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インターナルコミュニケーションとは?基本的な概要や有効な方法を解説
佐藤菜摘
インターナルコミュニケーションは、社内におけるコミュニケーション全般やコミュニケーションを活性化させることを指します。実際にどのようなメリットがあり、どのような施策が有効なのかが分からないと、インターナルコミュニケーションの重要性を理解することは難しいでしょう。
本記事ではインターナルコミュニケーションの基本と、社内ポータルや Web 社内報を使った方法について解説します。
目次 |
インターナルコミュニケーションとは?
インターナルコミュニケーションは組織内の情報共有や社員間コミュニケーションの促進を実施し、組織理解や社員間の連帯感を強化することです。社内で情報を交換して相互理解を生み出せれば、社員同士の親睦が深まり、従業員エンゲージメントを向上させることが可能です。業務効率化や業績向上も期待できるでしょう。
リモートワークなどで働き方が大きく変わっている昨今、インターナルコミュニケーションの重要性は高まっています。
社内広報とインターナルコミュニケーション
インターナルコミュニケーションは、「社内広報」とは性質が異なる、という考え方があります。たとえば社内広報は経営層から社員への、比較的一方向の情報提供を指し、インターナルコミュニケーションは上司と部下、社員同士、部署間など、双方向、あるいは、さまざまな方向のコミュニケーションを重要視するというものです。本記事ではこの考え方に沿って、インターナルコミュニケーションを解説します。
インターナルコミュニケーションが重要とされる背景
社内コミュニケーションに関する調査(※)」によると、全体の7割以上が社内のコミュニケーションに課題があると回答しています。会社の規模が大きくなり部署や部門ごとの距離が離れてしまうと、別の部署がどのような取り組みをしているか見えにくくなることが懸念されるでしょう。
インターナルコミュニケーションは部門・社員間を横断して交流や情報連携を行うため、全体の情報を適切に把握できるようになる点でも魅力があります。社内の部署や部門が細分化し、それぞれが孤立していることが課題となっている場合にも、インターナルコミュニケーションは有効な対応策になるでしょう。
※数値参考:https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=222
インターナルコミュニケーションのメリット
インターナルコミュニケーションの施策には、さまざまなメリットがあります。
メリット① 生産性向上につながる
インターナルコミュニケーションで社内の交流が活性化することで、生産性向上のきっかけになります。従業員同士が協力して事業を行ったり、誰かのアイデアを積極的に採用できる空気が作られたりすれば、会社が持つ人材リソースを存分に活用できるでしょう。自社の従業員のポテンシャルを引き出して、生産性向上につなげるためにも、インターナルコミュニケーションは役立ちます。
メリット② 離職率が低下する
コミュニケーションが取りやすい社内環境を構築することで、従業員同士の絆が深まることが予想されます。居心地の良い職場が当たり前のものとなれば業務へのモチベーションも高まり、離職率の低下を期待できるでしょう。インターナルコミュニケーションと並行して、悩みなどを相談できる環境(専用窓口の設置など)を構築することで、さらに離職率を下げることも可能です。
メリット③ 社内の最新情報を従業員と共有できる
社内におけるコミュニケーションに抵抗がなくなれば、最新情報を全従業員と共有しやすくなります。会社全体の状況や成果、変化などを共有することで、適切な業務対応が行えるようになるでしょう。社内で従業員ごとに情報格差があると業務の妨げになったり、疎外感を生み出したりといったデメリットにつながります。社内で常に最新情報を浸透させ業務の最適化や疎外感の排除が可能になるのも、インターナルコミュニケーションのメリットです。
インターナルコミュニケーション戦略
インターナルコミュニケーションを成功に導くための、戦略の代表例をいくつかあげておきます。
会社の文化やビジョンの共有
従業員が企業理念や経営ビジョンを理解し信頼関係を深めるには、経営層と従業員とのコミュニケーションを活性化する必要があります。自社の情報が従業員と共有されれば、行動指針を決めたり事業展開が行えたり、会社の方針に合わせて業務を遂行できます。
トップダウン&ボトムアップのコミュニケーションの活性化
役員など経営層と一般の従業員の間に壁があると、うまく社内のコミュニケーションや情報共有ができないこともあります。そこでインターナルコミュニケーションの施策を実施し、トップダウンだけでなくボトムアップのコミュニケーションを活性化させることが重要です。そのために、たとえば後述する社内イベントなどを実施するのもよいでしょう。
現場から経営層までの距離が遠い場合、従業員からの建設的な提言が難しく、有意義なディスカッションができないこともあります。「トップから現場へ」の方向だけでなく「現場からトップへ」の情報共有を活発にするために積極的にインターナルコミュニケーション施策を検討することがおすすめです。
