
越境 EC のメリットとは?基本的な概要や必要な準備について解説
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WOVN.io Marketing Team

「越境 EC による取引を検討しているが、具体的な計画が立てられない」という企業も多く存在します。越境 EC という概念が明確ではないことから、自社の EC サイトが対応できるのかも分からないケースもあるでしょう。
本記事では越境 EC の基本とメリットを解説します。
越境 EC の意味とは?
まずは越境 EC の基本的な意味について解説します。
具体的な意味を把握した上で、越境 EC のメリットを活用できるように備えましょう。
越境 EC = 国境を越えて取引を行うこと
越境 EC とは、EC サイトを使って、国内にいながら国境を越えた先にいる相手と取引を行うことを意味します。日本に拠点を置きながらでも、インターネット上の越境 EC サイトで海外に向けて商品を販売可能です。海外向けに事業を展開する際の足掛かりとなり、自社の商品を世界中に発信するきっかけとして利用できます。
越境 EC の市場規模は拡大傾向にある
経済産業省の「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」(※1)によると、2019年における世界の越境 EC の市場規模は7,800億 US ドルと推計されています。2026年までの間に年平均成長率が30%ずつ成長していき、4兆8,200 US ドルまで達することが予想されます。また、ジェトロによる調査(※2)において、EC を利用または検討していると回答した企業のうち、69.4%の企業が「海外向け販売で EC を活用/検討している」と回答しています。具体的な販売方法としては、越境 EC(46.9%)を挙げる割合が高く、年々増加傾向にあります。
※1 経済産業省 令和2年度 電子商取引に関する市場調査
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf
※2 日本貿易振興機構(ジェトロ) 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(2022年2月)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/12f5036312ce9e76/20210064rev1.pdf
越境 EC のメリットについて
越境 EC による事業展開には、さまざまなメリットがあります。越境 EC の具体的なメリットを紹介します。
外国人ユーザーを新たなターゲットにできる
越境 EC は、外国人ユーザーに対して直接、自社製品の訴求をすることができます。 Web サイトを経由して自社製品やブランドに興味を持ってもらえれば、新たな顧客を獲得できるでしょう。
新しい販路の確保が世界を対象に行えるため、利益の拡大を目指すことが可能です。国内市場でこれ以上伸び代が見出せない場合には、越境 EC による事業の展開が検討されるでしょう。
低コストで海外に事業展開が行える
越境 EC は、低コストで海外への事業展開が行える点もメリットです。仮に、実店舗を海外に出店する場合、現地の視察や店舗の設営、従業員の雇用などに多くのコストがかかります。
一方で、越境 EC ならインターネット上で簡単に自社店舗を出店できるので、コストを抑えて海外でビジネスが行えるでしょう。
経済が成長している国に対してビジネスが行える
越境 EC は経済成長が続いている景気の良い国に対してビジネスをはじめることができます。景気の良い国には大口の顧客も多いため、高額な商品の販売などにも期待でき、上手くいけば大きな利益の獲得につながるでしょう。例えば、近年は中国向けの越境 EC 展開が広く行われていて、新たな販路の獲得を実現している企業が増えています。
越境 EC を成功させるポイント
越境 EC には検討すべきポイントがいくつかあり、これらのポイントを抑えることで成功へつながります。
言語の対応が必要になる
越境 EC による事業を行う際には、言語の違いが最初の壁となります。
事前に多言語対応を行い、自社 EC サイトの言語やデザインを外国人ユーザー向けに改良する必要があります。日本語のテキストをただ翻訳するだけではなく、使用する画像やレイアウトなどもターゲットの国の文化に合わせたほうがよいでしょう。
また、ユーザーが安心してサイトを利用できるようにするためには、商品やサービスのページだけでなく、利用ガイドや FAQ ページの多言語対応も必要です。
決済方法を複数用意する
越境 EC で利益を上げるには、商品の決済方法を複数用意する必要があります。日本国内ではクレジットカード決済が利用されていますが、国によっては別の決済手段が一般的な支払い方法として普及しているケースがあるのです。
そのため第三者支払いサービス(PayPal など)などの支払い方法を新たに導入し、 EC サイトの決済方法を整備する必要があります。
決済手段を拡充する際には、越境 EC の対象となる国を事前に調べ、主流となっている決済の方法を把握しましょう。越境 EC での決済については「越境 EC で利用できる決済サービスと選び方のポイント解説」をご覧ください。
物流や配送の体制を構築する
日本から現地に商品を配送する体制を事前に整えておくことで、配送の遅延や商品破損によるキャンセルなどに対してスムーズに対応することが可能です。日本から海外への配送方法は大きく3つあります。国によって配送手段も異なり、商品によっても方法が変わってくるため、自社にあった方法を選択し、トラブルが起きるリスクを低減させましょう。
直接配送
初期費用として費用はかからないが、サイズや形状などの制限があったり、配送スピードが遅いということがあります。また、複雑な税関手続きも必要になります。
代行サービスの活用
代行サービスが輸出に必要な書類を準備し、梱包した後に手続きを行い、代行サービス経由で商品を配送します。コストはかかりますが、面倒な通関手続きなどもすべて任せられ、非常に効率的です。
