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外国人従業員を雇用するメリットは?人材を定着させるポイントを解説

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佐藤菜摘

近年、国内の労働力不足の解消や、バックボーンの異なる多様な人材の獲得を目的に、外国人従業員を積極的に雇用する企業が増加しています。組織に外国人従業員を加えることで、リソースの拡充、多様性・イノベーションの創出を見込めます。一方で、従業員同士の価値観や文化が異なることから、環境・ルールの整備や社内の意識改革が不十分だと、トラブルが生じる可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、外国人従業員を雇用することのメリット・デメリットや、外国人従業員が能力を発揮し職場に定着するための環境づくりのポイントをご紹介します。

目次

外国人従業員の雇用状況と課題

最初に、外国人従業員の雇用状況と課題について解説します。外国人従業員の雇用をめぐる現状をつかむための参考にしてください。

外国人従業員は増加傾向にある

厚生労働省が2025年1月に公表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」によると、2024年10月末時点で外国人労働者数は230万2,587人、外国人を雇用する事業所数は34万2,087ヵ所です。2023年10月末時点に比べ、従業員数は25万3,912人、事業所数は2万3,312ヵ所増加し、共に2007年以降で最多になりました。

在留資格別に見ると、「技能実習」の外国人労働者は前年比で14.1 % 増加しています。この増加率は、「専門的・技術的分野の在留資格」の20.6 % に次いで2位の高さです。

外国人従業員が増えている要因には、国内の労働者人口減を補うために企業が積極的に外国人従業員を受け入れていること、政府や自治体も外国人従業員の雇用を支援していることなどが挙げられます。特に、競争力の強化や職場の活性化を目指して、グローバル企業を中心に外国人従業員の獲得を増やしていることも増加要因のひとつでしょう。

※1 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ【本文】」(2025年1月)
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001389442.pdf 

技能実習制度が廃止となり、育成就労制度がスタート

2027年より施行予定の「育成就労制度」は、人手不足の分野における人材の育成と確保を目的とする制度です。従来、多くの企業で適用されていた技能実習制度は廃止となり、今後は、人手不足を補うことを重視する育成就労制度が適用されることになります。
育成就労制度では、日本での3年間の就労を通じて、特定の知識・技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能1号」に該当する人材を確保し、育成していくことを目指します。

特定技能在留外国人は約25万人

特定技能制度は、人手不足が問題となっている産業において、一定の専門性・技能を持った人材を即戦力として受け入れる制度です。この制度における在留資格には、前述の特定技能1号と、熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの「特定技能2号」があります。
2024年6月末時点で、約25万人の特定技能在留外国人が企業で働いています。

※2 出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和6年6月末)」(2024年10月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001428398.pdf

高度外国人材の多くは中国籍

高度外国人材とは、日本の産業にイノベーションをもたらすことが期待される人材のことです。高度な学術研究、専門・技術活動などに従事する外国人が対象であり、高度外国人材に認定されると、出入国在留管理上のさまざまな優遇措置が受けられます。
2023年末時点で、日本には約2万人の高度外国人材がいます。出身国はさまざまですが、60 % 超の人材が中国籍です。

※3 出入国在留管理庁「国籍・地域別高度外国人材の在留者数の推移」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001421740.pdf

外国人従業員が安心して働ける環境が求められている

外国人従業員が増加する中で求められているのは、彼らが安心して働ける環境です。職場には異なる文化や習慣を持った人々が集まるため、労働環境や就業規則の見直し、待遇の改善などを行う必要があります。
また、高度な専門技術、知識を有した外国人従業員は、企業にとっては重要な戦力です。組織に定着し、積極的に働けるよう、長期的な視点で成長をバックアップする体制を構築する取り組みも欠かせません。雇用管理やフォローを適切に行うことで、離職の抑制などを期待できるでしょう。

外国人従業員を雇用するメリット

0154_slide2外国人従業員を雇用することには、複数のメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。

