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【独自調査】世界900社の実例からみるグローバルサイトの類型とは?

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堀江 真里子

グローバルサイトは、企業とステークホルダーとをつなぐ重要なブランディングツールとして、また製品を世界にアピールしてビジネス拡大を狙うためのツールとして、世界規模で事業を展開する企業にとってなくてはならない存在です。しかし、その構築・運用には様々な課題が伴います。地域ごとに異なる言語への対応、文化や商習慣・宗教への理解、法規制への対処など、考慮しなければならない観点が多数あるからです。

WOVN は「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」というミッションのもと、創業以来18,000以上の Web サイトを多言語化し、グローバルサイトの構築・運用における言語の課題を解決してきました。また、2022年1月〜3月にかけては、Web サイト多言語化のプロフェッショナルとして、世界900社・約4,000のグローバルサイトの運用状況を独自に調査しました。

2022年4月26日に開催した当社セミナー「2022年 広報が押さえるべきグローバルサイトのトレンド」では、世界のグローバルサイトの調査結果と理想とすべきグローバルサイトの考え方について、WOVN 森山 真一よりご紹介しました。本記事では、その内容をみなさまにお届けします。

※同セミナーで TMI総合法律事務所 大井先生に解説いただいた内容については「【最新版】広報が押さえるべき Web サイトの海外法規制対応」にてご紹介しています。

 

グローバルサイトの定義とよくある課題

WOVN では、グローバルサイトを国外のステークホルダーにむけて、会社情報・製品情報を、外国語で発信する Web サイト群と定義しています。この定義に基づくと、日本でも多くの企業がグローバルサイトを構築・運用していることになりますが、その実態としては「運用を現地拠点に丸投げしてしまっており、本社のガバナンスが効いていない」「現地拠点ごとにコンテンツのボリュームに差があり、営業機会の損失につながっている」などの課題がある、と森山はいいます。

そこで WOVN は、JPX日経インデックス400と FORTUNE 500にリストアップされている世界の著名企業900社を調査して類型化し、それぞれのメリット、デメリットなどをまとめました。 

 

グローバルサイトの3つの型

調査の結果、WOVN ではグローバルサイトを次の3つの類型に分類しました。
①コピーサイト型
②各国おまかせ型
③本国管理型

ここからは、それぞれについて詳しくみていきましょう。

slide1(グローバルサイトの3つの型)

 

① コピーサイト型

コピーサイト型とは、本社の Web サイトのコンテンツをそのままコピーして多言語化しているグローバルサイトのことを指します。運用は本社で一括管理されていることが多く、本国中心のビジネスを展開している企業でよくみられます。

本社の Web サイトと同じコンテンツを活用しているため、構築や運用の負荷が小さいというメリットがある一方で、自由度が低く各現地拠点に応じたマーケティング・PR 活動がしづらい、というデメリットもあります。日本では、たとえば三菱UFJ銀行がコピーサイト型を採用しています。

森山によると、金融機関のように情報の発信先が限られる業種や、現在は国内向けの事業が主軸であるものの、将来的に海外展開も見据えている、というフェーズの企業にはコピーサイト型が適しているとのことです。 

(コピーサイト型のグローバルサイトの例)

コピーサイト型のグローバルサイトでのよくある課題として、多言語サイトの一部のコンテンツが翻訳されていない多言語サイトでリアルタイムな情報発信が行えていない検索エンジンに多言語サイトとみなしてもらえていない、などが挙げられます。

そうした課題にうまく対処してグローバルサイトを運用しているのが、ミドリムシを活用した商品開発・バイオ燃料の研究などを行っているユーグレナです。

ユーグレナは、日本での事業・研究内容を海外に発信するためにグローバルサイトを運用していますが、すべてのコンテンツをもれなく英語化すること更新頻度の高いプレスリリースを日本語と英語とでリアルタイムに配信すること英語サイトを検索エンジンにインデックスさせること、の3つを見事に実現し、よくある課題に対処しています。コピーサイト型としてのグローバルサイトの先進事例のひとつといえるでしょう。 

 

② 各国おまかせ型

各国おまかせ型とは、グローバルに現地拠点をもつ企業において、各拠点がそれぞれの地域向けの Web サイトを構築・運用しているパターンを指します。事業の海外展開が進んでおり、拠点ごとに発信する情報が異なるような企業でよくみられます。たとえば、米国発のスターバックスでは各国おまかせ型が採用されていますが、各地域の文化や商習慣に合うようにコンテンツが配信されていることがわかります。

このパターンでは、各拠点での Web サイト運用の自由度が高くなるため、地域特性に合わせたマーケティング・PR 活動を行いやすいというメリットがある、と森山はいいます。一方で、自由度が高いためにルールのない Web サイトが乱立してしまい、ブランドガバナンスを効かせにくくなるというデメリットも生じるとのことです。

このメリット、デメリットを鑑みると、拠点ごとに異なる商材を取り扱っている企業や、ローカライズがビジネスに及ぼす影響が大きい企業、またデザインガイドラインや Web サイトの運用ルールを整備してモニタリングできる企業には、各国おまかせ型でのグローバルサイト運用が適しているといえます。


slide2(各国おまかせ型のグローバルサイトの例)

