語が多く、駅名・路線名は誤変換が生じてやすいため、単純に機械翻訳を使用するだけでは、情報が伝わらなくなってしまう

解決策

  • 運行情報のあらゆるパターンに対応できる“ルールベース翻訳”や、専門用語や固有名詞の誤訳を防げる用語集機能などを兼ね備えた WOVN.io を導入

  • 緊急時の急激なアクセス集中にも対応できる WOVN.io を導入

  • 7言語対応により、日本にいる外国人利用者の使用言語のおおよそをカバー

結果

  • 外国人利用客へ向けて、より多くのきめ細やかな情報を多言語で、分かりやすくスピーディーに届けられるようになった

  • 7言語対応は業界内でも先進的な取り組みであったため、同業他社からも反響が寄せられた

今年2022年に100周年を迎える東急グループの中で、「日本一住みたい沿線」として乗降客数において私鉄トップを誇る東急電鉄。お客さまからさらに愛される鉄道会社へ進化を遂げるべく、「人へ、街へ、未来へ。」のスローガンのもと、多くの人の生活を支えています。今回、グローバルサイトを WOVN.io で7言語化しました。日々刻々と更新される運行情報を、きめ細やかにタイムリーに多言語で届けることの重要性をお伺いしました。

 

日本人・外国人関係なく、東急電鉄を利用する全ての方へ均一な情報を届ける

織田:
我々は東急電鉄の広報として、対外的なお客様への情報発信や各事業部のサポート、報道各社からの問い合わせ・取材対応を行なっています。対外的な情報発信の中で、グローバルサイトの管理・運用を行なっております。

黒田:
私は東急株式会社・東急電鉄株式会社のホームページの全体管理を行なっております。各コンテンツの運用は6部門が行なっている形になります。

グローバルサイトは2016年に立ち上げました。当時はコンテンツを全て人力翻訳していたので、英語対応のみにとどまっていました。また翻訳するコンテンツも、企業情報や決算情報といった一部の情報を海外の投資家に向けて発信しているという状況でした。

ですが東急電鉄は、日本人だけでなく多くの外国の方にご利用いただく公共交通機関として、“全ての利用客へ均一な情報を届けなければならない”という命題を持っています。そこで、2019年頃から外国人利用客の方に向けて、通常運転であれば青色、運行に遅れが出ている場合は黄色、完全に運行が止まっていれば赤色、というように、3つの色と単語で運行情報を表示することから多言語発信をスタートしました。tokyurailways_slide1

 

きめ細かい情報を分かりやすく多言語で発信することで、お客様自身に選択肢を提供する

織田:
運行情報の英語対応を始めた当初は、列車が動いているか・遅れているか・止まっているかの3パターンさえ分かれば、それ以上詳しい情報は必要ないだろうと思っていました。ですが、例えば台風などの異常気象によって終電を繰り上げて運行を見合わせるなど、運行情報を3パターンのご案内だけでお伝えするには事足りない状況が増えてきたため、よりきめ細やかな情報をお客様へ届ける必要があると感じたんです。

昔は今のように計画運休もほとんどなかったのですが、外国人利用客がタイムリーな情報をキャッチできずに、結果的に帰宅困難者になってしまうなど、帰路の途中駅でお客様の足を止めてしまう事態が起きてしまうかもしれません。そういった事態を防ぐために、あらかじめ運行情報を把握していただき、お客様自身の行動へ選択肢を提供することが必要だと考え、WOVN.io を導入し多言語対応を実施することとなりました。日本にいらっしゃる外国人利用者の使用言語をほぼカバーできるという観点で7言語(英語、繁体字、簡体字、韓国語、タイ語、フランス語、スペイン語)を選定いたしました。tokyurailways_slide2

 

運行情報を単に機械翻訳するだけでは、思っている以上に伝わらない

織田:
もちろん Google 翻訳などの機械翻訳を使った多言語展開も可能ではありますが、鉄道情報には専門用語も多く含まれていますし、駅名・路線名はやはり機械翻訳だけでは誤変換が生じてしまい、多言語にしても伝わらなくなってしまいます。じゃあ全てを人力で翻訳しようとなると、英語へ翻訳するだけでも大変なことを7言語分全て人力でというのは現実的ではないだろうなと(笑)。

