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グローバルスタンダードとは?合わせるメリットや注力すべき点を解説

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佐藤菜摘

経済のグローバル化により、世界中の企業は「グローバルスタンダード」に対応することが求められるようになっています。しかし、そもそもグローバルスタンダードとはどのようなもので、対応するためには何が必要なのでしょうか。

本記事では、グローバルスタンダードの意味や種類、主な目的の他、グローバルスタンダードが重視されている理由について解説します。また、グローバルスタンダードに合わせるメリット、日本企業がグローバルスタンダードに合わせる上で注力すべき点もご紹介します。

目次

グローバルスタンダードとは世界で適用されている基準や規格のこと

グローバルスタンダードとは、世界中で共通して受け入れられている基準や規格、方法のことです。ビジネスにおいては、一般的に、国際的に通じるルールや考え方のことをグローバルスタンダードといいます。

日本をはじめ、世界の国や地域には、それぞれ独自の基準や規格、商習慣などが存在します。しかし、あらゆる領域でグローバル化が進む中、自国の基準に合わせるだけでは効率の低下を招いたり、トラブルに発展したりするかもしれません。企業が世界市場での競争力を高め、持続的な成長を目指すためには、グローバルスタンダードに対応することが重要です。

グローバルスタンダードに適応する取り組みは、製品の品質基準や安全基準、会計基準、業務の進め方など、さまざまな分野で広がっています。ただし、そもそも、グローバルスタンダードは和製英語であり、定義が曖昧な部分も少なくありません。日本でグローバルスタンダードと呼ばれるものが、すべて国際的な取り決めにもとづいているわけではないのが実情です。

グローバルスタンダードの主な種類

グローバルスタンダードには、「デファクトスタンダード」と「デジュールスタンダード」の大きく2種類があります。それぞれ解説しますので、グローバルスタンダードを理解する上での参考にしてください。

デファクトスタンダード

デファクトスタンダードは、公式に規定された基準やルールではないものの、広く使われているために事実上の標準となっているものを指します。特定の業界・分野で、企業やユーザーが自然に採用し、広まった結果として、他の選択肢よりも優先されるようになったものです。デファクトスタンダードは、法的な拘束力はありませんが、市場において優位性を持ち、実質的な規格として機能しています。

デジュールスタンダード

デジュールスタンダードとは、公的機関や標準化組織などによって正式に定められた基準や規格のことです。代表的なものに、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)によって定められた品質管理基準や、GRI(Global Reporting Initiative)によるサステナビリティに関する国際基準などがあります。
デジュールスタンダードは、規制や法律にもとづいているため、企業や個人はその基準に従わなくてはなりません。国や地域を問わず、統一した基準が適用されるため、国際的な取引を円滑に進める上でも重要な役割を果たします。

グローバルスタンダードの主な目的

グローバルスタンダードの主な目的は、国際的に統一されたルールを通じて、商品・サービスの品質や安全性を確保することです。商品・サービスの規格が国や地域、業界ごとで統一されていないと、消費者は何を基準に商品やサービスを選べばいいのかわかりません。しかし、品質基準や安全基準が明確であり、製品がその基準を満たしていることが確認されれば、消費者は安心して購入できるでしょう。結果として、海外市場における企業の信頼性が高まります。

また、グローバルスタンダードには、地球環境への負担を軽減するという目的もあります。環境に配慮した商品・サービスの開発が求められる中、グローバルスタンダードを守ることで、企業は環境への負荷を最小限に抑えた、持続的な事業推進が可能です。

このように、グローバルスタンダードは企業の信頼性と顧客の安心感を向上させ、持続的な成長を支える重要な要素となります。結果として企業の評価が高まり、国際市場における競争力の強化につながります。

グローバルスタンダードが重視されている理由

0212_slide3_1200_630グローバルスタンダードという言葉が日本で使われるようになったのは、1990年代後半からです。それから年月が経過し、現在では、さらにグローバルスタンダードが重視されるようになっています。
グローバルスタンダードの重要性が高まっている背景には、以下のような理由があります。

経済がグローバル化しているから

グローバルスタンダードは、経済のグローバル化により重視されるようになりました。経済のグローバル化とは、資本や労働力、商品・サービスなどが国境を越えて移動し、経済活動が世界的に広がることです。経済のグローバル化が進む中、日本企業も、海外市場に積極的に進出しています。貿易の拡大とともに、国境を越えたサプライチェーンが形成され、複数の国や地域をまたぐ取引が増えました。
このような事業環境において、海外の取引先や消費者との信頼関係を築くには、世界的に採用されている品質基準や取引ルールに準拠することが求められます。海外市場に対応し、競争力を維持するために、国際的な基準であるグローバルスタンダードが重視されるようになっているのです。

人的資本情報開示の動きが広まっているから

人的資本情報開示の動きが広まっていることも、グローバルスタンダードが重視されるようになった理由です。欧米では、企業に対し、個人の能力や資質といった人的資本の開示を求める動きが強くなっています。この動きは、企業が利益を上げるだけでなく、従業員や社会にどのように貢献しているかも重視する時代になったことを反映しています。
日本でも、2023年3月期決算より、条件を満たす上場企業を対象に、有価証券報告書における人的資本情報の開示が義務化されました。このような情報開示義務は、今後さらに拡大すると予想されており、企業は対応を強化する必要があります。企業価値を向上させるには、グローバルスタンダードに準じた透明性のある情報開示が求められるでしょう。