労働力が確保されて生産性が上がる

外国人従業員を雇用すると、労働力が確保され、生産性が上がります。日本では、生産年齢人口の減少などを背景に、さまざまな産業において深刻な人手不足が生じています。外国人従業員を雇用すれば、人手不足の問題を軽減可能です。従業員が増えることで業務負荷の分散が図れ、ワーク・ライフ・バランスの向上、ひいては生産現場の生産性向上も期待できます。

海外進出の足掛かりになる

海外進出の足掛かりになることも、外国人従業員を雇用するメリットです。当然ながら、外国人従業員は外国籍を持ち、日本語以外の言語を話すことができるでしょう。外国語を話せることや、もし進出地域に知見がある従業員がいれば、企業にとって海外進出の重要な戦力となります。海外進出に伴う市場調査、現地での交渉など、さまざまな場面で事業への貢献を期待できるでしょう。

組織の多様化につながる

外国人従業員を雇用すると、組織の多様化につながるメリットもあります。文化や歴史といったバックグラウンドが日本人とは異なる人材を採用すると、組織の多様性が高まります。また、バックグラウンドの異なる従業員が働くことにより、既存の従業員も刺激を受け、これまでにない意見が出て、新しいアイディアが生まれるかもしれません。外国人従業員の雇用は、事業環境の変化に対する柔軟性を持った組織づくりにつながります。

外国人従業員を雇用するデメリット

外国人従業員の雇用には、いくつかのデメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。

コミュニケーションコストが増える

外国人従業員を雇用すると、一般的にはコミュニケーションコストが増えます。日本は、暗黙のルールがある、空気を読む、といった特徴があるハイコンテクスト文化といわれており、はっきりと言語化した説明がなくても、阿吽の呼吸でトラブルや認識齟齬なくコミュニケーションが取れるケースも少なくありません。一方、外国の多くは知識やカルチャーの違いを前提とするローコンテクスト文化で、コミュニケーションがシンプルかつ明快である点が特徴です。外国人従業員が加わると、業務の指示はもちろん、日常的な会話でも、伝えるべきことをすべて言語化したコミュニケーションが必要となるでしょう。
これを問題なく行えるようにするには、言わなくても伝わるという従来の考えを改め、従業員へのコミュニケーション方法を見直す必要があります。社内用語や業務プロセスの教育、既存の従業員との交流機会の設定なども必要になり、相応のコストがかかることが予想されます。

在留資格の確認や手続きに手間がかかる

在留資格の確認や手続きに手間がかかることも、外国人従業員を雇用するデメリットです。外国人従業員を雇用する際は、日本人を雇用する場合とは異なる手続きが必要です。在留資格の確認の他、さまざまな手続きをする必要があるため、人事担当者の負担が増加します。外国人従業員を雇用する場合は、そうした各種手続きに関する知見や、対応に要する一定のリソースの確保が不可欠です。

職場環境を調整するためのコストがかかる

外国人従業員を雇用すると、職場環境を調整するためのコストがかかります。外国人従業員が入社したら、問題なく働いてもらえるよう、外国人従業員に向けた語学学習の他、従業員としての基本姿勢や職場のルール、仕事の進め方などの指導が必要です。
既存の日本人従業員に対しても、雇用した外国人従業員の言語や宗教、文化などの違いが理解できるように研修を行う必要もあります。従業員同士の相互理解を深め、円滑に仕事を進められるようにするために、雇用時には一定の環境調整コストがかかります。

定着率が低い場合は採用コストが増える

職場への定着率が低い場合は採用コストが増えることも、外国人従業員を雇用するデメリットです。これは日本人従業員でも同じですが、雇用した従業員が早期に離職してしまうと、新たに従業員を採用しなくてはなりません。外国人従業員の場合は、前述のとおり雇用時に所定の手続きが必要になるため、日本人の場合に比べて時間や手間などのコストは大きくなるケースもあります。そのため、雇用した外国人従業員には、組織に定着してもらい、長く働けるようバックアップしていくことが大切です。

