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留学生受け入れ30万人計画はさらに拡大 〜 立命館アジア太平洋大学(APU)に学ぶ、大学国際化の取り組み事例 〜
佐藤菜摘
2022年9月にWOVN は、日本 No.1の留学生比率を誇る立命館アジア太平洋大学(APU)のお二人をゲストにお迎えし、オンラインセミナーを実施しました。
本セミナーレポートでは、留学生受け入れ拡大に向けた、入試業務の DX 化の全貌と、情報発信の基盤となる Web サイト多言語化をどのように推進したかについて詳述します。
【登壇者】
大嶋 名生
立命館アジア太平洋大学(APU)事務局 アドミッションズ・オフィス(国際)課長
1997年に学校法人立命館入職後、立命館アジア太平洋大学(APU)開設事務局にて学生支援・学生募集等を担当。
2000年の APU 開学以降、APU 事務局において教務及び国際交流支援を担当し、2010年から2012年までは、文部科学省高等教育局高等企画課国際企画室専門官として高等教育の国際化にかかわる業務を歴任。その後、APU 学長室課長、事業課長を経て、現職。
垰口(たおぐち) 広和
立命館大学 国際入学課
2009年に学校法人立命館入職後、立命館アジア太平洋大学(APU)学長室にて企業連携、寄付等を担当。2014年より同校アドミッションズ・オフィス国際に勤務。米国で広く活用されている学生募集・出願システム「Slate(スレート)」アプリケーションの日本初導入をはじめ、Video 録画面接、AI を活用したエッセイ分析、電子サイン Adobe Sign(現 Adobe Acrobat Sign)の入試プロセスへの導入など、入試業務の DX 化推進をはじめ日本の教育機関初となる取り組みに数多く関わる。その後、2022年5月に立命館大学国際入学課へ異動となり、現職。
森山 真一
Wovn Technologies株式会社
Sales & Marketing Department Marketing Section
総合商社にて基幹 ERP パッケージシステムの導入・運用、R&D 業務などに従事。その後、リクルートグループにて機械学習技術を活用した新規事業プロジェクトに初期メンバーとして加わり、事業開発・顧客データ分析・商品企画等を手掛ける。2021年より Wovn Technologies にて Marketing 業務全般に従事。
目次 |
森山(WOVN):
本日は立命館アジア太平洋大学(APU)様をお招きして、留学生受け入れに関するお話を伺いたいと思います。では、はじめに登壇者のご紹介をいたします。大嶋さんと垰口さん、よろしくお願いします。
大嶋(APU):
立命館アジア太平洋大学(APU)の大嶋です。
APUの学長の出口治明は APU を「小さな地球」「若者の国連」と端的に表しておりますが、世界的にもユニークな多文化・多言語環境の大学です。キャンパスがある別府は世界有数の温泉地でございます。私も毎日温泉に入っておりますけれども、ぜひみなさん別府にお越しの際には APU にも遊びに来てください。今日はよろしくお願いいたします。
森山(WOVN):
別府は私も一回行ったことがありますが、温泉はいいですね。垰口さん、ご紹介をお願いします。
垰口(立命館):
垰口(たおぐち)と申します。私は今年の6月頭に APU (大分)から立命館大学(京都)に異動になりましたので今はAPU所属ではありませんが、本日は APU での8年間の経験に基づいた話をさせていただきます。
多言語サイト導入の背景情報となるDXの取り組みやコロナ禍中も進めてきた内容など、後ほど紹介いたします。よろしくお願いします。
1.留学生30万人計画見直しへ
森山(WOVN):
それでは早速ゲストのお二方のお話を伺いながら進行させていただきます。まずは、私から「これからの大学のあり方」についてお話できればと思います。
外国人留学生30万人計画を見直してさらにもっと増やしましょうという計画が、8月末に政府より発表されました。まずはコロナ前の水準に戻し、国策としてさらにそこから留学生を増やしていこうというお話です。
2021年の留学生受け入れ状況では24万人という結果でした。地域としてはアジア諸国が多いですね。
森山(WOVN):
留学生受け入れを進めようという具体的な動きも出てきているように感じます。実は弊社でも専門学校を含めた学校法人様に Web サイト多言語化のお問合せをいただくことが最近すごく増えております。
ではここからは、留学生受け入れの先進的な事例として、APU 様に実際のお取り組み内容をご紹介いただければと思います。大嶋さんとバトンタッチさせていただきますね。
2.161カ国・地域の学生を受け入れてきた APU
大嶋(APU):
今日は、2つお話させていただければと思います。
1つは、留学生受け入れのベースとなるデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みについて、もう1つは実際に WOVN を利用した現地語ローカライズ情報強化についてです。
