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インターナルコミュニケーションとは?概要や有効な方法を解説

佐藤菜摘

インターナルコミュニケーションは、社内におけるコミュニケーション全般や、コミュニケーションを活性化させることを指します。実際にどのようなメリットがあるのかわからないと、インターナルコミュニケーションの重要性を理解することは難しいでしょう。また、有効な施策を検討することも難しくなります。
本記事ではインターナルコミュニケーションの基本と、社内ポータルや Web 社内報の活用方法について解説します。
目次 |
インターナルコミュニケーションとは?
インターナルコミュニケーションとは、社内のコミュニケーションや、それを活性化するための活動全般を指します。
インターナルコミュニケーションによって組織の目的や価値観を共有し、理解が深まることで、従業員のモチベーション向上につながります。情報やノウハウの共有が促進されれば、業務推進が円滑になり、業務効率化や業績向上も期待できるでしょう。経営陣と従業員、部門間、拠点間などの垣根を越えた、フラットなコミュニケーションが生まれ、そこからイノベーションが発生することも、インターナルコミュニケーションの目的のひとつです。組織間のつながりが強化されることで、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
リモートワークの普及や働き方改革の影響から、ワークスタイルが大きく変化している昨今、社内のコミュニケーションに課題を感じる企業が増え、インターナルコミュニケーションの重要性が高まっています。
社内広報とインターナルコミュニケーション
インターナルコミュニケーションは、従来使われてきた「社内広報」とは性質が異なるという考え方があります。従来の社内広報は経営層から従業員への比較的一方向の情報提供を指し、インターナルコミュニケーションは上司と部下、従業員同士、部署間など、双方向あるいは、さまざまな方向のコミュニケーションを重要視するという考え方です。
本記事ではこの考え方に沿って、インターナルコミュニケーションを解説します。
インターナルコミュニケーションが重要とされる背景
ProFuture株式会社が2024年に発表した「【HR総研】「社内コミュニケーション」に関するアンケート2024(※)」では、6割以上の企業が社内のコミュニケーションに「課題がある」と回答しています。業規模が大きくなるほどその傾向が強く、反対に「課題がない」と答えたのは、企業規模にかかわらず1割程度にとどまりました。
企業規模が大きくなるほど、部署や個人の仕事が明確に分けられ、別の部署がどのような取り組みをしているか見えにくくなることがあります。分断が進めばコミュニケーションも取りづらく、業務の進行や信頼関係に影響するかもしれません。
インターナルコミュニケーションは部門・従業員間を横断して交流や情報連携を行うため、全体の情報を適切に把握できるようになる点でも魅力があります。社内の部署や部門が細分化し、それぞれが孤立していることが課題となっている場合にも、インターナルコミュニケーションは有効な対応策になるでしょう。
また、近年ではリモートワークが普及したことで、従業員同士のコミュニケーション機会の減少が課題となっています。物理的な距離がある中で、業務の進捗確認や意見交換をスムーズに行うために、情報伝達の仕組みが求められるようになりました。
ジョブ型雇用を導入する企業が増え、人材の流動化が加速していることも、インターナルコミュニケーションが重視される要因のひとつです。年功序列や終身雇用制度が崩壊し、キャリアの多様化が進む現代においては、転職が一般化しています。このような状況で優秀な人材を確保し、そのパフォーマンスを最大限に高めるには、インターナルコミュニケーションが不可欠といえます。
※ ProFuture株式会社/HR総研 「【HR総研】「社内コミュニケーション」に関するアンケート2024」
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=222
インターナルコミュニケーションのメリット
インターナルコミュニケーションの施策には、さまざまなメリットがあります。
メリット1 生産性向上につながる
インターナルコミュニケーションで社内の交流が活性化することで、生産性向上のきっかけになります。従業員同士が協力して事業を行ったり、誰かのアイディアを積極的に採用できる空気が作られたりすれば、企業が持つ人材リソースを存分に活用できるでしょう。
自社の従業員のポテンシャルを引き出して、生産性向上につなげるためにも、インターナルコミュニケーションは役立ちます。
メリット2 離職率が低下する
