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羽田空港デジタルリテール戦略について|日本空港ビルデング 堀氏|GLOBALIZED インバウンド2.0

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北野 光平

Wovn Technologies株式会社は、2023年2月16日に国内最大級のインバウンド特化型カンファレンス「GLOBALIZED インバウンド 2.0」を東京タワーにて開催し、訪日観光に関わる多様な業界の方に向けて「訪日 DX で進化する日本の未来」をテーマにお届けしました。

当セッションでは、日本空港ビルデング株式会社 デジタル事業推進室の堀 史晴氏を迎え、「羽田空港デジタルリテール戦略」と題して、羽田空港が実施する一人一人の顧客ニーズに合わせたデジタルマーケティング活動の全容についてお話を伺いました。

 

登壇者】
堀 史晴 氏
日本空港ビルデング株式会社 
デジタル事業推進室 次長、リテール営業部(兼務)次長、マーケティング戦略部(兼務)次長

山形県出身。1994年日本空港ビルデング入社。全てのお客さまが安心・安全・快適に羽田空港をご利用いただけるように、羽田空港の DX 戦略・マーケティング戦略を推進中。

 

目次

1. 羽田空港ターミナルについて
2. 羽田空港は9年連続で5つ星を獲得
3. お客さまの生の声を聞くマーケティング活動
4. アプリで実現、旅マエ・旅アトの One to One マーケティング
5. 今後は外国人への情報発信も強化

羽田空港旅客ターミナルについて

本日は羽田空港のデジタルリテール戦略についてお話させていただきます。

日本空港ビルデング株式会社は、1953年設立で羽田空港の第1・第2ターミナルを建設、管理運営しております。現在、東証プライムに上場しており、従業員は本社251名、グループ全体で3,000名弱です。

第1・第2ターミナルは主に国内線で使用されておりますが、第2ターミナルは国際線の機能を一部有しております。オープンした直後にコロナ禍によって閉鎖されており、実質2週間弱しか運用しておりませんが、今年はインバウンド需要の回復、あるいは日本人も海外に出られるだろうということで、今年中に第2ターミナル国際線施設が再稼働できるのではないかと期待しております。

第3ターミナルは国際線です。2008年に PFI 事業として弊社が中核となり、航空会社などと共同出資した東京国際空港ターミナル株式会社が管理運営しております。

主な事業収入は航空会社、空港内の飲食店、物販店などの入居テナントからいただくターミナルビルの不動産賃貸収入と、直営及びグループ会社で運営している店舗での物品販売業や飲食業の売上です。

羽田空港の旅客ターミナルは極めて公共性の高い施設ですので、公共性と企業性の調和のバランスを保って事業展開していくことを理念としています。この基本理念に則った経営方針が4つあります。

  1. 旅客ターミナルにおける絶対安全の確立
  2. お客様本位(利便性、快適性、機能性)の旅客ターミナル運営
  3. 安定的かつ効率的な旅客ターミナル運営
  4. 企業体質の強化およびグループ企業の総合力向上

お客さまに安心・安全・快適に旅客ターミナルをご利用いただくことを基本とし、安全面を非常に重視しております。

弊社の沿革について簡単にご紹介します。

第2次世界大戦後に羽田空港はアメリカの管理下となりました。1952年に日本に返還され、わが国の空の玄関として空港を再発足させることになりましたが、戦後は非常に財政難でした。滑走路等の基本施設は国で整備することになりましたが、旅客ターミナルについては民間資本によって建築することが閣議決定されました。そこで1953年に弊社が設立され、旅客ターミナルを建設し、1955年に供用開始しました。その後、日本の航空事業の発展と共に、弊社も旅客ターミナルを拡張してまいりました。

羽田空港は9年連続で5つ星を獲得

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上の図はコロナ前の数値にはなりますが、左側が日本国内の空港旅客数ランキングで、羽田空港は1位の8,500万人強となっております。右側が世界でのランキングですが、羽田空港は5位の位置づけでした。

コロナ前は、国内線が48路線で大体1日500便ほどの出発便がありました。到着便の本数も同じぐらいで、大体1日に1,000便ぐらいが離発着する、非常に混雑している空港です。

国際線は、コロナ前の数字になりますが、53都市58路線1日170便ぐらいの規模でフライトがありました。ただ、コロナ禍は思い出すだけで泣きたくなりますが、フライトがほぼ全便欠航という日が続いており、出発ロビーを見渡すと、広い建物に対し職員も10名〜20名、お客さまは1人、2人というような状況でした。

羽田空港の旅客ターミナルの国際評価について、SKYTRAX社の評価で9年連続5スターエアポートを獲得しています。そして世界一きれいな空港「Cleanest 部門」では、7年連続世界一です。また、ご高齢の方や障害者に優しい空港「Best PRM 部門」では4年連続で世界一を獲得しています。

 ※PRM:Persons with Reduced Mobility の略で、高齢者、障がいのある方や怪我をされた方

お客様の生の声を聞くマーケティング活動

ここから、羽田空港のマーケティング活動についてご紹介します。

コロナを経てお客さまのニーズ・価値観が大きく変わりました。この変化に対応していき、顧客連携を実践していく必要があります。

 

羽田空港レポート資料2

 

上記はロードマップですが、まず「お客さまを知ること」がマーケティングの基本になります。セグメンテーションして、どんな人がいるのか、どんなニーズがあるのか、どんなペインがあるのかを探っていきます。