現地に拠点を持つ
物流拠点を対象とする国に置いて、現地の提携先事業者によって配送する方法です。現地からの発送になるため、商品の到着までの時間が短くなります。一方で在庫保管のための維持コストや初期費用がかかります。また、しっかりとした現地提携先を選択しないとトラブルになる原因となる可能性があるため、契約の際には注意が必要です。
問い合わせや販売後のサポート体制を準備する
越境 EC で海外展開をする際にも、国内と同様に問い合わせ対応や販売後のサポートが必要です。しかし、問い合わせや販売後のやりとりは現地の言葉で行う必要があるため、外国語を扱える専門のスタッフを雇うなどの対策が求められます。
海外向けのマーケティングを行う
越境 EC のWeb サイトを作って終わりということではありません。どのようにユーザーに自社商品を告知するのか、商品の魅力をどのように伝えるのかなどを検討しましょう。越境 EC は、そもそも国やユーザーが異なるので、国内と同じ方法を行っても集客に失敗してしまう可能性が高いです。集客施策は SNS や現地広告、SEO などさまざまな方法がありますが、扱っている商品なども考慮しながら、自社にマッチした方法を採用することが大切です。
越境 EC をはじめるために必要な準備
越境 EC をはじめるには、いくつか必要な準備があります。以下の必要な準備について解説していきます。
越境 EC の対象とする国を決める
越境 EC をはじめるには、まず展開する国や地域を決定します。自社製品と各国の需要を分析して、相性の良い地域を絞り込んでいくことも考えられます。
越境 EC で販売する商品を決める
越境 EC を展開する国・地域を決めたあとには、対象国に合わせて販売する商品を考え、商品の価格を調整する必要があります。その国に新たな需要を見出せる可能性のある商品を発見するために、事前調査を行うというのも1つの手段になります。商品に求めているニーズはなにかを十分にリサーチし、売れる算段がついてから準備をすすめることでコストと時間をかけずに多くの売り上げを目指していきましょう。
法律やルール、商取引の習慣の確認
国によっては日本では問題の無い商品だとしても、海外では使用不可だったり輸入が禁止されている商品に該当してしまう場合があります。日本とは違うところがたくさんあるため、販売する国の法律や規制、商取引の慣習などについて再度確認しておきましょう。そうすることで後々のトラブル回避につながります。
また、商品を海外へ輸出する場合は関税がかかります。関税は、国によっても異なることはもちろん、取り扱う商材によっても異なります。商材によっては輸出先や原産国、品目の材質、加工の有無、用途によって関税率は大きく異なることがあるため注意が必要です。関税や郵送については JETRO(ジェトロ)や日本郵便のホームページから各地域別に合わせて確認することができます。
出典:税関 「主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)」
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1204_jr.htm
出典:日本貿易振興機構(ジェトロ) 「輸出入に関する基本的な制度」
https://www.jetro.go.jp/world/trade.html
出典:日本郵便「万国郵便条約に基づく禁制品」
https://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/upc.html
出店方法を決める
ターゲットになる国や商品が決まったら、どのように越境 EC サイトを構築するか検討していく必要があります。いくつか代表的な出店方法を解説します。
自社で越境 EC に対応した Web サイト構築する
自社で越境 EC 対応のサイトを構築する場合は、システム開発費用をはじめ、多言語対応や配送や決済などを考える必要があります。また、海外向けのマーケティングをしっかり練ってプロモーションを行わないと、存在が認知されない可能性もあるので注意が必要です。しかし、自社で自由にデザインや機能の変更がしやすいため、自社のブランドイメージを崩さない Web サイト制作することができます。
海外対応の国内モールに出店する
日本国内で越境 EC に対応したモール(楽天や Amazon など)を利用する方法です。申込みなどもすべて日本語で対応でき、サポート体制もあり、システム構築の手間がなく運用業務の大部分を代行してもらえるため手軽です。
一方、モールが定めるルールにより、サイトのデザインや配送方法などの制限がある場合や手数料がかかることや出店先の国で十分な集客が見込めるか確認する必要があるなどの注意点があります。
海外の現地モールで出店する
日本での楽天市場やヤフーショッピングのように進出する国ごとに、多く利用されているプラットフォームがあります。集客力があるプラットフォームを活用することで、幅広いユーザーを集客できる点が強みになります。国内プラットフォームを利用した場合と同様に手数料がかります。申込みなどは現地の EC モール、EC サイト運営事業との交渉が発生するなどサポートも気軽には受けられないといったことがあるためハードルが高い面もあります。専用の代行会社がある場合は、その会社からサポートを活用することも検討してみてください。
まとめ
越境 EC は、国内から海外に向けて事業展開を行う際の手法として普及しています。越境 EC は国境を越えてビジネスをするため、法律や言語、異文化への適合といった壁はありますが、非常に魅力的な市場になっています。成功につながるポイントを踏まえて、自社の売上に貢献していきましょう。
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グローバルビジネスを行う上で重要な Multilingual Experience (多言語体験)に関する様々な情報を発信しています。
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