コミュニケーションが取りやすい社内環境を構築することで、従業員同士の絆が深められます。居心地の良い職場が当たり前のものとなれば業務へのモチベーションも高まり、離職率の低下が期待できるでしょう。インターナルコミュニケーションと並行して、悩みなどを相談できる環境(専用窓口の設置など)を構築することで、さらに離職率を下げることも可能です。
また、インターナルコミュニケーションの活性化は、従業員エンゲージメント向上にもつながります。従業員エンゲージメントとは、従業員が組織の理念や方向性に共感し、愛着を持って自発的に「目標達成に貢献したい」と考える意欲のことです。従業員エンゲージメントが高いほど、従業員と企業のつながりは強くなり、離職率は低下する傾向があります。
メリット3 社内の最新情報を従業員と共有できる
社内コミュニケーションの頻度が高くなり活発化されると、最新情報を全従業員と共有しやすくなります。企業全体の状況や成果、変化などを共有することで、適切な業務対応が行えるようになるでしょう。社内で従業員ごとに情報格差があると業務の妨げになったり、疎外感を生み出したりといったデメリットにつながります。社内で常に最新情報を浸透させ業務の最適化や疎外感の排除が可能になるのも、インターナルコミュニケーションのメリットです。
また、インターナルコミュニケーションは、よい組織風土の醸成にもつながります。双方向のコミュニケーションが活発になることで、従業員同士の信頼関係が深まり、意見交換や情報共有がスムーズに行われるようになります。課題解決に向けた協力体制が強化され、挑戦を後押しする前向きな風土が育まれるでしょう。
メリット4 グローバル組織での部署や拠点間のコミュニケーションの活性化
インターナルコミュニケーションは、特にグローバル組織において、部署や拠点間のコミュニケーション活性化に大きな効果をもたらします。異なる言語や文化の壁を越え、情報共有や意見交換が行われることで、組織全体の連携が強化されるでしょう。
情報浸透を成功に導くポイントは、高頻度に接触機会を持つことを意識したインターナルコミュニケーションです。さまざまなコミュニケーションツールで、高頻度・リアルタイム・継続的に接触することが、従業員の信頼度を高める近道です。
メリット5 経営理念の浸透
インターナルコミュニケーションを通じて、経営理念や経営戦略といった経営陣の考えが、従業員に正しく理解されるようになります。その結果、従業員一人ひとりが組織の目標や方向性を共有し、日々の業務に使命感を持って取り組めるようになるでしょう。
インターナルコミュニケーション戦略
インターナルコミュニケーションを成功に導くための、戦略の代表例をいくつかあげておきます。
会社の文化やビジョンの共有
従業員が企業理念や経営ビジョンを理解し信頼関係を深めるには、経営層と従業員とのコミュニケーションを活性化する必要があります。自社の情報が従業員と共有されれば、行動指針を決めたり事業展開が行えたり、企業の方針に合わせて業務を遂行できます。
トップダウン&ボトムアップのコミュニケーションの活性化
役員など経営層と一般の従業員の間に壁があると、うまく社内のコミュニケーションや情報共有ができないこともあります。そこでインターナルコミュニケーションの施策を実施し、トップダウンだけでなくボトムアップのコミュニケーションを活性化させることが重要です。そのために、例えば後述する社内イベントなどを実施するのもよいでしょう。
現場から経営層までの距離が遠い場合、従業員からの建設的な提言が難しく、有意義なディスカッションができないこともあります。「トップから現場へ」の方向だけでなく「現場からトップへ」の情報共有を活発にするために積極的にインターナルコミュニケーション施策を検討することがおすすめです。
インターナルコミュニケーションを行う手段
実際にインターナルコミュニケーションを行う場合、いくつかの手法が考えられます。
Web 社内報・社内ポータルサイト
Web 社内報や社内ポータルサイトはオンライン上で社内向けの情報を発信する手段なので、タイムリーに経営層からの情報を発信できたり、従業員のインタビュー特集やコラム記事、イベント告知などさまざまな狙いのコンテンツを発信したりすることが可能です。また、トップからの情報共有だけではなく、親しみやすいコンテンツで従業員間のコミュニケーションを促すこともできます。このため、Web 社内報や社内ポータルサイトをインターナルコミュニケーションの中心施策として置いている企業も多いでしょう。
Web 社内報の詳しい内容は「Web 社内報ならではの魅力とは?紙のスタイルと比較したメリットや作成方法を解説」をご覧ください。
タウンホールミーティングの実施