マーケティング活動を実践する上では、お客さまと触れ合う部分での行動変容が必要ですので、各部署との連携は欠かせません。

次にタッチポイント設計ですが、お客さまとの接点でどのようなサービスをリアル・バーチャル両面で提供していくのかを設計していきます。

最後に、マーケティング業務フローを確立し、お客さまデータを集計、収集、分析してサービスを提供し、効果測定を行うことが重要だと考えております。

羽田空港におけるマーケティングですが、まず旅客は8,700万人ほどいらっしゃいまして、旅客以外に従業員や取引先、あるいは空港に遊びに来られる方が推計値で2,700万人ほどいます。合計すると1億人以上の方に羽田空港を利用していただいているのです。この1億人のニーズを理解して、ニーズに合った価値を創造して提供することがマーケティングの基本だと考えております。

 

顧客調査・分析については4つあります。

  1. 羽田空港利用者像の仮説
  2. 追跡調査
  3. 顧客オンライン・アンケート
  4. 顧客オンライン・インタビュー調査

まず、セグメンテーションを実施し仮説を立て、属性やニーズを考え、追跡調査を行います。

例えば、「サラリーマンは旅行客と比較するとお店をあまり利用せず、一目散に飛行機に向かう人が多いのではないか」といった仮説が存在し、実際のその割合はどれくらいかといったことを調査します。

あるいは顧客オンライン・アンケートでは、Instagram やホームページでアンケートのお願いをし、お客さまの羽田空港での滞在時間や、不満など、回答いただき分析します。あるいはオンラインでお客さまと直接ミーティングをさせていただき、1時間ほど話を聞かせていただきました。

 

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アプリで実現、旅マエ・旅アトのOne to One マーケティング

また、「便利・リアルタイム・楽しい」といったコンセプトのもと、羽田空港アプリを2年前にリリースしました。

少し前のデータですが、男女比は大体6対4、年代によるばらつきはありますが20代〜60代まで満遍なく使っていただいています。

アプリに「One to One メッセージ機能」というものを作り、一人一人に合った情報を提供しています。そしてアプリが会員サービスのハブとして機能するよう、羽田空港にあるさまざまなサービスをアプリ内に集約し、安定的なアプリ稼働を実現する体制の強化や、ダウンロード数を増やすための施策を行っております。

会員サービスについては、仮説を作ってお客さまにインタビューさせていただき、「これは便利」といった生の意見を反映し作成しております。

 

羽田空港レポート資料3

 

マーケティング調査の結果より、羽田空港を利用する皆さんの多くは、「乗り遅れないかな」「定刻通りかな」というフライトへの不安を感じていることがわかりました。施策としては「フライトは定刻どおりです」といったメッセージを送ることで不安を払拭したり、あるいは「新作ケーキがありますので、クーポン使って食べませんか?」と空港内をより楽しんでいただけるメッセージを配信したりしています。

マーケティング施策においては、サイネージや SNS、ホームページといった一斉配信の情報に加え、アプリのような個人が保有するチャネルを組み合わせることによって、旅マエ・旅ナカ・旅アトでその方に合った情報をタイミングよく発信できると考えています。

例えばハワイ旅行が決定したお客さまを見てみましょう。ハワイに行く当日は「空港は混んでいるので、駐車場を予約した方が良いですよ」といった情報を個別にお知らせし、空港に到着すると GPS の情報をもとに、「羽田空港にようこそ」「混雑状況はこうです」といった情報を発信します。

保安検査所の情報をサイネージで確認したり、あるいは免税品を受け取ったり、その人に合った情報を発信することによって、空港で迷いや不安を感じることなく満喫していただくことを実現しようと考えています。

そして、発行したクーポンが実際使われたかなどを分析し、各マーケティング施策にどんな効果があったのかを検証して、次の施策に繋げていきます。

基幹システムや CRM といったお客さまの情報、施設のリアルな情報を一つのデータベースで束ね、なるべく高速に施策を考えてお客さまに提供していくことを目指しております。

今後は外国人への情報発信も強化

マーケティング活動の今後の計画は、日本人向けにはアプリを提供しつつ、現在、インバウンドが戻りつつある状況ですので、Web サイトと Web サービス、EC サイトに WOVN の多言語化ソリューション『WOVN.io(ウォーブン・ドッドアイオー)』を用いて、外国人向けにも情報発信していくことを計画しております。

 

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上図の左側が日本人向けの羽田アプリです。右側は外国人向けの Web サイトで、英語・中国語・韓国語、そしてベトナム語などを追加していく予定です。

WOVN.io を使用すると、非常に簡単に多言語化できます。その国に合った言葉やデザインをすぐに作れるので、短期間・低コストで多言語に対応できます。今後は言語の種類を増やしていくことを計画しております。

空港内の事業者は複数ありますが、羽田アプリあるいはデジタルサービスに情報を集約し、お客さまがアプリを通じて羽田空港内を安心・安全・快適に使えるようにしていきたいと思います。

1億人のお客さまがいると申し上げましたが、1億通りの過ごし方、適切な過ごし方、カスタマージャーニーがあると考えておりますので、個人個人にマッチしたきめ細かなデジタルサービスを提供し、羽田空港内をより快適に使っていただきたいです。

全ての日本人、全ての外国人、全てのお客さまに最適な顧客体験を作っていくことが重要と考えております。ありがとうございました。

 

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