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SaaS も「多言語対応」が必須?!SmartHR が実践する、外国人従業員を抱える企業にも選ばれるサービスとは

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佐藤菜摘
WOVNセミナー_SaaS も「多言語対応」が必須?!SmartHR が実践する、外国人従業員を抱える企業にも選ばれるサービスとは

 本記事のポイント 

  • 在留外国人の増加で「外国人ユーザー」が当たり前に

  • 貴重な開発リソースは自社サービスの強化に投下。WOVN.io で工数をかけずに多言語対応を実現

  • 多言語機能の利用ユーザー数は2年で約4倍に増加。他社との差別化で選ばれるサービスへ

Wovn Technologies株式会社は、2023年6月21日に株式会社SmartHR プログレッシブデザインの Han Jaehee 氏をゲストに迎えセミナーを開催。「エンプラ攻略の鍵 SaaS 製品『多言語対応』のポイント」と題して、自社 SaaS 製品の多言語対応についてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。

【登壇者】
Han Jaehee
株式会社SmartHR
プログレッシブデザイン
マルチリンガルマネージャー

2007年日本に留学し、卒業後いくつかの韓国系会社で法人営業、ローカライズ、CS(Customer Satisfaction)を経験。 2018年2月に株式会社SmartHR へカスタマサポートで転職後、2020年4月から SmartHR を日本語以外の言語でも利用できる多言語化対応機能を担当している。


山﨑 健弘 
Wovn Technologies株式会社
Service Department Head

2007年に新卒で中小の SI 企業へ入社。その後、商社系の大手 SI 企業へ事業譲渡されたため移籍。 大手食品メーカーや大手コンビニの基幹システム構築プロジェクトにおいて PMO や開発、品質管理、構成管理等を担当。 2017年 Wovn Technologies株式会社に入社、カスタマーサクセスを担当。 2022年より Service Department Head に就任。


佐藤 菜摘
Wovn Technologies株式会社
Marketing Department 

前職では、広告代理店にて大手 CVS の担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年 Wovn Technologies株式会社に入社、CB(Communication and Branding)チームとして広報業務を担当。2021年より CEO’s Office として社内エンゲージメントやインターナルコミュニケーションを中心とした業務に従事。2022年より Marketing チーム。

 

佐藤(WOVN):
労務管理クラウド5年連続シェア No.1の SmartHR さんで多言語化を担当している Han さんに、自社製品の7言語対応についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします!


Han(SmartHR):
SmartHR は、人事労務手続きのペーパーレス化による業務効率化や従業員の生産性向上を実現するサービスとして開発されたソフトウェアです。人事労務にとどまらず、あらゆる業務が SmartHR を中心に繋がっていくような世界を目指しています。

お客様からの要望やニーズによって、組織図などの人事データベース機能と、人事評価などの人材マネジメント機能を提供しており、従業員が自身の情報を直接入力し、蓄積される従業員情報を人事に関わるあらゆるシーンで活用できる仕組みになっています。

多言語対応、なぜ必要?

佐藤(WOVN):
まず、多言語対応が必要となっている社会的背景ですが、日本の人口は減っていく一方、在留外国人は増加し、先日ついに300万人を突破したというニュースが出ていました。
また、インバウンドの消費額が5兆円といわれている中、在留外国人市場は5.2兆円とインバウンド消費を上回っています。

そして外国人労働者数は10年前から約3.5倍に増え、182万人となっています。外国人労働者の割合を国籍別に見ると、最も多いのがベトナム(25.7%)です。続く中国(24.3%)と合わせておよそ半数を占めています。
日本で働いている外国人は日本語が流暢というイメージがありますが、話せるけれど読み書きができないという人は多い印象ですね。

次の表は外国人を雇用している事業所数を規模別にまとめたものです。規模が一番大きい(500人以上)事業所は約1万件あります。

スライド_1

産業別で見ると、製造業が圧倒的に多く、サービス業、小売、宿泊・飲食が続いています。

スライド_2

Han(SmartHR):
当社のお客様も元々は飲食や観光業が多かったのですが、近年は製造業のお客様もかなり増えてきました。製造業で働く外国人のニーズに対応するべく、2020年の年末調整からポルトガル語への対応も開始しました。


