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インバウンドとアウトバウンドの意味と課題の違いとは?

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小駒 海晴

「インバウンド」と「アウトバウンド」。これらの言葉を観光業界における言葉として認識している人が多いと思います。観光以外にも様々な利用シーンがあり、それぞれで意味が異なります。

そこで今回は、業界別のインバウンドとアウトバウンドの意味の違いや観光業界のインバウンドの課題などを解説していきます。

インバウンドとアウトバウンドの意味

インバウンドとは「外から内に入ってくる」という意味合いで使用されます。インバウンド消費など、旅行に関する言葉として聞き馴染みのある方が多いと思います。一方、アウトバウンドとは「内から外に出ていく」という意味合いで、インバウンドの対義語です。この2つの言葉はシーンによって意味合いが少し異なるため、業界ごとでの使われ方を理解する必要があります。

業界ごとでのインバウンド・アウトバウンドの意味の違い

業界によって意味合いが少し異なるため、業界ごとに見ていきましょう。

観光業界

観光業界において「インバウンド」は訪日旅行や訪日外国人を意味します。一方「アウトバウンド」は日本から海外に旅行することや日本人海外旅行客を表します。インバウンドは、日本政府により促進されてきたため、2000年代以降に注目を集めるようになりました。訪日外国人観光客による日本国内での消費活動を「インバウンド消費」、ビジネス市場のことを「インバウンド市場」と言われるなど、頻繁に使用されています。

コールセンター業界

コールセンター業界においても、インバウンドとアウトバウンドが使われています。インバウンドとは、企業が顧客から問い合わせを受けることを指し、顧客の疑問や相談に対する対応です。電話の内容としては「商品やサービスへの問い合わせ」や「申し込み」などが挙げられます。一方、アウトバウンドとは、企業から顧客や見込み顧客に対して行うアフターフォローや商品販売を目的としたアプローチです。

マーケティング業界

マーケティング業界におけるインバウンドとは、Web サイトやブログ、ソーシャルメディアなどで役立つ情報を提供し、自社を見つけてもらい、見込み顧客を獲得・育成して、顧客になってもらうまでのマーケティング手法です。

一方、マーケティング業界のアウトバウンドは、企業発信で一方的に消費者やターゲットに対して情報を届けていくマーケティング手法です。従来のマスメディアをイメージすると分かりやすく、テレビやラジオの CM など、情報を一方的に発信する媒体が当てはまります。

各業界におけるインバウンド・アウトバウンドの現状

ここからは、それぞれの業界の現状について見ていきます。

観光業界

日本政府観光局の統計によると、日本を訪れた外国人旅行者はコロナ前の2019年まで増加傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、旅行需要は急激になくなりました。

2022年に入り、少しずつ世界の旅行需要は回復してきています。日本経済新聞社によると欧米発の国際便座席供給数は2019年平均の8〜9割になり、欧米の旅行需要はコロナ前の水準に戻りました。(※1)
日本も2020年からの入国規制を制限付きで解除し、2022年6月から外国人観光客の受け入れを開始しています。いくつかの制限はありますが、日本の入国規制緩和において大きな転換となり、インバウンド需要が少しずつ回復していくことが予想されています。

アウトバウンドもインバウンドと同様に、コロナウイルス感染拡大に伴い、2019年12月から激減(※2)しました。海外在住者が日本に入国することはもちろん、日本人が海外に出国することが難しくなり、各国の外国人観光客受け入れ態勢や、旅行者の動向などの変化に大きな注目が集まっています。

※1:日本経済新聞社:
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61237820Z20C22A5NN1000/

※2:日本政府観光局:
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html

コールセンター業界

コールセンターのオペレーターは、インバウンド・アウトバウンド関係なく、大勢の顧客に対応します。そのため、生産性を高め、より成果を上げるためには、業務の効率化が求められています。近年の IT 技術の進化により、インバウンド向け、アウトバウンド向け、それぞれの機能を備えたコールセンターのシステムが生まれました。具体的には、自動応答システムにより顧客を待たせないようにする機能や、自動発信システムでテレアポのロスタイムを軽減する機能などがあります。他にも顧客情報の一元管理を行うための CRM ツール、頻度の高いお問い合わせに対応するためのチャットボットツール等、業務を効率化するための様々なツールが誕生しています。業務を効率化するためには、各コールセンターの特徴に合わせた IT システムを選択し、導入する必要があります。

