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グローバリゼーションとは?メリット・デメリットや具体例を解説

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北野 光平
グローバリゼーション

「グローバリゼーション」は、ビジネスでよく使われる言葉です。しかし、グローバリゼーションの意味をあらためて考えると、深く理解している人は意外と少ないかもしれません。

ここでは、グローバリゼーションの意味や、そのメリット・デメリットのほか、グローバリゼーションが注目されている理由などを、具体例とともに解説します。

目次

グローバリゼーションとは、国の枠組みを超えて、文化、経済が拡大すること

グローバリゼーション(globalization)とは、政治、文化、経済などが、国や地域の枠組みを超えて拡大していくことです。「グローバル化」とも呼ばれ、経済学や社会学など、幅広い分野で議論されるテーマでもあります。まずは、ビジネスにおけるグローバリゼーションの意味を、正しく理解しておきましょう。

ビジネスにおけるグローバリゼーションの意味

ビジネスにおいてグローバリゼーションという言葉を使う場合は、世界経済が国境を超えて一体化し、国際的な交流・連携が増加する現象を指します。

輸送手段や情報通信技術の発達、国際貿易・投資の自由化などによって、人・モノ・カネ・サービス・情報などが、国の垣根にとらわれず自由に移動できるようになりました。その結果、世界規模で経済交流が加速し、多国籍企業やグローバル企業も数多く生まれています。

国境を超えたマーケティングや販売、調達、生産なども多く行われるようになり、企業の競争環境も変化してきているのです。

グローバリゼーションと、その他似ている言葉との違い

グローバリゼーションという言葉には、同じような意味と勘違いされる言葉があります。ここでは、グローバリゼーションを正しく理解するために、「国際化」や「インターナショナリゼーション」「ローカライゼーション」との意味の違いを押さえていきましょう。

国際化との違い

国際化とは、国同士が関係を持ち、相互交流やつながりを発展させていくことです。そこには、自国と他国の区別、そして国境が存在します。

一方、グローバリゼーションは、前述したとおり世界を一体化したものとして捉え、国の区別や国境は意味を持ちません。国や地域をはじめ、あらゆる枠組みを超えてつながりが深まっていく現象が、グローバリゼーションです。

両者の違いは、言葉のイメージから考えるとわかりやすいかもしれません。国際化は「国」という文字が入っているように、自国と他国が別々に存在し、世界を国の集合体として考えます。グローバリゼーションは「globe=球」からイメージできるように、世界を境界のない1つのものとみなします。

インターナショナリゼーションとの違い

「インターナショナリゼーション(internationalization)」は、日本語に直訳すると国際化であるため、「国際化との意味の違いがわかりづらい」と感じている方も多いかもしれません。

インターナショナリゼーションとは、製品やサービス、コンテンツなどの開発において、特定の言語や地域に依存しない形に適応性を高めることを指します。インターナショナリゼーションは、アルファベットで表記したときに「i」と「n」のあいだに18文字あることから「i18n」とも呼ばれます。1つのソースコードでさまざまな言語や地域のユーザーに Web サイトを提供可能にしたり、家具などの組立説明書に翻訳が必要なテキストを使わず、図やイラストで説明したりするのもインターナショナリゼーションの一例です。

一方、グローバリゼーションは、繰り返しになりますが、世界が一体化して交流や連携が拡大していく現象のこと。つまり、グローバリゼーションを実現する手段のひとつが、インターナショナリゼーションということになります。

ローカライゼーションとの違い

インターナショナリゼーションと併せて理解しておきたいのが、「ローカライゼーション(localization)」です。

ローカライゼーションとは、製品やサービス、コンテンツなどを、特定の国や言語、地域、文化、宗教、法律などに合わせるように対応することです。日本語でいうと「地域最適化」という意味になり、「l」と「n」のあいだに10文字あることから「l10n」とも呼ばれます。

海外に向けてビジネスを展開するとき、ローカライゼーションは欠かせません。例えば、対象国の法律や規制に合わせて日本の製品をカスタマイズしたり、飲食品の成分表示を変更したりするのもローカライゼーションです。