インターナルコミュニケーションの施策の1つとして、対話集会とも呼ばれる「タウンホールミーティング」があります。具体的には経営陣と従業員で積極的な意見交換が行えるような機会を設けることです。今後の目標や業績の発表などに用いられることも多く、近年はオンラインのテレビ会議を利用して全従業員が参加することもあります。
タウンホールミーティングは多くのメリットがある一方で、経営陣・役員と従業員の間に普段から少し距離がある場合、適切なファシリテーションがなければ従業員からの率直な提言などができない可能性もあるため注意が必要です。
社内イベントによる交流
レクリエーションイベントなどを開催し、楽しみながら交流を促す手法もインターナルコミュニケーションの一種です。例えば食事会やスポーツ大会など、さまざまな内容が考えられるため、自社で需要のあるイベントを企画するのがポイントです。従業員によってはイベントへの強制参加を負担に感じることもあるため、配慮も欠かさずに行いましょう。
動画やSNSによるコミュニケーション
近年は動画や SNS を使ったインターナルコミュニケーションも増えています。動画や SNS などは気軽に情報提供が行える上、日常的に触れているコンテンツであるため従業員が閲覧してくれる可能性が高いです。SNS 運用や動画作成を担当する人の負担が増加する、特定の従業員しか興味を示さずに情報の提供先が偏るといったケースも考えられるため、企画や作業効率化なども念頭にあるとよいでしょう。
インターナルコミュニケーションの課題
インターナルコミュニケーションは多くの魅力を持つ一方で、以下のようなさまざまな課題を抱えているのも事実です。
課題1 情報が風化してしまう可能性
インターナルコミュニケーションの課題は、情報を蓄積する仕組みがなければ情報が風化してしまう点です。社内イベントやメールなどでの情報伝達など、その場限りのコミュニケーションになってしまうと情報管理が難しくなります。単に情報を発信するだけではなく、記録に残り再度アクセスできる形で情報を蓄積する仕組みを作ることも重要になります。例えば、社内向けのポータルサイトや Web 社内報を作成し、情報をストックできるようにすることで、情報の風化を防ぐことができると考えられます。
課題2 情報の更新に手間がかかる
更新頻度が高く、すでに公開している情報に修正が必要となる場合、紙媒体では更新に時間がかかることがあります。古い情報を発信したまま時間が経過してしまうと、誤った情報が従業員に伝わり誤解が生まれてしまいます。このため、Web サイトで情報を発信するなど、すぐに情報を編集できる仕組みを準備することがポイントです。
課題3 主導人材の不足
インターナルコミュニケーションを推進するには、全社的な取り組みが必要です。しかし、コミュニケーションを主導する人材が不足しているケースが多々あります。社内のコミュニケーションを適切にリードできる人材がいないと、組織内の連携がスムーズに進みません。このような人材を社内で育成するのが難しい場合は、外部の専門家に依頼することも検討するとよいでしょう。
課題4 重要性の理解不足
社内でインターナルコミュニケーションの重要性が、あまり理解されていないことも課題です。経営層や従業員がコミュニケーションの価値を認識していなければ、効果的な施策を実行しにくいでしょう。
日々の業務に追われていると、コミュニケーションは後回しになりがちです。社内研修などを利用して、なぜインターナルコミュニケーションが必要なのか、その重要性をしっかりと周知させることが重要です。
課題5 外国人従業員とのコミュニケーション
外国人従業員を雇用している場合、インターナルコミュニケーションには日本語以外の言語も必要になるでしょう。日本語でのみ情報提供していると、外国人従業員に情報が伝わらず、情報格差による業務への悪影響やモチベーションの低下などを招くおそれがあります。
このため、社内ポータルや Web 社内報を多言語対応するなど、外国人従業員も内容を理解できるような仕組みや体制が必要となります。詳しくは「社内ポータルや Web 社内報の多言語化」をご覧ください。
インターナルコミュニケーションの成功事例
グローバル展開をしている場合や、外国人従業員を雇用している場合などは、多言語によるインターナルコミュニケーションが不可欠です。ここからは、Web サイト多言語化ソリューション「WOVN.io」を活用した、インターナルコミュニケーションの成功事例をご紹介します。
社内ポータルを多言語化(株式会社スクウェア・エニックス)
株式会社スクウェア・エニックスは、エンタテインメント分野において、創造的かつ革新的なコンテンツ/サービスのヒット作品を生み続けるリーディングカンパニーです。「従業員同士がより互いのことを知るために」「日本語話者以外にもリアルタイムで情報が届くように」と、社内ポータルを多言語化。世界3,000人の全従業員が毎日100%見るポータルを構築しました。「WOVN.io」の自動運用機能を活用して、日本語と同じタイミングで多言語の情報を発信し、全従業員に時差なく情報を届けています。
