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インターナショナリゼーションとは?言葉の意味やローカライゼーションとの違いを紹介

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奥原 雅也

商品やサービスを海外展開する上で欠かせないのがグローバルな Web サイトです。しかし「Web サイトを言語の数だけ複製して翻訳する」という単純な方法ではサイトの運用は成功しません。今回はグローバルな Web サイト展開で重要なキーワードの1つである「国際化」について解説します。

グローバルな Web サイトとは?

グローバルな Web サイトとは、さまざまな言語や地域にあった形式で表示され、ユーザーが利用できる Web サイトのことです。日本語、英語、ドイツ語などさまざまな言語で表示でき、通貨や日付なども地域に合わせて表示されます。同じ英語でも、イギリスとアメリカでは使用通貨や日付の表記が異なるため、グローバルな Web サイトはテキストの言語を変更できるだけでなく、地域にあった情報や形式を表示することが大切です。

そして、グローバルな Web サイトを制作するのに欠かせないのが「国際化(インターナショナリゼーション)」です。

国際化(インターナショナリゼーション)とは?

「国際化」とは「特定の言語や地域に依存しない形にソフトウェアを汎用化させる」ことです。「インターナショナリゼーション」「i18n(アイイチハチエヌ)」とも呼ばれます。

国際化されていない場合、Web サイトはある特定の言語や地域の慣習にとらわれて制作されます。例えば、ソースコードに日本語のテキストが含まれているプログラムの場合、Web サイトを他の言語でも表示させるためには元の Web サイトを複製して、ソースコードの日本語テキストを翻訳しないといけません。

対して国際化されている Web サイトは、ある特定の言語や地域にとらわれない汎用的な設計となっています。別の言語で表示をさせたい場合に Web サイトを複製したり基盤のプログラムを改修したりせずに、別の言語で表示する準備ができています。

言い換えると「国際化(インターナショナリゼーション)」は、1つのソースコードでさまざまな言語や地域のユーザーに Web サイトを提供可能にするプロセスです。

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国際化(インターナショナリゼーション)、ローカライゼーション、グローバリゼーションの違い

国際化(インターナショナリゼーション)と似た用語に「ローカライゼーション」「グローバリゼーション」があります。それぞれ意味が異なりますので、その違いについても知っておきましょう。

ローカライゼーションとは?

「ローカライゼーション」は、製品・サービス(ソフトウェアやアプリケーションなども含む)・コンテンツを特定の国や言語、地域、文化、宗教、法律などに合うように対応することです。
ローカライゼーションについての詳しい内容は「ローカライゼーション(ローカライズ)とは?」をご覧ください。

国際化でさまざまな言語・地域に対応できるようプログラムを汎用化しておき、ローカライゼーションで各言語・地域の特性に応じて利用できるように対応する、という関係性です。

グローバリゼーションとは?

Web サイトにおける「グローバリゼーション」は、「Web サイトをさまざまな言語や地域で利用できるようにするプロセス」を指します。つまり、国際化とローカライゼーションを合わせて「グローバリゼーション」となります。

先述の「グローバルな Web サイト」は、国際化(インターナショナリゼーション)とローカライゼーション、どちらも対応している Web サイトといえるでしょう。

国際化(インターナショナリゼーション)しないとどうなるか?

グローバルな Web サイトに欠かせない国際化ですが、実行しないとどのような問題が生まれるか、例とともに説明します。

例1:言語を拡張したい場合

例えば、日本語のみで Web サイト提供後、日本以外の国のユーザーから「利用したい」という声があり、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語への対応を検討したとします。
この際、国際化されていないと、Web サイトの全ページを5言語分に複製する必要があります。さらに、日付や通貨など国・地域に合わせた表示が必要になり、各言語で異なるプログラムが必要となります。その結果、言語ごとに異なるプログラムやテキストが乱立してしまい、管理の負担が増え、多大なコストが発生することになってしまいます。

例2:サイトで更新があった場合

例えば、元の Web サイトを言語数分に複製し、Web サイトを運営していたとします。この際に、複製元の Web サイトでプログラムとコンテンツの修正が発生した場合、国際化されていないため、複数言語分のソースコードを修正する必要があります。言語数×サイトのページ数のメンテナンスが必要となり、多くの手間とコストが発生してしまいます。

インターネットの発達によりグローバル化が加速する現代では、Web サイトの多言語化もますます必要になってくると考えられます。今は1つの言語で Web サイトを表示できればいいという場合でも、将来的に多言語展開する必要が生じる可能性もあります。国際化を意識していないと、多言語化を進める場合に Web サイトを管理する手間とコストが現実的でないほど大きくなってしまいますので、Web サイトを構築する上では、今後の拡張やサイト運用の負担も考慮して制作することをおすすめします。

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国際化(インターナショナリゼーション)の対応例

国際化には具体的にどのような対応方法があるかをいくつか紹介します。

文字コード

文字コードを考慮せずに翻訳をしてしまうと、文字化けが発生してしまう恐れがあります。国際化では、UTF-8 のようにアルファベット以外にも漢字やハングル文字、アラビア文字など、世界のどの文字でも扱えるような文字コードを利用します。

日時、通貨、数値書式など

言語や地域に合わせた形式で表示すべき情報があります。例えば、時差が考慮されて時刻が表示されることです。また、日付の表記も地域によって異なります。同じ「2014年3月5日」であっても、アメリカでは「March 5, 2014」、イギリスでは「5 March, 2014」という表記順になります。その他、時間(12時間制か24時間制か)、通貨、数値(桁の区切り方、小数点の表記の仕方)など、さまざまな表記を汎用的な表記で保持しておく必要があります。

コンテンツ記述先

テキストや画像など、さまざまな要素は言語や地域に依存しない汎用化された形で準備する必要があります。例えば「alert(“ようこそ”);」のようなプログラムは日本語がすでにソースコードに組み込まれているので、汎用的ではありません。そこで「myMessage」のような変数を使い「alert(myMessage);」のようなプログラムにし、言語設定に応じて変数に「ようこそ」「Hello」「欢迎」など、さまざまな言語を代入できるようにします。

まとめ

「国際化(インターナショナリゼーション)」は特定の言語や地域に依存しない形に Web サイトを汎用化させることで、1つのソースコードでさまざまな言語や地域のユーザーに Web サイトを提供できるプロセスです。国際化を実装せずに多言語化を実施すると多大な手間やコストが発生し Web サイトの運用が困難になります。国境を越えて Web サイトを展開するためには、グローバルな Web サイトが欠かせません。国際化という土台を築いた上で、多言語化を推進しましょう。

参考:
『ソフトウェアグローバリゼーション入門 国際化I18Nと地域化L10Nによる多言語対応』
http://www.kokusaika.jp/images/kjp/info/digitalxpress-vol28-i18n.pdf

 

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