外国人従業員にとって働きやすい職場を作るための施策

0205_slide2_1200_630続いては、外国人従業員にとって働きやすい職場を作るための施策について解説します。主な施策は以下のとおりです。

社内ポータルを活用した情報共有の効率化

社内ポータルを活用した情報共有の効率化は、外国人従業員が働きやすい職場を作る上で大切な施策です。社内ポータルとは、社内のさまざまな情報が閲覧できる Web サイトのことで、従業員同士のコミュニケーションの場としても機能します。外国人従業員を雇用したら、従業員自身がさまざまな社内情報をいつでも確認できるよう、社内ポータルの導入や内容の拡充が必要です。社内ポータルの導入にはコストがかかりますが、導入すればマニュアルやコミュニケーションの場として中長期的に活用できるでしょう。

作業マニュアルや業務ルールの整備

外国人従業員にとって働きやすい職場を作るには、作業マニュアルや業務ルールの整備が必要です。日本人の従業員のみであれば、OJT や会話を通じた指導によって問題なく仕事を覚えてもらうことが可能でしたが、外国人従業員の場合は会話そのものが難しいケースもあります。作業マニュアルや業務ルールの整備をしておかないと、作業効率の低下やミスの続発を招いてしまうかもしれません。言語の異なる外国人従業員でも理解できるよう、簡潔でわかりやすい作業マニュアルや業務ルールが必要です。

勤務環境の柔軟性の確保

職場環境の柔軟性を確保することも、外国人従業員が働きやすい職場を作るために必要です。多くの外国人従業員には、母国の宗教や文化にもとづいた生活習慣があります。一日の多くの時間を過ごす職場でも、礼拝などの宗教的な行為が行われるケースを想定し、勤務時間や休暇の制度を柔軟に整備することが大切です。そのような配慮をすることで、職場が外国人従業員にとって働きやすく、多様性のある場となるでしょう。

外国人従業員が定着するためのポイント

外国人従業員に定着してもらうには、Web サイトや作業マニュアル、社内規則などを多言語化することが大切です。これらの情報が日本語表記だけでは、外国人従業員は理解するのに時間がかかります。英語版の作成はもちろん、できれば多言語化することが望ましいでしょう。外国人従業員にとっては、Web サイトなどの情報が母国語で書かれていると、早く正確に理解でき、ストレスも軽くなります。

Web サイトなどを多言語化する

外国人従業員に定着してもらうには、Web サイトや作業マニュアル、社内規則などを多言語化することが大切です。これらの情報が日本語表記だけでは、外国人従業員は理解するのに時間がかかります。英語版の作成はもちろん、できれば多言語化することが望ましいでしょう。外国人従業員にとっては、Web サイトなどの情報が母国語で書かれていると、早く正確に理解でき、ストレスも軽くなります。

メンター制度を導入する

メンター制度を導入することも、外国人従業員が定着するためのポイントです。外国人従業員は、仕事に慣れないあいだは余計なストレスがあったり、孤独や不安を感じたりすることがあります。業務以外のことを何でも相談できるメンターを付け、そうした負担を少しでも減らすことが大切です。困ったことがあればいつでもメンターに相談できる環境があることで、ストレスが軽くなり、職場にも定着しやすくなります。

日本語教育やスキルアップ支援を行う

外国人従業員に定着してもらうには、日本語教育やスキルアップ支援を行うことが大切です。外国人従業員が日本の職場で周囲と交流し、技術を習得するには、日本人以上の努力が必要です。日本人の従業員と思うようにコミュニケーションがとれず、スキルを身に付けられない状況では、長く働くことも難しくなります。外国人従業員が日本人の従業員と無理なく会話し、スキルアップできるよう、適切に支援することが重要です。

外国人従業員が働きやすい環境を作ることが、企業成長のカギ

外国人従業員を雇用すると、人手不足の解消や組織の多様化といったメリットが得られます。一方で、言語や文化には違いがあるため、日本人同士の場合以上にコミュニケーションを重視し、外国人従業員が働きやすい環境を作ることが大切です。

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外国人従業員を雇用する際には、ぜひ「WOVN.io」の導入をご検討ください。

 

 

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