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ASO 対策とは?メリットやポイント、アプリストアごとの対策を解説
佐藤菜摘
アプリを開発・運営する企業にとって、収益拡大を目指す ASO 対策は欠かすことのできない施策です。ASO 対策によってアプリストア内の検索順位を上昇させることで、アプリダウンロード数を増やしたり顧客満足度の向上につなげたりするなどのメリットがあります。また、ASO 対策を行う上では、キーワードの選定やアプリアイコンの設置など、いくつかのポイントを理解しておくことが重要です。
この記事では、ASO 対策を行うメリットやポイント、アプリストアごとに行うべき具体策を詳しく解説します。
目次 |
ASO 対策とは、アプリストアで自社アプリの上位表示を目指す施策
ASO (App Store Optimization)対策とは、日本語では「アプリストア最適化」という意味になります。アプリストア最適化とは、ストア内で自社アプリの自然流入数とダウンロード数の向上を目指す、マーケティング手法のひとつです。一般的に ASO 対策は、「SEO」と「CRO」という2つの施策を軸に実施します。
SEO
SEO とは「Search Engine Optimization」の略語です。日本語では「検索エンジン最適化」を指します。ユーザーが頻繁に検索するキーワードと、アプリのタイトルや説明文の関連性を高め、自社アプリをストア内の検索ランキングで上位表示させ、自然流入を増やす施策です。
CRO
CRO とは「Conversion Rate Optimization」の略語です。日本語では「コンバージョンレート最適化」を指します。自社アプリの詳細ページに掲載する要素、つまりタイトルやスクリーンショット、説明文や動画などを最適化することで、アプリの魅力を最大限に伝え、ダウンロード数を増やす施策です。
ASO 対策を行うメリット
ASO 対策を行うことによって、アプリの収益化につながるさまざまな効果が期待できます。ここからは、ASO 対策を行うメリットについて紹介します。
アプリのダウンロード数が増える
ASO 対策を行うメリットのひとつが、アプリダウンロード数の増加につながることです。自社のアプリをより多くのユーザーにダウンロードしてもらうためには、アプリストア内の検索エンジンで、上位表示されることが重要です。例えば体重管理アプリなら、「ダイエット」「食事」といった関連性の高いキーワード検索によって上位に表示させることが必要となるでしょう。
Apple が公表した2022年のデータによると、App Store では訪問者の70%近くが、アプリを見つけるためにキーワードの検索を行っており、さらに約65%のダウンロードが検索後に行われています。つまり、ASO 対策をしっかりと行うことは、アプリのダウンロード数を増加させる上で必須といえます。
熱量の高いユーザーの獲得が見込める
熱量の高いユーザーの獲得が見込めることも、ASO 対策を行うメリットです。「偶然 Web で広告を見たから」といった理由ではなく、アプリストアの検索機能から能動的にアプリをダウンロードするユーザーは、課題解決のために自ら情報を取りに行く、アクティブな利用者だといえます。そうしたユーザーは熱量が高く、自社のファンに成長する可能性があります。ASO 対策によって、熱量の高いユーザーにアプローチができれば、将来的な収益向上にもつながるでしょう。
広告施策との相乗効果が期待できる
ASO 対策を行うメリットとして、広告施策との相乗効果も挙げられます。アプリストアでの CVR (コンバージョン率)と、広告のパフォーマンスは連動しているためです。アプリ詳細へ流入したユーザーの CVR が高ければ、SNS 広告やディスプレイ広告などの費用対効果がより高まります。
顧客満足度の向上につながる
顧客満足度の向上につながる可能性があることも、ASO 対策を行うメリットといえます。ASO 対策を行うためには、ユーザー視点に立って自社アプリの独自性やユーザー課題を把握することが必要です。それらの取り組みをすることで、結果として顧客満足度も向上していくでしょう。
ASO 対策のポイント
ASO 対策では、タイトルやアプリアイコン、スクリーンショットをはじめ、さまざまな要素に関して工夫が必要です。ここからは ASO 対策を行う際の具体的なポイントについて解説します。
キーワードの選定
ASO 対策の中でも、SEO の観点から重要となるのが、上位表示を狙うキーワードの選定です。自社アプリに関連性の高いキーワードを選び、「どの用語で検索されたときに上位表示させたいのか」をよく検討して絞り込むことが大切です。さらに、対象のキーワードとともによく検索されるサジェストキーワードも合わせて収集しておきましょう。
キーワードの反映