マーケティング業界

かつて、日本では海外と比較してマーケティングの重要性がそれほど高くないといわれていました。国土が狭く、交通網が発達している日本においては、営業担当者が直接顧客に売り込む方が素早く顧客を獲得することができたためです。マーケティングを行うにしても、不特定多数に向けた広告などアウトバウンドマーケティングが中心でした。

ですが、インターネットの進化とスマートフォンの普及により、顧客は企業と様々な接点を持つことができるようになりました。また、ニールセンが2009年に世界のネットユーザー25,000人に向けて広告形態ごとの信頼度を測った調査(※3)によると、9割が「個人的な知り合いからのおすすめ」を、7割が「ネット上の消費者の意見」を信用し、一方でマス広告やデジタル広告に対する信用は低いと回答しました。この結果から、広告への信用度よりも、知り合いや第三者からのおすすめに対する信用度が高まってきています。そのため、TVCM などの企業からの一方的な発信であるアウトバウンドではなく、顧客との双方向のコミュニケーションが可能なインバウンドマーケティングに注目が集まりました。

最近、日本でも「アウトバウンドマーケティングはもう古い」といった意見もありますが、どちらが優れているということではありません。コミュニケーションを取りたいユーザーや、事業のフェーズによってはアウトバウンドマーケティングが効果的な場合もあります。事業で達成すべきことはなにかという目的を明確にし、インバウンドマーケティングかアウトバウンドマーケティングかを正しく使い分けることが重要になります。

観光業界でのインバウンドの課題

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ここからは観光業界に焦点をあてて、インバウンドの課題について考えていきます。外国人の受け入れ再開でインバウンド需要が少しずつ回復していくことが予測されていく中で、様々な課題が上げられます。キャッシュレス化や通信環境の整備など受け入れ態勢に関して課題がありますが、その中でも多言語対応は外国人観光客にストレスなく過ごしてもらうため重要な課題といえます。

「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」の結果(※4)で旅行中に困ったことの上位に「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」や「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」といったことが上位に挙げられています。これらの課題は少しずつ解決されてきていますが、まだ改善の余地が残っています。

※4 観光庁 「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート (平成30年度)」
https://www.mlit.go.jp/common/001281549.pdf

インバウンド施策としての Web サイト多言語対応

先述のようにインバウンド需要が少しずつ回復が予測される中、より多くの観光客を取り込むために商品やサービスをどのように魅力的に発信し、購入へと結び付けられるかという点でマーケティングやプロモーションも重要になってきます。

たとえば、読者のみなさまもご自身が海外に行く前に、インターネットで情報を取得すると思います。同じように外国人観光客も、これから訪れる日本についてインターネット上で調べようとします。情報収集の多くが Web サイトやスマホなどのインターネット経由であることを考えると Web サイトは日本国内のみならず世界各国のユーザーに情報発信できる実に有益な手段です。

適切に情報を届けるためには、Web サイトのコンテンツは日本語だけではなく、英語をはじめ、中国語や韓国語など多言語化が必要でしょう。日本語の情報しか掲載されていない場合よりも、多言語での情報発信により多くの外国人観光客に興味を持ってもらうことができ、集客につながるでしょう。

まとめ

インバウンドとアウトバウンドについて、業界ごとの意味合いを見てきました。ですが、どの業界においても、インバウンドは「外から入ってくる」、アウトバウンドは「内から外に出ていく」という意味を持っています。それぞれの業界においても、特徴を理解しておくことが大切です。

また、観光業界において、今後のインバウンド需要の取り込みの準備として、Web サイトの多言語化を検討してみてはどうでしょうか。

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