各国おまかせ型を採用している日本企業の例としては、自動車メーカーのスズキが挙げられます。実際のグローバルサイトをみてみると、「globalsuzuki.com」をグローバルのポータルとして、そこから日本を含めた各拠点の Web サイトに遷移できるようになっています。各拠点の Web サイトで発信されている情報も充実していることから、スズキはローカライズに力を入れ、地域特性に合わせた情報発信を行っていることが見受けられます。

 

③ 本国管理型

本国管理型とは、コピーサイト型と同様に運営主体は本社であるものの、配信するコンテンツの一部が拠点ごとにカスタマイズされているパターンを指します。このパターンは、ブランドの一貫性を重視する企業でよくみられ、たとえば製薬会社の武田薬品工業は本国管理型を採用しています。

ブランドガバナンスを効かせやすく、グローバル共通で一貫したメッセージを発信しやすいというメリットがある一方、運営主体はあくまで本社であるため、各拠点でのローカライズを行いにくいというデメリットがあります。

そのため、各拠点で扱う商材に差がなく、ブランドガバナンスを重視する企業においては、本国管理型を採用するとよいといえるでしょう。

(本国管理型のグローバルサイトの例)


セミナー内では、本国管理型のグローバルサイトを運用している日本企業の例として、産業機械メーカーのヤンマーの事例が紹介されました。ヤンマーは、海外での営業活動支援を主な目的としてグローバルサイトを運用しています。

ヤンマーはもともと、本社が日本語と英語とで  Web サイト用のコンテンツを作成し、それらを各拠点に配信したうえで、各拠点が必要に応じて現地語に翻訳する形でグローバルサイトを運用していました。しかし、この方法では各拠点の Web サイトのコンテンツの拡充が進まないという問題が生じていたため、本社がコンテンツを一括管理する本国管理型の運用に移行することを決めました。

ここでの重要なポイントは、製品情報などのローカライズすべき情報と、企業理念などの全世界共通で発信すべき情報とを切り分けて運用することですが、ヤンマーはこれを可能にした上で、グローバルサイトでの均一かつリアルタイムな情報発信を行うことに成功しています。 

 

類型ごとの課題を解決する Web 多言語化ソリューション

ここまでグローバルサイトの3つの類型について具体的にご説明してきましたが、どの類型であってもそれぞれのメリット・デメリットがあり、絶対的な正解はありません。だからこそ、自社の海外展開のフェーズや取り扱う商材を考慮して、最適な運用を模索し続けることが重要です。

元サイトと多言語サイトとで情報量に差が生じてしまう
各拠点の独自運用によるブランド毀損の恐れがある増え続ける Web サイトのボリュームに翻訳・更新が間に合わなくなってしまう、などといったグローバルサイトの運用上の課題に対して、解決策のひとつとなるのが Web サイト多言語化ソリューションです。これを活用することにより、グローバルサイトのコンテンツを一括管理したり、翻訳を自動化したりすることが可能になる、と森山はいいます。 

WOVN.io は、多言語化に必要なあらゆる作業を一つのプラットフォームで管理できる Web サイト多言語化ソリューションです。Web サイトを多言語化する際には、具体的に、①構想策定、②Web サイト構築、③翻訳、④デザイン調整、⑤公開・運用、の大きく5つの工程がありますが、②Web サイト構築以降のすべてのプロセスを一括管理できるのが WOVN.io なのです。

slide3(Web サイト多言語化の工程)

 

セミナー内でご紹介した WOVN.io の価値は3つあります。

一つ目は「多言語サイトのシステム開発が不要になる」ということです。従来、Web サイトを多言語化するためには言語ごとの HTML ファイルを用意する必要がありましたが、WOVN.io ではその必要はありません。元言語となる Web サイトにたった一行のスクリプトを挿入するだけで、翻訳データが自動的に生成され、多言語サイトを仮想的に構築することができます。

二つ目は「多言語サイトの運用を自動化できる」ことです。多言語サイトを構築した場合、構築した言語の分だけコンテンツを翻訳・更新する作業が発生するため、運用の負荷は高まっていくばかりです。

しかし、WOVN.io は元言語の Web サイトの更新情報を自動で検知して翻訳し、多言語サイトに反映するため、運用の完全自動化を実現することができるのです。もちろん、完全な自動化を望まない場合には要所で人の手を加えたり、人が訳文をチェックするフローを組み込んだりすることも可能です。

三つ目は「多言語サイトのマーケティング活動を容易にする」ことです。WOVN.io では、多言語サイト専用の URL を発行したり、SEO 関連タグを多言語化したりすることができます。これにより、「せっかく多言語サイトを構築したのに、外国人からアクセスされない…」という状況を防ぎ、グローバル規模でのデジタルマーケティングを加速させることができます。

 

まとめ

グローバルサイトの運用は、その事業特性や文化に応じてあるべき形が異なるため、企業ごとのベストプラクティスを検討し続ける必要がある、と森山は締めくくります。

WOVN.io は、本記事でご紹介したどの類型のグローバルサイトにも適用させることができるソリューションです。また WOVN は、多言語化のプロフェッショナルとして豊富な導入実績とノウハウを持ち合わせています。

グローバルサイトの運用でお悩みの方や、他社の事例にご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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