山﨑(WOVN):
当社もここ数年特に製造業のお客様が増えています。やはり外国人従業員が多いことから、会社のイントラサイトへの導入実績も増えました。


佐藤(WOVN):
当社も多国籍チームなのですが、 SmartHR さんを使う前は紙ベースで年末調整手続きを行っていたので、外国人メンバーは漢字が書けないことや文化の違いから非常に苦労していました。今は SmartHR さんに大変お世話になっています(笑)

誰でもプロダクトを使えるよう徹底的に考え、価値を届ける

佐藤(WOVN):
Han さんが所属する「プログレッシブデザイン」という部署について、教えてください。


Han(SmartHR):
プログレッシブデザイングループは、主に Web アクセシビリティ対応と多言語対応の2つをメインに行っています。アクセシビリティというと、ホスピタリティや人を助ける「やさしさ」をイメージするかと思いますが、一番大事なのは「やさしさ」という気持ちで解決することではなく、テクノロジーとプロセスで解決することだと考えています。
目が不自由な人や日本語に不安を持っている人でもプロダクトが使いやすく、利用できる人をより横に広げ、多くの方へ価値を届ける部署です。

1つ目の「Web アクセシビリティ対応」についてご説明します。
目が不自由な人は Web サービスを使う際にスクリーンリーダーという音声読み上げソフトウェアを利用しています。スクリーンリーダーで使いづらい部分がないようにアクセシビリティのスペシャリストが対応しています。

2つ目が、私たちマルチリンガルマネージャーが行う「多言語対応」です。日本語の読み書きに不安のある人も使えるように、得意な言語を選択できる機能を提供しています。


山﨑(WOVN):
WOVN.io の機能でいうと、スクリーンリーダーで読み上げるときの言語設定や、画像説明の自動翻訳ができるので、SmartHR さんのようにアクセシビリティをしっかりと考えられているサービスの一助になれているのではと思います。

WOVN.io で工数をかけずに初期段階から多言語対応

佐藤(WOVN):
ここからは SmartHR さんがなぜ多言語対応したのか、実際のオペレーション、多言語対応の効果、という3点をお伺いします。


Han(SmartHR):
きっかけはお客様からの要望でした。
従業員がアンケートの質問に答えるだけで年末調整の書類が作成できるため、「これは便利だ!」とすごく好評でした。ですが、アンケートの文言が日本語だけだと外国人従業員は内容を理解できないため、人事担当者へアンケート内容を質問します。せっかくシステムを導入したにも関わらず、質問の対応に時間を取られるので、「システムを外国語対応できないか」というご要望を受け、年末調整機能の多言語対応をスタートしました。


佐藤(WOVN):
WOVN.io 導入当初から5言語(現在は6言語)へ対応されていますが、まず英語からのスモールスタートをする考えはありませんでしたか?


Han(SmartHR):
WOVN.io を使わず自社で開発するのであれば、英語のみの対応も検討していたと思います。ですが、WOVN.io であれば、たとえ複数言語であっても1言語のみの場合と工数はそれほど変わらないことがわかったので、初めから5言語対応を行いました。


山﨑(WOVN):
既にあるサービスを多言語対応する際に、一番大変なのが開発のワークフローにどう組み込むかを考えることです。複雑なので自社で対応すると、開発の運用工数が凄まじくなると思います。


佐藤(WOVN):
当初、自社の開発チームで多言語対応するお話はありませんでしたか?


Han(SmartHR):
当時は開発リソースがそこまで潤沢ではなかったので、多言語対応は外部のツールを使ってリソースを割かないようにし、自社サービスの強化のために開発リソースを使う方針になりました。


山﨑(WOVN):
SmartHR さんとは定例で打ち合わせをしていますし、開発のワークフローに合った形の最適化に取り組んでいます。迷わずに多言語対応を達成するための機能とサービスを提供できるところが WOVN の強みと考えています。

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(SmartHR Hanさん)


佐藤(WOVN):
続いて、どのように多言語対応しているのでしょうか?