APU では、いわゆる留学生政策が国から大きく打ち出される前の90年代後半から、世界中から留学生が集まるという少し新しいコンセプトの大学づくりをずっと進めてきておりました。
そして昨今、DX の議論を 本格的に進めてきたわけです。
まずは、大学のご紹介をさせていただきます。先ほども申し上げましたように、APU は大分県別府市にございます。2000年に開学し、現在は約2人に1人が世界94カ国・地域からの留学生です。留学生のことを、我々は国際学生と呼んでおります。
それから教員も約半数が外国籍の教員ですので、日常的に多様性のある環境下で学生たちが育っていく大学です。海外の留学生が大学を選ぶ際の一つのメルクマーク(判断指標)となる国際認証もたくさん取っています。
そして来年2023年、我々は第二の開学と呼んでおりますが、2000年の開学以来初めて、学部を新設します。先日、文部科学大臣から「サステナビリティ観光学部」という学部の認可が正式に認められて、既存のアジア太平洋学部、国際経営学部をあわせて、合計3学部になります。
これまで161カ国地域の学生を受け入れており、たくさんの卒業生が今、日本人学生・国際学生問わず、世界中で活躍をしています。
3.世界から遅れをとる日本、DX の推進へ
大嶋(APU):
政府の方針として留学生30万人計画というのはありますが、実は世界的には大学と政府が一緒になりながら、留学生を高度人材として位置付けて、世界規模で高度人材の受け入れ・獲得というものを政策化してきております。
世界的にはコロナ禍によって、一旦その受け入れ人数は減ったものの、世界の大きな流れとしては、今後留学生の受け入れ数が加速していく状況になっています。しかし日本においては、留学生の受け入れ数は、伸び悩んでいる状況です。
大嶋(APU):
APU の DX の取り組みは、コロナの影響で始めたのではなく、実は開学以降いろいろと試行錯誤しながら、少しずつ進めており、そのなかで海外の大学の入試制度や、高度外国人留学生を受け入れる戦略などについて、学ぶことがたくさんありました。
そして2010年代の後半に、大きなプロジェクトを立ち上げ、世界標準の入試とは何か、どういう形で適切な入学者選抜や入試広報を行いながら、優秀な学生を世界中から受け入れていくのかなどのテーマを設定して、世界の大学の調査を本格化させました。
その中で、実は 日本では稀有なグローバル大学と評価されるAPUではありますが、世界と比してみると、欠けているものがたくさんあるということに、改めて気付かされました。
課題としては、人材獲得競争を行うだけの日本の魅力の低下、また海外の他大学と競合していくだけの入試広報の仕組みがまだまだ十分ではない、という点が一番大きかったです。
今後のアフターコロナの学び方として、高等教育の国際化に関わる研究者の論文などでは、いわゆる通常のインパーソンの対面の授業には、完全には戻らないと言われています。
ブレンディッド・ラーニング(※1)や、オンラインやデジタル、それからアナログのものを組み合わせていくというようなことですね。その点では、オンライン・デジタルが止まるということはあり得ませんし、リアルとの組み合わせが、これから大事になってくると思っております。
※1:複数の学びを“ブレンド”して新しい学びを構築することで、学習効果を最大化してパフォーマンスの向上につなげる学習方法
大嶋(APU):
2010年代後半からの様々な調査に戻りますが、この調査結果を踏まえて、いわゆるこれまでアナログだった出願の仕組みを、オンラインに切り替えていくことが、大きく動きました。
その成果として、一番わかりやすい例で言えば、今、私の業務パソコンのボタンを押すと、◯月◯日 ◯時現在、まさにリアルタイムで、どの国から、何名が、出願のどのフェーズまできているかが瞬時にわかります。出願に必要な、教員などからの推薦状を提出している人が何人いるだとか、出願完了になった人が3分前に3人出ました、ということがリアルでわかるのです。リアルにわかるため、国ごとや個人ごとに細やかな手立てを打つことが可能となります。
APU の DX では、特に入試で大きな成果がありましたが、いろんな情報を DX 化していくということは、入学時だけではなく、大学卒業後も含めてかなり広範にメリットがあります。
大学全体で入学前から卒業後までのデータを一元化し、いろいろな部局がしっかり活用していくという方針に基づいて、2010年頃から全学プロジェクトが進んできたことが、APU の留学生入試での DX 化の大きな後押しとなったと思います。
大嶋(APU):
日本国内の他大学で「データを集約するのは難しい」というお話をよく聞きます。APU では今申し上げましたとおり、入学前、入学後の活動・成績、卒業後の情報など一元化し、今この学生たちがどういう状況にあるか、全て細かく把握できるようになっております。
