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アプリ開発の手順は?成功のポイントをわかりやすく解説

佐藤菜摘

デジタル時代といわれる現代において、アプリは事業運営に欠かせなくなっています。販売促進や競争力強化のために、自社アプリを開発したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
ただ、自社でアプリ開発をしたいと思っても、その手順がわからず戸惑うケースは少なくありません。
本記事では、自社でアプリ開発を行う場合の手順や、アプリ開発のメリット・デメリット、アプリ開発を成功させるポイントなどについて解説します。
目次 |
アプリとは?
アプリとは「アプリケーションソフトウェア」の略称で、特定の用途や目的に合わせて専用のプログラムを組んだソフトウェアのことです。基本的には指定された OS で動くようにプログラムされており、スマートフォンやタブレット、PC などのデバイスにインストールして利用します。
アプリには、クーポン機能やプッシュ通知機能など、継続的な利用を促すさまざまな機能が備わっています。また、Web サイトのように URL を打ち込んだり検索したりする必要がなく、一度アプリをインストールすれば、すぐに起動して目的の機能が使えることが特徴です。ユーザー向けのアプリを自社で開発すれば、顧客とのコミュニケーションがとりやすくなり、リピーター化を図ることができるでしょう。
「ユーザーとのコミュニケーションなら、自社の Web サイトがあればいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、ユーザーにとって Web サイトは、閲覧して情報を集めることが目的です。情報の流れとしては一方通行であり、静的な性質を持ちます。
それに対してアプリは、企業とユーザーの双方向のコミュニケーションを可能にする、動的なものである点が異なります。
アプリの種類
アプリには「ネイティブアプリ」「Web アプリ」「ハイブリッドアプリ」の大きく分けて3つの種類があります。それぞれの種類について解説します。
ネイティブアプリ
ネイティブアプリとは、スマートフォンや PC といったデバイスにインストールして使うアプリのことです。アプリケーションストアから各デバイスにダウンロードし、インストールして使用します。一般的には、「アプリ」というと、このネイティブアプリを指すケースが多いでしょう。
ネイティブアプリは、一度インストールすればオフラインでも利用可能です。ネットワーク環境に左右されないため利便性が高く、ユーザーにもアクセスしてもらいやすいメリットがあります。
ただし、開発にあたっては、プラットフォームごとに構築が必要になります。例えば、App Store と Google Play の両方でアプリを公開する場合、2つのアプリをそれぞれ開発しなければならず、多くの工数と費用が発生します。
Web アプリ
Web アプリとは、Web ブラウザ上で使用するアプリのことです。ブラウザ経由で配信するため、デバイスにインストールする必要がありません。OS に関係なく開発でき、1つのアプリを制作すれば、OS が異なるデバイスでも同じように利用可能です。
ただ、Web アプリはインターネット環境がないと使うことができません。また、ネイティブアプリに比べて機能面が制限されることも多く、動作や起動に時間がかかったり、デバイス特有の機能を使えなかったりすることがあります。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリは、Web サイトを作成する技術を用いて開発されたネイティブアプリです。ネイティブアプリと Web アプリの、両方の特徴を組み合わせたアプリともいえるでしょう。Web アプリと同様に比較的シンプルな言語で開発でき、ネイティブアプリのようにインストールしてデバイス特有の機能を使用できます。ただし、処理速度や安定性といった面では、ネイティブアプリと比べて劣ることがあります。
アプリ開発の方法
自社でアプリ開発を行うには、以下のような方法があります。それぞれ異なる特徴があるため、自社に合った方法を検討することが大切です。
プログラミング言語で開発を行う
