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コロナ禍で見出した、インバウンド復活へ繋ぐ東京タワーの取り組み|TOKYO TOWER 髙尾氏 | GLOBALIZED インバウンド2.0

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堀江 真里子
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Wovn Technologies株式会社は、2023年2月16日に国内最大級のインバウンド特化型カンファレンス「GLOBALIZED インバウンド 2.0」を東京タワーにて開催し、訪日観光に関わる多様な業界の方に向けて「訪日 DX で進化する日本の未来」をテーマにお届けしました。

当セッションでは、株式会社TOKYO TOWER 高尾 英樹氏を迎え、「コロナ禍で見出した、インバウンド復活へ繋ぐ東京タワーの取り組み」と題して、施設の強みの再発見やブランド力強化、ユニークベニューとしての発信など、3つの新たな取り組みについてお話を伺いました。

【登壇者】
髙尾 英樹 氏 
株式会社TOKYO TOWER
執行役員 観光本部長

昭和62年早稲田大学商学部卒業後、株式会社協和銀行(現株式会社りそな銀行)勤務を経て、平成28年日本電波塔株式会社(現株式会社TOKYO TOWER)入社。令和4年より東京タワー展望台の運営業務を担う株式会社タワージャパンの取締役を兼任。

 

東京タワーについて

東京タワーは多くのインバウンドのお客様で賑わっていましたが、コロナ禍によりゼロとなってしまいました。そこで一旦インバウンドの既存施策をリセットし、新たに検討しました。

その中で、東京タワーの魅力を再認識したこと、試行錯誤する中でインバウンドの呼び戻しに有効ではないかと考えたことなどをお話しいたします。

まずは弊社の紹介ですが、東京タワーを管理運営する株式会社TOKYO TOWER と申します。以前は日本電波塔株式会社という社名でしたが、分かりやすさとインバウンドのお客様の増加などを踏まえ、英字を交えた社名に変更しました。

東京タワーを公共施設と思われる方もいらっしゃいますが、弊社は民間企業です。開業は1958年、この時期はラジオ局・テレビ局の開局が相次いでおり、もともとはそれらの電波塔を集約する目的で建てられました。

時が流れ、2018年には累計で1億8,000万人のお客様をお迎えし、今年で開業65周年を迎えました。施設も適宜リニューアルしながら、お客様に快適な展望空間を提供するよう努めています。

東京タワーは、2つの展望台と足元に商業施設を用意しています。展望台には高さ150メートルのメインデッキと、高さ250メートルのトップデッキ、商業施設のフットタウンにはたくさんのお土産屋さんやフードコート、また昨年春に開業した e スポーツの施設 RED° TOKYO TOWER も入っています。

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東京オリンピック2020を見据え、メインデッキでは大規模なリニューアルを行い、2019年から今の形となりました。開業以来で初めて、窓枠を完全に入れ替え、より広い窓から迫力ある風景がご覧いただけるようになりました。また、夜間には季節毎に室内のイルミネーションや、窓枠を活用したプロジェクションマッピングを実施し、景色だけではないプラスアルファの体験をご提供しています。

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トップデッキには、鏡を敷き詰めたジオメトリックミラーを採用し、室内外からの様々な光が反射する幻想的な空間を演出しています。

この展望台に入ることができる事前予約制の“トップデッキツアー”は、海外のお客様からもご好評いただいています。東京の中心から、東西南北さまざまな東京を感じることができますので、東京全体をイメージし、これからの東京旅行に期待を膨らませる場所として、旅の初めにお越しいただくことをお勧めしています。

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コロナを脱却、東京タワーの新たな取り組み

コロナ禍以前の来場者のうち、外国人の割合は4割まで達していました。海外のお客様にも対応するため、チケットカウンターやアテンダントなどの現場スタッフは多国籍なチーム編成を行い、人によるおもてなしを重視し運営してきました。

しかしコロナにより、来場者数自体に大きなダメージを受け、海外のお客様がほぼゼロになってしまいました。

その中で、我々が取り組んだことは次の3点です。

1.施設の強みを活かした来場誘致
2.東京タワーブランドの強化
3.ユニークベニューとしての存在発信

これらの取り組みにより、多くの方々の潜在意識にあった「THE・昭和感」に変化を生み出すことができたのではないかと分析しています。

 

施設の強みを生かした来場誘致

1点目の「施設の強みを生かした来場誘致」についてです。

コロナ禍に伴い海外のお客様がゼロになってしまった中、ターゲットを国内かつ都内近郊に切り替え、来場を誘致する必要がありました。

そこで我々が始めたのが「オープンエア外階段ウォーク」という取り組みです。東京タワーにはメインデッキまでの600段の外階段があるのですが、従来は土曜日曜祝日のみ開放していました。これを、最初の緊急事態宣言解除後に毎日ご利用いただけるように変更したのです。

密ではない「オープンエア」を PR すること、さらにキャッチフレーズとして「テレワークの運動不足にも良い」とアプローチすることで、来場客が大きく落ち込んだ中でも、個人のお客様を中心にコンスタントにご利用いただけるようになりました。取材等で取り上げていただく機会も増えました。

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次の課題は団体客をどう来場誘致していくかということでした。