Han(SmartHR):
SmartHR では画面全体を翻訳対象にせず、翻訳する箇所を細かく指定することで品質を管理しています。人事労務情報を蓄積するシステムのため、個人情報もすべて画面上に表示されます。そういった中で、氏名が機械翻訳されると誤った表記になる場合があります。自分の氏名が誤訳されてしまうと、ユーザーはシステムを信頼できなくなります。これはリスクがあると判断し、翻訳対象にするべきところと翻訳対象除外とするところを分けて管理しています。


佐藤(WOVN):
多言語対応してないシステムを外国人が閲覧するとき、ご自身でブラウザの翻訳機能や機械翻訳ツールを使うため、システム提供側が意図しない内容で認識されたり、誤認による操作ミスが起きたりといった懸念もありますよね。


Han(SmartHR):
そして、私が WOVN.io で一番気に入っているのが「ライブエディター機能」です。ライブエディターは実際のサービス画面上で起動すると、そのまま翻訳内容の入力や修正ができます
また、翻訳サジェスト機能では過去に使われた文言と似た表現を参照でき、過去の文言と今翻訳しようとしている文言がどれくらい一致しているのかパーセンテージで表示されます。新たに1から翻訳をしなくても過去のデータを使うことが可能です。

翻訳する立場からすると、周辺情報が多いほど翻訳の質が上がると考えています。従来はエクセルで管理したテキストを翻訳をしていたため、実際の画面上でどのように表示されるのかがわかりませんでした。なので、実際の画面を見ながら翻訳できるライブエディターはとても好きな機能です。

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佐藤(WOVN):
SmartHR さんの多言語対応について、自社ならではの取り組みやこだわりについても教えていただけますか?


Han(SmartHR):
多言語対応だけにコミットする専任チームを立ち上げたことが一番良かったと思います。
専任がいるメリットは、その場のお客様の要望に応えるだけではなく、先のことを考えて一歩踏み込んだ対応ができる点です。
また、単純に日本語を外国語に変換するだけではなく、外国籍ユーザーがどうすれば使いやすくなるのかを考えるようになりました。プロダクト自体も多言語対応をより考慮した仕様に変えるためプロダクトチームと相談するなど、専任になってからは仕事の質が上がったと思います。


山﨑(WOVN):
多言語対応を兼務でやられる企業も非常に多いです。SmartHR さんのように専任であれば、どういう導線にするか、どんなユーザー体験にしていくかなど踏み込みやすく、結果も出やすいのではないかと感じます。


佐藤(WOVN):
兼任でしか多言語対応が難しいという皆様も、当社がサポートするのでご安心ください!
では最後に導入の効果についてお伺いします。


Han(SmartHR):
2021年1月末〜2023年1月末の集計データですが、全体のユーザー数は約2倍に増加し、その中で多言語機能の利用ユーザー数は約4倍に増加しました。
外国人従業員が多く在籍する企業に導入いただくことが増えています。実際に、株式会社睦サポート様と株式会社東京インターナショナルスクールグループ様は、SmartHR が多言語対応をしているため導入いただいた企業です。

Q&A

佐藤(WOVN):
ここからは視聴者の方からの質問にお答えいただきます。「多言語対応の機能は、オプション料金で提供されているのでしょうか?」


Han(SmartHR):
多言語対応を必要とするお客様だけに提供するオプション機能としています。
多言語対応が不要なお客様に外国語が表示されて逆に混乱してしまうことを避けるためにそのようにしています。


佐藤(WOVN):
次の質問です。「6言語の翻訳は全て社内のネイティブの方が対応していますか?機械翻訳も使うケースはありますか?」


Han(SmartHR):
社内にネイティブがいる言語といない言語があり、いない言語に関しては基本的に WOVN にプロ翻訳を依頼しています。分量が少ないときは、機械翻訳を使うこともあります。機械翻訳を使う際は複数の機械翻訳を利用して同じ結果が出るのかというような検証をしています。


佐藤(WOVN):
本日はありがとうございました!

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(左:SmartHR Hanさん、右:WOVN 山﨑)

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