運行情報に関しても、ベースとなる文章はあるものの、運行状況に応じてベース文章をいくつか組み合わせることによって情報を発信するため、単純な翻訳作業だけではないというところも課題でした。

黒田:
企業情報などは一度多言語化してしまえばあまり更新頻度は高くないと思いますが、運行情報となると電車が動いている間はいつでも情報更新の可能性があります。それを全て人力で都度多言語翻訳をチェックしながら発信するのはコスト・稼働負荷・体制面でも難しい、というのが多言語化に踏み切れなかった原因でしたね。

 

アクセス数の振れ幅の大きさや更新性に対応できる WOVN.io を導入

黒田:
WOVN.io 導入の決め手は、すでに東急グループの別サイトでの導入実績を踏まえてという部分ももちろんありますが、加えて「対応の規模感」という点ですね。運行情報アクセス数は、平常時とそうでない時でかなり変動があります。東日本大震災の時も、1秒間に1,900件のアクセスがありました。そうなった時に弊社のサーバーだけで多言語対応を行なっていたらパンクして、ある言語では情報が見られるけど、別の言語では情報が見られないといった状態が起こっていたと思います。なので、アクセスが集中した場合でも、それに追従できるサービスが WOVN.io だったんです。

あとは先程織田も言った通り、用語集機能を使って駅名・路線名といった固有名詞や時刻表記を管理できることで誤訳を防げる部分もそうですね。

織田:
これも鉄道会社ならではですが、あらゆる運行情報パターンに対応できる“ルールベース翻訳”を適用できるというところも決め手の一つとなりましたね。自動翻訳だけではどうしてもミスリードを招いてしまいますので。

黒田:
ルールベース翻訳を少し説明すると、そもそもの日本語での文章表現において「路線名/駅名・原因・状況」などを分割して管理し、簡単な組み合わせで運行状況を伝えることで、翻訳時に簡単な翻訳および用語集の組み合わせで多言語に展開できる仕組みです。ものすごくかみ砕いた例示をするなら、「AAA は、BBB で、CCC います」で、AAA を「駅名や路線名」、BBB を「原因(異常気象など)」、CCC を「状況(運転を見合わせて)」のようにあらかじめマスター登録しておくことで、様々な組み合わせで運行状況を表現でき、翻訳も適時的確に表現できるようになります。


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(ルールベース翻訳イメージ)

黒田:
運行情報に関してはルールベース翻訳を用いていますが、WOVN さんの手厚いサポートで沢山のパターンを用意いただいていますし、パターンの組み合わせの意味がきちんと伝わるかについてもローカライズチームの方にご確認いただけている部分もすごくありがたいです。

織田:
WOVN.io 導入によって、よりきめ細やかな運行情報をきちんと出せるようになって本当によかったです。この7言語対応は鉄道業界でも先進的な取り組みだったので、他社様からも反響をいただく機会がありました。

外国人利用客からも特にクレームなどいただくことはありませんし、むしろそれこそが東急電鉄が“きめ細やかな運行情報を分かりやすくスピーディーに多言語で届ける”ことが実現できているんだなと実感しています。

(取材日:2022年5月)

 

■WOVN.io を導入いただいた Web サイト

グローバルサイト
URL:https://www.tokyu.co.jp/global/

※外部サイト へ移動しますtokyurailways_slide4

 

 

tokyurailways_logo 

東急電鉄株式会社

https://www.tokyu.co.jp/global

国:日本

業種:交通・物流

企業規模:1,001名〜


創業以来約100年にわたって安全と安心、そしてお客さまへおもてなしの心を持った鉄道運行やまちづくりを行う。2019年にはさらなる安全性の追求とサービス向上など、専門性を高めより強靭な鉄道専業会社として、東急(株)(旧東京急行電鉄)より分離・独立。
従業員一人ひとりが「ホスピタリティ」を心がけ、さらにお客さまに愛される鉄道を目指し、サービスの向上や駅施設、車両の改良など、様々な取り組みを行い、東急沿線が「選ばれる沿線」であり続けることを目指す。

 

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織田 憲幸 さん

CS・ES推進部 広報CS課(課長補佐)
趣味 バイク・スキー

 

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黒田 武 さん

CS・ES推進部 広報CS課(主事) 
趣味 ゴルフ

 

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趣味 写真・旅行

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