キーワードを選定したら、それをタイトルやサブタイトルなどに反映することが重要です。アプリのタイトルやサブタイトルは、ASO 対策の成否を左右する重要な要素です。選定したキーワードをしっかり反映させ、独自性を大切にしつつ、アプリの内容がわかりやすい端的なものにしましょう。キーワードはタイトルだけでなく、説明文にも入れると効果的ですが、入れすぎると逆効果になる可能性もあるため、全体的に不自然にならないよう注意が必要です。
アプリアイコンの設置
ASO 対策においては、どのようなアプリアイコンにするかも重要です。アイコンは、タイトルと並んでアプリの内容をひと目で伝える役割を果たします。ASO 対策を成功に導くには、シンプルかつ独創性があり、アプリの特徴が伝わりやすいアイコンを設置することがポイントです。
スクリーンショットの設置
アプリストア内でアプリの魅力をわかりやすく伝えるスクリーンショットを設置することも、ASO 対策に効果的です。アプリの説明文はユーザーがテキストを細かく読む必要がありますが、スクリーンショットは視覚的・直感的にアプリの強みを把握できます。アプリストアで最初に見るスクリーンショットが魅力的であれば、ダウンロード数の向上にも役立つでしょう。
アプリレビューへの誘導
ASO 対策では、アプリレビューへの誘導を行うことも必要です。アプリを実際に使用したユーザーのレビュー数や採点は、アプリストア内の検索ランキングの順位や、ダウンロード数にも影響するといわれます。レビューを促すには、ユーザーの満足度が高まる適切なタイミングで、アプリの評価をリクエストするのが効果的です。
さらに、レビューに対しては、評価の良し悪しにかかわらず、誠実に返信をしていくことも重要です。そうした対応により、自社アプリの信頼性をユーザーにアピールできるでしょう。
ディープリンクの設定
ディープリンクの設定も、ASO 対策では欠かせません。ディープリンクとは、Web サイトや自社が提供する別のアプリから、特定のアプリコンテンツにユーザーを直接移動させるリンクのことです。ディープリンクを設定することで、ユーザーが少ない手数でアプリにアクセスできます。それによって、アプリダウンロード数の増加や、検索ランキングの向上にもつながります。
AB テストの実施
ASO 対策では、AB テストも実施しましょう。AB テストとは、複数のものを比較して、成果が出たほうを採用するマーケティング手法です。アプリのアイコンや画像、動画、説明テキストなどに関する AB テストを行い、ユーザーにとってより魅力的なものを採用することで、アプリストア画面の CVR を高めることができます。
App Store の ASO 対策
現在、国内でアプリを供給する主要なストアには App Store と Google Play があります。ストア内検索での上位表示に必要な対策はそれぞれ異なるため、ガイドラインをよく確認し、それに沿って設定をすることが大切です。ここでは、App Store で推奨されている ASO 対策について解説します。
正確なキーワードを選択する
App Store における ASO 対策では、正確なキーワードの選択が大切です。App Store では、100文字以内でキーワードを登録できます。アプリを探すユーザーが検索するであろうキーワードを考えて登録しましょう。
また「キーワードや複数のキーワードを区切るコンマの前後にスペースを使用しない」「商標登録された語句や著名人の名前などを無断使用しない」「アプリに関連性のないキーワードを使用しない」といった決まりもあるので注意してください。
印象に残るアプリ名やサブタイトルをつける
App Store の ASO 対策では、印象に残るアプリ名やサブタイトルなどをつけることも重要とされています。App Store ではアプリ名の文字数の上限は30文字です。シンプルで覚えやすく、アプリの内容が伝わりやすい名前にすることが必要です。また、サブタイトルではより詳しい機能や特徴を説明することが推奨されています。
適切なカテゴリーを選択する
適切なカテゴリーの選択も、App Store での ASO 対策においては重視されます。カテゴリーは、ユーザーが自分のニーズに合ったアプリを見つける上で特に大切な要素となります。アプリの主な機能やテーマに最も関連性が高いカテゴリーを選択しましょう。
ポジティブな評価を増やす
App Store における ASO 対策では、ポジティブな評価を増やす取り組みも必要です。評価とレビューはアプリの詳細ページに表示され、ストア内の検索結果に表示される順位にも影響します。ユーザーからポジティブな評価やレビューを受けるためには、ユーザーがセッションを完了し、アプリの動作が安定していることを確認してから、適切なタイミングで評価をリクエストすることが重要です。
アプリ内イベントを公開する