インターナルコミュニケーションを行う手段
実際にインターナルコミュニケーションを行う場合、いくつかの手法が考えられます。
Web 社内報・社内ポータルサイト
Web 社内報や社内ポータルサイトはオンライン上で社内向けの情報を発信する手段なので、タイムリーに経営層からの情報を発信できたり、従業員へのインタビュー特集やコラム記事、イベント告知など様々なコンテンツを組めたり、さまざまな狙いの情報を発信することが可能です。また、トップからの情報共有だけではなく、親しみやすいコンテンツで社員間のコミュニケーションを促すこともできます。このため、Web 社内報や社内ポータルサイトをインターナルコミュニケーションの中心施策として置いている企業が多いでしょう。Web 社内報の詳しい内容は「Web 社内報ならではの魅力とは?紙のスタイルと比較したメリットや作成方法を解説」をご覧ください。
タウンホールミーティングの実施
インターナルコミュニケーションの施策の一つとして、対話集会とも呼ばれる「タウンホールミーティング」があります。具体的には経営陣と従業員で積極的な意見交換が行えるような機会を設けることです。今後の目標や業績の発表などに用いられることも多く、近年はオンラインのテレビ会議を利用して全社員が参加することもあります。タウンホールミーティングは多くのメリットがある一方で、経営陣・役員と従業員の間に普段から少し距離がある場合、適切なファシリテーションがなければ従業員からの率直な提言などができない可能性もあるため注意が必要です。
社内イベントによる交流
レクリエーションイベントなどを開催し、楽しみながら交流を促す手法もインターナルコミュニケーションの一種です。たとえば食事会やスポーツ大会などさまざまな内容が考えられるため、自社で需要のあるイベントを企画するのがポイントです。従業員によってはイベントへの強制参加を負担に感じることもあるため、配慮も欠かさずに行いましょう。
動画やSNSによるコミュニケーション
近年は動画や SNS を使ったインターナルコミュニケーションも増えています。動画や SNS などは気軽な情報提供が行える上、日常的なコンテンツであるため従業員が閲覧してくれる可能性が高いです。SNS 運用や動画作成を担当する人の負担が増加したり、特定の従業員しか興味を示さずに情報の提供先が偏るケースもあるため、企画や作業効率化なども念頭にあるとよいでしょう。
インターナルコミュニケーションの課題
インターナルコミュニケーションは多くの魅力を持つ一方で、以下のようなさまざまな課題を抱えているのも事実です。
課題① 情報が風化してしまう可能性
インターナルコミュニケーションの課題は、情報を蓄積しておく仕組みがなければ情報が風化してしまう点です。社内イベントやメールなどでの情報伝達など、その場限りのコミュニケーションになってしまうと情報管理が難しくなります。単に情報を発信するだけではなく、記録に残り再度アクセスできる形で情報を蓄積する仕組みを作ることも重要になります。たとえば、社内向けのポータルサイトや Web 社内報を作成すれば情報の風化を防ぐことができると考えられます。
課題② 情報の更新に手間がかかる
更新頻度が高く、すでに公開している情報に修正が必要となる場合、紙媒体では更新に時間がかかることがあります。古い情報を発信したまま時間が経過してしまうと、誤った情報が社員に伝わり誤解が生まれてしまいます。このため、Web サイトで情報を発信するなど、すぐに情報を編集できる仕組みを準備するのがポイントです。
課題③ 外国人従業員とのコミュニケーションも考えなければならない
外国人従業員を雇用している場合、インターナルコミュニケーションには日本語以外の言語も必要になることがあります。日本語でのみ情報提供を行っていると、外国人従業員に情報が伝わらず、情報格差による業務への悪影響やモチベーションの低下などを招く恐れがあるからです。このため、社内ポータルや Web 社内報を使い、外国人従業員でも内容を理解できるような仕組みや体制が必要となります。詳しくは「社内ポータルや Web 社内報の英語化」をご覧ください。
まとめ
職場環境や従業員同士の関係性に課題を感じている場合には、インターナルコミュニケーション施策の実施がおすすめです。施策を実施する際にはインターナルコミュニケーションのメリットを十分に理解した上で、何を目的とするかを常に念頭に置き、最適な施策を実行する必要があります。タイムリーな情報更新や外国人従業員への対応など付随する課題もあるので、情報が管理しやすいコンテンツシステムや正確かつスピーディーに翻訳できる多言語化ソリューションを活用し、会社の全従業員にタイムリーに正しく情報を提供することが望まれるでしょう。
佐藤菜摘
前職は、広告代理店にて大手CVSの担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年WOVN Technologies株式会社に入社し、広報業務を担当。2022年よりMarketingチーム。