ローカライゼーションも、前述したインターナショナリゼーションと同様に、グローバリゼーションに欠かせないものです。

グローバリゼーションが注目されている理由

グローバリゼーションが注目されるようになった背景には、技術発展の歴史があります。

第2次世界大戦以降、鉄道や航空機などの移動手段が発達し、人やモノが国境を超えて往来しやすくなりました。また、国際的な決済ネットワークや資金調達、国際送金の仕組みが確立し、国をまたいだ資金のやりとりも容易に。加えて、貿易技術の発達によりグローバルサプライチェーンが形成され、原材料の確保から製造、流通、販売に至るまで、国の枠組みを超えて最適化できるようになっています。

このような流れに加えて、グローバリゼーションを大きく発展させたのが、インターネットの普及・発展です。情報技術の急速な進化によって、さまざまなサービス、情報、アイディアなどを、距離や場所を問わず一瞬で届けられるようになりました。そのため、世界をターゲットとする事業が増加し続けています。

さらに、多くの企業がグローバリゼーションに注目する理由としては、持続可能で豊かな社会の実現を目指す ESG と SDGs も挙げられるでしょう。自国や自社の利益だけを追求するのではなく、すべての国・地域が共通の価値観でサステナブルな社会を実現するために、グローバリゼーションは非常に重要な意味を持っているのです。

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グローバリゼーションのメリット・デメリット

グローバリゼーションが進むと、企業にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。

グローバリゼーションのメリット

グローバリゼーションが生む大きなメリットには、商圏範囲の拡大と生産コストの削減、そして技術革新が挙げられます。これらは多くの企業にとって、グローバリゼーションを目指す目的ともなっています。

・商圏範囲の拡大

グローバリゼーションは、企業の事業活動の範囲を飛躍的に拡大させます。国内だけではなく海外の人々もターゲットとすることで、顧客増加や利益アップ、事業拡大につながる可能性があるのです。
特に、Web サービスは物流が必要ないため、より良いものが世界中で利用されやすくなります。

・生産コストの削減

国内よりも平均賃金の低い国に商品の生産拠点を構えたり、部品や原材料を価格の安い国から調達したりすることで、生産コストは大幅に削減できます。同じ製品を国内で製造するのに比べて、高い利益を得ることができるでしょう。

・技術革新

グローバリゼーションによってさまざまな技術や商品にふれる機会が増えたことで、それらが技術革新や新サービスのアイディアのもとになる可能性もあります。また、世界中の企業との交流により、新しいビジネスが生まれることもあるでしょう。

グローバリゼーションのデメリット

グローバリゼーションにもデメリットの側面はあります。メリットが大きい反面、グローバリゼーションには以下のようなデメリットや課題があるのです。

・自国の産業の衰退

生産コスト削減のため海外に生産拠点を移す企業が増えると、国内の産業が空洞化する可能性があります。それによって国内産業の衰退を招いたり、国内の雇用機会が減少したりすることもあるでしょう。
また、海外に生産拠点を構えることで、技術や人材の流出なども懸念されます。

・価格競争の変化

グローバリゼーションによって価格の安い商品が多く出回るようになると、企業の価格競争が激しくなります。消費者は良い商品・サービスを安く手に入れることができますが、企業にとっては利益の減少につながります。

・貧富の差の拡大

価格競争が激化し、企業がより安価な労働力を求めるようになると、貧富の格差拡大を招くおそれがあります。また、先進国やグローバル企業などが恩恵を受ける一方で、開発途上国などはグローバル市場に算入できず、経済格差が生まれる原因にもなりかねません。

メリットでふれた Web サービスなども、特定のサービスが市場を独占してしまう現象が起こりやすくなります。

グローバリゼーションを進める企業の具体例

ここからは、グローバリゼーションを進める企業の具体例をご紹介します。自社のグローバリゼーションを検討している方は、各企業の取り組みをぜひ参考にしてください。

トヨタ自動車:暗黙知として社内で伝えられてきた価値観や手法を、全世界で明文化

グローバル基準での品質確保を目指すトヨタ自動車株式会社は、海外市場専用車を海外のみで国際分業するためのプロジェクトを立ち上げ、「Made by Toyota」の車を世界に供給しています。