アプリ内イベントの公開も、App Store における ASO 対策では重要となります。アプリ内イベントとは、ゲームコンペティションやライブストリーミング体験など、アプリやゲーム内で行われるタイムリーなイベントのことです。アプリ内イベントを設定することで、イベントの簡単な説明を含むイベントカードがアプリストア内に表示されます。これによって、新規ユーザーの獲得や既存ユーザーへの情報提供などを行うことができます。
アプリ内課金のプロモーションを行う
App Store の ASO 対策として、アプリ内課金のプロモーションも推奨されています。アプリ内課金プロモーションを行うと、ユーザーがアプリをダウンロードする前でも、アプリストアでアプリ内課金アイテムの内容を直接確認して購入することが可能です。それによって、アプリの新規ダウンロードを促せます。
Google Play の ASO 対策
Google Play のガイドラインにおいても、タイトルからユーザーエクスペリエンスまで、ASO 対策で具体的に取り組むべきことが公示されています。ここからは、Google Play で推奨されている ASO 対策について解説します。
理解しやすいタイトルや説明文をつける
Google Play の ASO 対策では、理解しやすいタイトルや説明文をつけることが推奨されています。まずは、一般用語を避け、アプリの内容を効果的に表す固有のタイトルをつけることが大切です。その際に、絵文字や ASCII 文字を使いすぎると、プログラムで問題が発生することがあるため避けましょう。
また、アプリの説明文の中で最も重要なテキストは、Google Play アプリとウェブストアの両方でスクロールしなくても読めるよう、上半分に表示することが推奨されています。
画像アセットを用意する
Google Play での ASO 対策では、画像アセットを用意することも大切です。ユーザーの目にとまりやすいアイコンや画像、スクリーンショットを準備しましょう。特に高品質のスクリーンショットを追加することは、アプリの魅力を視覚的に伝え、検索結果やカテゴリー、注目のアプリリストなどでアプリを目立たせることに役立ちます。
ユーザーエクスペリエンスを高める
優れたユーザーエクスペリエンスを作ることも、Google Play の ASO 対策では重要とされます。ストア内のアプリのランキングは、ユーザーの評価やクチコミ、ダウンロードなどさまざまな要素の組み合わせにもとづいて決まります。
したがって、評価やコメントによってフィードバックを提供するようユーザーに呼びかけ、ユーザーのコメントに返信をしたりトラブルに対処したりすることが大切です。そうした取り組みを継続的に行うことで、優れたユーザーエクスペリエンスを提供でき、アプリのランキング向上につながります。
ASO 対策を経て、よりダウンロード数を伸ばすには?
ストア内での上位表示とダウンロード数増加を目指す ASO 対策は、自社アプリをより多くの人に届けるための重要な施策です。しかし少子高齢化の影響から、ビジネスモデルによっては、今後国内マーケットのみで長期的にダウンロード数を伸ばし続けることは難しいかもしれません。
将来的にアプリによる収益を伸ばしていくためには、年々増えている在留外国人市場や、ネット人口が増加している海外の国への展開が有望だと考えられます。さまざまな国や地域のユーザーにアプリをダウンロードしてもらい、長く使い続けてもらうためには、最適な UI や UX の設計が必要です。そのために、アプリの多言語化は必須となります。
先ほど紹介した Google Play ではストア掲載情報の自動機械翻訳サービスを利用できますが、それだけでアプリの多言語化が万全にできるわけではありません。アプリを提供する企業が専用の翻訳サービスを利用してアプリを多言語化することで、より多くの海外ユーザーにアプローチできるでしょう。
アプリを多言語化するには「WOVN.app」がおすすめ
自社アプリのグローバル展開を目指して、アプリを多言語化するには、「WOVN.app」の導入がおすすめです。通常は、言語別アプリの開発やファイル管理によって多言語化を実現されているケースが少なくないですが、「WOVN.app」なら、既存のアプリに SDK をインストールするだけで、簡単に多言語化できるため、開発工数を大幅に削減し、多言語化したアプリをいち早く市場にローンチできます。
また、プッシュ通知に関しても自動的に翻訳されるため、各言語の通知をそれぞれ作成する手間は必要ありません。修正作業が簡単で都度のストア申請も不要ため、スムーズに運用できます。さらにシステムの安定性が担保されているので、大規模なアクセスにも対応可能です。
自社アプリの ASO 対策とともに、アプリの多言語化を行う場合は、既存のアプリを追加開発不要で多言語化できる「WOVN.app」をぜひご検討ください。
佐藤菜摘
前職は、広告代理店にて大手CVSの担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年WOVN Technologies株式会社に入社し、広報業務を担当。2022年よりMarketingチーム。