アプリ開発のもっとも基本的な方法は、プログラミング言語を使用して開発することです。アプリ開発に用いられるプログラミング言語は、iOS アプリなら Swift や Objective-C、Android アプリでは Java や Kotlin、C# などが主流です。また、Web アプリ開発には、HTML、CSS、JavaScript などが使用されます。
プログラミング言語を活用することで、アプリの挙動やデザインを細かく制御でき、自由度の高い開発が可能になります。エンジニアのスキルが高ければ、独自性のある複雑な機能も実装でき、創造的なアプリ開発を行うことができるでしょう。
アプリ開発ツールを活用する
自社でアプリ開発を行う際、アプリ開発ツールを使う方法もあります。アプリ開発ツールを活用すれば、ソースコードの記述が不要なノーコードや、記述量を最小限に抑えたローコードによる開発が可能になります。ドラッグ&ドロップなど、直感的に操作できるため、専門知識やスキルがなくてもスムーズにアプリ開発ができるでしょう。
ただし、アプリ開発ツールでは、事前に用意されたテンプレートやモジュールしか使用できないため、複雑な機能や高度なカスタマイズには対応しきれません。シンプルなアプリやプロトタイプの作成に適しており、本格的な機能を持つアプリには向いていない場合があります。
ゲームエンジンで開発を行う
ゲームアプリを開発する場合は、ゲームエンジンを活用するのもひとつの方法です。ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要な機能や要素をまとめたソフトウェアパッケージのことです。3D グラフィックスや物理演算、アニメーションなど、ゲームを作るための基本的な機能がパッケージ化されており、プログラミング知識が少なくても簡単にゲームを作ることができます。
ただ、本格的なゲーム開発を行うには、ある程度のプログラミングスキルが求められます。
アプリ開発の手順
ここからは、アプリ開発の具体的な手順について解説していきます。自社アプリを開発する際の基本的な流れは、以下のとおりです。
要件定義
アプリ開発の第一歩は、要件定義です。要件定義において大切なのは、アプリの目的やターゲットとするユーザー層、必要な機能などを明確にすることです。また、「どのような機能を提供するか」という機能要件と併せて、パフォーマンスやセキュリティといった非機能要件についても定義する必要があります。
要件定義をしっかり行えば、その後の設計や開発がスムーズに進み、ユーザーの期待に沿うアプリを作れるでしょう。
反対に、要件定義が不十分だと、開発途中で方向性がずれたり、無駄な作業が生じたりする可能性があります。
設計
アプリの設計は、外部設計と内部設計に分けられます。外部設計では、アプリの開発環境や画面構成、機能などを設計します。ユーザーの操作性を重視し、直感的に使いやすい設計を考えましょう。
また、内部設計では、外部設計の内容をもとに効率的にプログラムを実装できるよう、システムの構造やデータベース、API などを細かく設計します。
設計段階でしっかりと計画することで、開発の効率が高まり、リリース後の問題を防ぐことができます。
開発・テスト
開発段階では、設計にもとづいてアプリを実際にコーディングしていきます。開発のポイントは、一気にすべてを作ろうとせず、1つずつ機能を実装してテストを繰り返すことです。そして、開発を終えたら全体のテストを行い、アプリが設計どおりに動くかどうかをチェックしましょう。
テストを通じてエラーやバグを発見し、修正していくことで、安定したアプリが提供できるようになります。
リリース
アプリが完成したら、いよいよリリースとなります。アプリをリリースするには所定の手続きが必要です。アプリの形式によって、iOS なら「App Store」、Android なら「Google Play」といったアプリストアへの登録と審査が必要です。
リリースの手続きで手間取らないように、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。また、アプリストアへの登録には費用がかかるため、事前に確認することが大切です。
運用・保守
アプリ開発はリリースしたら終わりではありません。リリース後も、アプリの安定した稼働を維持するために、サーバーの監視や障害対応、ユーザーサポートなどを行っていく必要があります。さらに、バグ修正や新機能の追加、パフォーマンスの向上など、アプリの改善を図ることも重要です。
ユーザーのフィードバックをもとにアップデートを重ねていくことで、長期的に利用されるアプリに成長させることができるでしょう。