そこで我々は、ターゲットを国内かつ都内近郊の学校団体に絞り、DM 送付や直接訪問など、地道な営業を愚直に進めることにしました。こうしてお客様や旅行代理店様とのコミュニケーションを重ねる中で、改めて団体客にとっての東京タワーの真のメリットを再認識しました。

例えば多くの観光バスを駐車できる駐車場、団体が一堂に会し食事できるスペース、これらは団体客の都心観光には必須となりますが、東京タワーは全て備えております。また、感染症対策に加え、プラスアルファの情報を専用のホームページにまとめ、商談等に活用しました。

コロナに多少の落ちつきが見え始めた頃から、東京近郊の小学校による社会科見学の利用が少しずつ始まり、本来の教育旅行のシーズン以外にも展望台に沢山の生徒さんがみられる、従来にはない状況となりました。コロナ禍での特殊な現象だとは思いますが、2022年度の学校団体の数はコロナ禍前の水準を上回りました。

また、たくさんのお土産ショップがあることも、学校団体には良いポイントになっていると思います。お土産エリアがコンパクトに集約されていることで、生徒へ目が届きやすく、利用しやすいといったお声もいただいております。また全国旅行支援では、紙・電子クーポンの両方に対応することで、多くのお客様にご利用いただけるようにしています。

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東京タワーブランドの強化

2点目の「東京タワーブランドの強化」はインバウンドと直結したテーマとなりますが、コロナ禍において、各種 SNS を通じた情報拡散に取り組みました。

弊社ではもともと SNS にはかなり早い段階で着手しており、季節感あふれる東京タワーやライトアップ関連の投稿には多くの方に関心を寄せていただき、大きくフォロワーを伸ばしました。また、国内外からお寄せいただいたリアクションは、我々にとって大変励みになりました。東京タワー近くにある隠れた人気撮影スポットでは、主にアジアの方々を中心に行列ができているほどです。

また、ロケ撮影も積極的に受け入れております。例えば某ファッションブランドの PR ムービーでは、その象徴的なカットに業界内で大きな反響があったとお聞きしています。

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このような PR 施策が功を奏し、昨今では GUCCI、MOET&CHANDON、Louis Vuitton など世界的ブランドのライトアップを実施するなど、東京タワー自体のブランド向上にも繋がったと感じています。このライトアップを通じて、東京タワーは日本のみならず世界にも発信できるという自信にも繋がりました。

東京タワーの掲げる、「東京・日本だけに留まらない世界的ランドマークの一つへ」という目標に向け、大きな歩みを進めることができたと思います。

 

ユニークベニューとしての存在発信

3点目の「ユニークベニューとしての存在発信」についてです。

ユニークベニューとは博物館・美術館・歴史的建造物・神社・仏閣などで会議やレセプションなどを開催することで、特別感や地域特性を演出する会場と定義されております。東京タワーも会議やパーティー等、多くのお問い合わせをいただいていました。

しかし、朝から夜遅くまで一般営業があるので、貸し切りイベントを受け入れることへの躊躇もあり、2つの形態でトライすることにしました。1つは営業時間外の展望台の貸し切り、もう1つはリニューアルにより新設したイベントスペース「Club333」の貸し切りです。この2つの形態が予想以上の成果に繋がり、社内的にもノウハウを蓄積することができました。

また2つの DMO に参加することにより、周辺地域とのリレーションを築きながら、東京タワーの魅力度をアップすることにも取り組んでいます。施設「単体」ではなく、地域という「面」に加わることによって、ユニークベニューとしての東京タワーを世界にアピールしています。

ユニークなイベントとしては、隔週土曜日の営業時間前に「朝茶の湯」を行っていたり、近隣のザ・プリンス パークタワー東京とコラボして、海外でも流行っているフォトウェディングプランを提供していいたりします。

またアテンダントユニットの「Glow of Tokyo」という、多国籍なスタッフによるライブパフォーマンスチームを結成して、定期的に Club333 で演奏会を開催しています。

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世界のランドマークになるため多言語対応は必須

最後に多言語対応について、我々は2020年よりホームページに WOVN.io を導入しております。

以前はオンライン翻訳サービスに翻訳を依頼し、それを各言語の CMS に打ち直すという煩雑な作業を行っていました。WOVN.io を導入したことで、多言語対応の省力化を実現しています。

また今後のインバウンドの展開において、多言語対応を一層進めなければならないと考えておりますが、WOVN.io であれば、多大な人件費を掛けることもなく、容易に対応できると考えております。

我々はコロナ禍の先行き不透明な時期に、その時々で出来ることに愚直に取り組んできました。それが個人の誘致、団体の誘致、ブランド力の向上、また施設の効率的稼働等によって大きく成果を上げることができ、これからのインバウンド復活に向けても大きくプラスに作用するのではないかと思います。

これからも我々は、国内外全てのお客様にご満足いただけるようなおもてなしの心をもって、また「世界に名だたるランドマークの一つになる」とのパーパスをもって東京タワーを運営していきたいと思います。

東京タワーレポート画像公演後

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Wovn Technologies株式会社は Web サイト多言語化ソリューション「WOVN.io」を提供しています。多言語化についてご興味のある方は、ぜひ資料をダウンロードください。

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