株式会社スクウェア・エニックスの事例については、「すべての社員に情報を届けるために、社内ポータルの多言語化は必須。全社員100%が必ずアクセスする仕組みを構築。」もご覧ください。
※2023年8月時点
イントラサイトを多言語化(三菱HCキャピタル株式会社)
三菱HCキャピタル株式会社は、国内外におけるリース、ファイナンスの提供をはじめ、環境エネルギー、航空、ロジスティクス、不動産、モビリティなどの幅広い分野で、事業やサービスをグローバルに展開しています。世界20ヵ国以上の拠点との連携を強化するため、「WOVN.io」を導入し、イントラサイトを英語対応しました。これまで行っていた英語翻訳の手間がなくなり、グローバルの全社員に平等に情報発信できる基盤が整いつつあります。
英語対応が可能になったことでグループのより広い範囲に情報発信できるようになり、社内エンゲージメント向上にイントラサイトが寄与することを期待しています。
三菱HCキャピタル株式会社の事例については、「英語対応は、グローバルに事業を展開する企業として必要な社内インフラ構築のため。社内エンゲージメント向上に寄与できる多言語イントラサイトへ」もご覧ください。
※2024年12月時点
Web 社内報で従業員エンゲージメント向上(ヤンマーホールディングス株式会社)
ヤンマーホールディングス株式会社様は、日本国内だけでなく、アメリカ・オランダ・中国・ブラジルなど127もの海外拠点を持ち、産業用エンジンを軸に、アグリ・建機・マリン・エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開しています。
海外拠点にタイムラグなく社内報を届けるため、「WOVN.io」を活用し、5言語でタイムリーに情報を届けられる社内報 Web サイトを構築。グローバルの各拠点で働く従業員のエンゲージメント向上のため、戦略的な広報活動を展開しています。
ヤンマーホールディングス株式会社の事例については、「ヤンマーホールディングス、WOVN.io を導入し、グローバルサイトの翻訳業務を効率化~同時に、海外現地法人従業員に向け、イントラサイト対応言語を追加~」もご覧ください。
※2020年12月時点
ポータルサイトへ外国籍従業員のアクセスが増加(JFEエンジニアリング株式会社)
JFEエンジニアリング株式会社は、世界をリードする総合エンジニアリング企業を目指し、海外事業のさらなる拡大に取り組んでいます。同社は日本拠点における外国籍従業員の割合が年々増加していることや、今後より加速する社内のダイバーシティ&インクルージョンへの対応やグローバル化を見据え、ポータルサイトの英語化のために「WOVN.io」を導入。外国籍従業員のポータルサイトへのアクセスが増加し、社内情報の共有化に成功しています。
今後は、海外拠点からも社内ポータルサイトが閲覧できる環境の整備を目指しています。
JFEエンジニアリング株式会社の事例については、「JFEエンジニアリング、社内ポータルサイトを WOVN.io で英語化」もご覧ください。
※2022年6月時点
事例については、「企業サイト多言語化で企業成長促進[事例集]」もご覧ください。
Web サイトの多言語化を考えるなら「WOVN.io」がおすすめ
職場環境や従業員同士の関係性に課題を感じている場合には、インターナルコミュニケーション施策の実施がおすすめです。施策を実施する際にはインターナルコミュニケーションのメリットを十分に理解した上で、何を目的とするかを常に念頭に置き、最適な施策を実行する必要があります。
タイムリーな情報更新や外国人従業員への対応など付随する課題もあるので、情報が管理しやすいコンテンツシステムや正確かつスピーディーに翻訳できる多言語化ソリューションを活用し、企業の全従業員にタイムリーに正しく情報を提供することが望まれるでしょう。
「WOVN.io」なら、大手企業をはじめ18,000サイト以上へ導入されており、複雑な機能を持つ Web サイトでも1つのタグを挿入するだけで多言語化が可能です。既存の Web サイトに後付けでき、多言語化に必要なシステム開発・多言語サイト運用にかかるリソースやコストを最小限に抑えてスピーディーな多言語対応を実現できます。
Web サイトの多言語化なら、ぜひ「WOVN.io」をご検討ください。

佐藤菜摘
前職は、広告代理店にて大手CVSの担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年WOVN Technologies株式会社に入社し、広報業務を担当。2022年よりMarketingチーム。
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