また、それまで暗黙知としてトヨタ内で伝えられてきた価値観や手法を「トヨタウェイ」として明文化。これによって、全世界のトヨタで働く人々が同じ価値観を共有できるようになりました。現在は海外26の国と地域に生産拠点を設け、グローバル人材の育成にも力を入れています。

ユニクロ:海外の文化、価値観に合わせたローカライズ戦略を推進

株式会社ユニクロは、2018年度のグローバル売上高が国内の売上高を超えました。東南アジア市場ではムスリム向けのヒジャブ、インドではインド女性の日常着である伝統服クルタを人気デザイナーがデザインした「クルタ・コレクション」を展開するなど、海外の文化、価値観に合わせた柔軟なローカライズ戦略を立て、実行しています。

また、日本、アメリカ、ドイツなどの店舗では、難民の方々をスタッフとして雇用する「RISEプログラム」を展開しています。

塩野義製薬:開発本部組織のグローバル化を促進し、治験などもグローバル化

塩野義製薬株式会社は、質の高い医薬品を安全かつ迅速に世界中に届けるために、アメリカ・欧州・アジアで事業展開を進めています。また、アメリカの Shionogi Inc. と欧州の Shionogi B.V. とのあいだで「グローバル開発ポリシー」を共有し、開発本部組織のグローバル化も促進しています。

国際共同治験が多くなる中、日本の国内開発本部が世界各拠点の中心となって開発プロジェクトをリードし、安全で質の高い臨床試験を推進中です。

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グローバリゼーションの課題と対策

企業がグローバリゼーションを進める上では、いくつか意識しておきたい課題があります。グローバリゼーションにはどのような課題があり、企業はそれらの課題にどう対策すればよいのかを見ていきましょう。

グローバル人材の不足

日本の企業がグローバリゼーションを進めようとするときによく直面する課題としては、グローバル人材の不足が挙げられます。グローバル人材とは、豊かな語学力とコミュニケーション能力を備え、異文化を理解して柔軟な対応ができる人材を指します。

企業には、人材育成プログラムの整備やキャリアパスの明確化、現地スタッフを指導する人材の育成などが求められるでしょう。

ダイバーシティへの取り組み

海外の企業と取引する際には、その国の文化や宗教、価値観、経済状況などへの理解が必要不可欠です。ダイバーシティ(多様性)への理解が薄いままグローバリゼーションを進めると、文化や習慣、価値観の違いからトラブルを招く可能性もあります。

「日本のやり方はこうだから」といった固定観念やこれまでの常識にとらわれず、多様性を理解し、尊重する姿勢が求められます。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、グローバリゼーションに関する課題の中で最も難しく、かつ重要だともいわれています。相手国の政治や経済、社会情勢の変化に起因するカントリーリスクは、自社でコントロールすることができません。

リスク対策チームを設ける、専門家とアドバイザリー契約を結ぶなど、万が一のリスクも検討し、備えておくことが必要です。

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多言語対応

グローバリゼーションを進めるには、自社のサービスや Web サイト、販促物などを現地の言語に対応させる必要があります。特に、Web サイトの多言語化は必須といえるでしょう。多言語対応をするには、ただテキストを翻訳するだけではなく、対象となる国や地域の文化・習慣・背景・禁忌など、さまざまな要素を考慮する必要があります。コンテンツの追加や修正のタイミングに合わせてすべてを自社内で対応するのは困難なため、Web サイトに特化した多言語化ソリューションの活用がおすすめです。 

 

グローバリゼーション推進には多言語化ソリューションの導入を

日本においてもグローバリゼーションを意識した取り組みが注目を集め、多くの企業が海外向けにビジネスを展開しています。多くの人がインターネットで情報を集める現代において、海外の企業や消費者を対象にビジネスを展開するためには、Web サイトなどの多言語化が必要不可欠といえるでしょう。

Web サイトの多言語化は、既存サイトの文字をただ翻訳すればよいというものではなく、コンテンツ、ビジュアル、デザインなどを含めて、それぞれの地域・言語・文化に合うように最適化していく必要があります。このような課題を解決するには、「WOVN.io」などの Web サイト多言語化ソリューションの導入がおすすめです。

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