サステナビリティの意識が高まっているから

サステナビリティへの意識が世界的に高まっていることも、グローバルスタンダードが重視されるようになった理由のひとつです。近年では、地球環境や社会の持続可能性に対する意識が高まり、企業活動にもそれを反映させる必要性が増しています。多くの企業は、環境保護などの社会的責任を果たすために、サステナビリティに配慮した経済活動を推進しています。
このような中、環境や社会への影響を最小限に抑えるための共通の指針として、グローバルスタンダードが重視されるようになりました。持続可能な社会の実現には国際的な協力が不可欠であり、そのためには、国際的な環境規制や CSR(企業の社会的責任)の基準が必要です。企業はこれらの基準を守り、持続可能な未来を築くための努力が求められています。

グローバルスタンダードに合わせるメリット

グローバルスタンダードに合わせた事業活動を行うことで、企業はさまざまなメリットが得られます。主なメリットは以下のとおりです。

世界のトレンドやニーズに応じた商品・サービスを提供できる

グローバルスタンダードに合わせると、企業は、世界のトレンドやニーズに応じた商品・サービスを提供することが可能になります。グローバルスタンダードが適用される分野は、環境への配慮や安全性、品質基準など、多岐にわたります。
グローバルスタンダードに合わせれば、企業は世界のあらゆる市場においても競争力を持つことができるでしょう。事業成長を目指す上で、国内に限定されない新たなビジネスチャンスの獲得も可能です。また、グローバルスタンダードに準拠した商品やサービスは、消費者からの信頼も得やすくなります。国際的な市場におけるブランド力が強化され、長期的な利益向上も期待できます。

海外展開がしやすくなる

海外展開がしやすくなることも、グローバルスタンダードに合わせるメリットです。海外で商品・サービスを販売する際は、現地のルールにもとづき、定められた認証や規格に適合させる必要があります。グローバルスタンダードに適合することで、これらの認証や審査がスムーズに進む可能性が高くなります。
品質や安全性に関する国際的な基準を満たしていれば、海外の顧客にも安心して受け入れてもらいやすいため、市場開拓もスムーズに進むでしょう。グローバルスタンダードに合わせることは、海外展開や海外市場での競争を有利に進める力となります。

日本企業がグローバルスタンダードに合わせる上で注力すべき点

0212_slide2_1200_630グローバルスタンダードと聞くと、品質や安全性に関する基準をイメージする方が多いかもしれません。しかし、グローバルスタンダードはそれだけではなく、企業活動全般を国際的な基準に合わせていく取り組みといえます。
日本企業は、これまで国内のルールや慣習に則ってビジネスを進めてきたケースが少なくありません。グローバルスタンダードに合わせるためには、以下のような課題に取り組む必要があります。

女性管理職の比率向上

日本企業がグローバルスタンダードに適応するためには、女性管理職の比率向上に取り組むことが大切です。あらゆる分野で男女平等が求められる中、女性の活躍を促進することは、企業の社会的な責任といえます。特に、育児や家庭との両立支援策の拡充は、女性が仕事を続けやすい環境を提供するために欠かせません。フレックスタイム制度の導入、育休後の職場復帰支援の他、男性従業員も育児休暇を取得しやすくする環境づくりなどが必要になるでしょう。
これらの取り組みは、企業のダイバーシティを推進し、多様な人材が活躍できる環境を作るとともに、グローバル市場における競争力を高めることにもつながります。女性のリーダーシップを重視する社会の流れに合わせ、日本企業もこれらの改革を早急に進めるべきといえます。

日本型の労働慣行の改革

日本型の労働慣行の改革も、グローバルスタンダードに適応する上で重要な取り組みです。全国規模で事業を展開している企業などでよく見られる、東京を中心とした人事ローテーションは、グローバルスタンダードに反するものです。従業員の能力を十分に活かすためには、海外拠点間の異動や地域特化型の人材配置など、柔軟な人事制度への転換が求められます。また、働き方の多様化に合わせ、リモートワークをはじめとしたフレキシブルな勤務体制の導入も大切です。

サステナビリティの推進

グローバルスタンダードに合わせるためには、サステナビリティを推進することも重要です。例えば、再生可能エネルギーの活用、脱炭素への取り組みなどは、世界の国と地域が関心を持っており、ESG 投資における投資対象の評価項目としても重視されています。事業活動におけるサステナビリティの推進は、今後、日本企業がグローバルスタンダードに合わせていく上で注力すべき点といえるでしょう。

Web サイトなどの多言語化

日本企業がグローバル市場で競争力を高めるためには、Web サイトや各種システム、ツールの多言語化が欠かせません。特に、在留外国人や訪日観光客が増加する中で、Web サイトなどの多言語化に対応することは、企業の成長の力となります。多言語化を進めることで、国内外の顧客層に向けたサービスが充実し、より多くの顧客にアプローチできるようになるからです。
さらに、ビジネスのグローバル化により、さまざまな国籍の従業員がいっしょに働く職場も増えています。このような企業においても、社内ポータルやシステムなどの多言語化は重要です。

グローバルスタンダードを意識し、ビジネスを最適化しよう

グローバルスタンダードとは、世界中で活用されている基準や規格のことです。経済のグローバル化が進んだ現代において、グローバルスタンダードは、世界各国の企業が意識しなくてはならなくなっています。企業にとっては、グローバルスタンダードに合わせることで、世界基準に適合した商品・サービスを提供できるようになり、海外展開しやすくなるといったメリットがあります。グローバルスタンダードを意識し、ビジネスを最適化していきましょう。
一方で、日本企業がグローバルスタンダードに合わせるには、女性管理職の比率向上、労働慣行の改革など、解決しなければいけない課題もあります。また、増え続ける在留外国人、訪日観光客に商品・サービス情報を提供するために、Web サイトなどコミュニケーションツールを多言語化することも大切です。

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