自社でアプリ開発をするメリット
自社でアプリ開発をするメリットは、ノウハウやデータの蓄積と分析ができる点です。アプリの設計や運用に関する知識を蓄積し、次回以降の開発に活かすこともできるでしょう。
従業員のスキルが高まれば、新しい機能の変更や仕様変更にも、外注開発に比べてスピーディーかつ柔軟に対応できるようになります。その他、自社でのアプリ開発には、こだわりの機能やデザインを追求できたり、開発コストを調整しやすかったりするなどのメリットもあります。
自社でアプリ開発をするデメリット
自社でアプリ開発をする場合のデメリットは、エンジニアの確保が必要になる点です。高い技術力を持つエンジニアを確保するには、採用コストや育成に時間がかかるため、特に小規模な企業では負担が大きくなってしまうかもしれません。
また、アプリのリリース後にエンジニアが退職してしまった場合、蓄積した知識やノウハウを活用できなくなる可能性があります。
アプリ開発を外注するメリット
アプリを開発するには、自社で内製する方法の他に、開発会社に外注する方法もあります。アプリ開発を外注する最大のメリットは、専門的な技術と豊富な経験を持つプロフェッショナルに開発を依頼できることです。外注先の開発会社や制作会社は、アプリ開発に特化したノウハウやスキルを持っており、高品質なアプリも短期間で開発できるでしょう。
社内にエンジニアがいなくてもアプリ開発をスタートでき、外部の会社に依頼することで自社のリソースを他の業務に集中させることも可能です。プロジェクトの規模やニーズに応じて、必要なときにだけ外注すれば、コスト管理も行いやすくなります。
アプリ開発を外注するデメリット
アプリ開発を外注するデメリットのひとつは、信頼できる開発会社の選定が難しいことです。多くの開発会社が存在する中で、自社のニーズに合った信頼性の高いパートナーを見つけることは容易ではありません。特に初めてアプリを開発する場合、外注先の選定に時間がかかり、なかなか開発に着手できないケースも考えられます。外注先の選定を誤ると、品質の低下や納期の遅れ、コミュニケーション不足によるミスなどが発生する可能性があるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
また、アプリ開発を外注する場合は、リリース後のコストについても考慮しなければなりません。バージョンアップやバグの修正などに追加費用がかかり、長期的にみるとコストが想定より高くなることもあります。
成功するアプリ開発のポイント
アプリ開発を成功させるには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。自社開発でも外注する場合でも、以下のポイントを意識することが大切です。
ユーザビリティ
ユーザビリティとは、一言でいえば、ユーザーにとっての使いやすさです。アプリ開発は、「誰にどのように使われるのか」を明確にイメージした上で、進めることが重要です。ユーザビリティを高めるためには、ユーザーの視点でデザインや機能を考える必要があります。
例えば、ボタンの配置や文字の大きさ、カラーリング、ナビゲーションの簡潔さなど、ユーザーが直感的に操作できるような、シンプルでわかりやすいインターフェースを意識しましょう。
また、アプリの動作がスムーズで、エラーや不具合が少なく、ユーザーがストレスを感じずに使用できることも大切なポイントです。グローバル展開をしている企業の場合は、アプリの多言語化も必須といえます。
運用
アプリはリリース後も常に運用・改良を続けていく必要があります。アプリの品質を維持するには、ユーザーのフィードバックをもとに改善し、定期的なアップデートを実施することが大切です。特に、セキュリティ強化やバグ修正を怠ると、ユーザーに不便やストレスを与えるだけでなく、セキュリティリスクを招く可能性もあります。
アプリのパフォーマンス向上や新機能の追加を定期的に行い、ユーザーの期待に応え続けることが成功のカギとなるでしょう。
開発したアプリの DL 数を伸ばすなら、海外市場も検討しよう
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佐藤菜摘
前職は、広告代理店にて大手CVSの担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年WOVN Technologies株式会社に入社し、広報業務を担当。2022年よりMarketingチーム。