入学者を確保するための入試のプロセスに関しては、改めて申し上げることもないのですが、多くの大学では、恐らく潜在的志願者となりうる個人情報を様々な手法で収集していると思います。たとえば留学フェアや説明会などですね。そして潜在的志願者の段階から、様々な情報を適切に投下しながら、実際の出願にいたるための関係をつくり、入試の合格者とさらに強固な関係をつくって、最終的に入学に結びつけていくという流れ自体は、日本も含めて、世界のどの大学とも、それほどかわらないと思います。
この後、垰口から話がありますが、その情報を DX によって、どのように適切に投下していくのかというのが、次の課題です。
4.世界中の学生が情報を集める手段は Web サイト
大嶋(APU):
ここで2つ目のテーマである「現地語ローカライズ配信・強化」の話に入っていきます。
先ほど申し上げたとおり、DX のデータ整備では、入試情報だけではなくて、国ごとの多種多様なデータが全て、一元的に整理されました。
そのデータを、新たに整備されたメール配信システムを利用しながら、いろいろな国の志願者やいろんな層に、適切な内容を送り、個別マネジメントしていくということが可能になりました。
大嶋(APU):
今日のお題にも繋がっていくのですが、一つの同じ情報を、世界の人に配信するという企画もあるのですが、実は国ごとによって必要とされる情報は変わってきます。
そういった意味で、ステップ3の段階である「ローカライズされたコンテンツをどのように魅力的に配信していくのか」が大きな課題になります。
ローカライズ配信の事例紹介ですが、コロナ以降いろいろなオンラインの企画を進めてきています。ACE(アカデミック・カルチャル・エクスペリエンス)というプログラムは、以前は対面で行っていた文化体験などを対面で行うサマー・プログラムでした。これをコンテンツの魅力を前提に、かなり丁寧なオンラインプログラムに変更して、オンラインで世界中の高校生と交流しています。
また、大学選びの際にはアカデミックな魅力がとても大事になります。そのためオンラインでバーチャルのアカデミックレクチャーシリーズを行う、といったこともしています。
大嶋(APU):
ローカライズされた言語で、情報をその国に届けていき、そこからコミュニケーションをとっていくことは、とても効果があります。
APU では完全にオンラインで出願をする仕組みになっており、いわゆる郵送で出願書類が届くことは一切ありません。
それを踏まえると、世界中の学生が情報を集める手段としては、もちろん SNS や口コミというのもあるのですが、やはり大きいものは Web サイトです。学生の多くは、 Web サイトをきっかけに、情報を仕入れています。
また APU の入試出願は完全にオンラインです。オンライン出願をするにはそもそも APUの Web サイトにたどり着かなければ、出願開始できないため、Web サイト多言語化を含めて大きな見直しをしてきました。
いずれにせよ、これからのキーワードはいわゆるマスではなくて、個別の対応です。一人一人の出願者に対して、あるいは潜在的な志願者に対して、個別のメニューがあり、それを全部管理しています。
「この学生が離れていかないように、そろそろこういう情報を投下した方がいいのではないか」ですとか、「出願が完了したので、次にこの国独自のローカライズ情報として、このような情報を届けましょう」など、国ごとに必要なローカライズ情報を、必要な時に、必要な言語で、世界中の潜在的な志願者や、出願完了者など、各段階で、適切に届けているということですね。
森山(WOVN):
ありがとうございました。まずデジタル側での情報の一元化で DX を推進されたのが一つの肝であるということと、整理された基盤をもとにいかに多言語で情報発信していくか、という取り組みを検討することが重要ということですね。推進した施策がとても効果的にワークしていらっしゃるんだなと感じました。
5.APU のサイト多言語化はどのように行ったか
森山(WOVN):
ではその情報発信をより具体的にどのように進められたか、垰口さんにお伺いできればと思います。
垰口(立命館):
よろしくお願いします。
森山(WOVN):
まずは、デジタルの取り組みを強化され、コロナ前後であり方が大きく変化したかと思うのですが、その部分を詳しくお話いただけますか?
垰口(立命館):
私は実務担当として、審査関係業務をメインに行っていましたが、使用システムの設定回りにも関わりながら業務を行っていました。
コロナ禍前(2019年以前)の国際学生募集は、現地直接訪問や現地の方を実際に大学にお呼びし大学を見てもらうなど、直接のコミュニケーションが主でした。現地でのフェアなど対面形式でもやっていたので、いかに直接での接触回数を上げていくかがリクルーティングの勝ちパターンの一つであったのは間違いありません。システムもそういった方向性に沿い、如何に寄与できる仕組みとするかがポイントでした。
それがコロナ禍となり激変しました。APU の学生になったのに日本に入国できない。募集担当者は現地へ行けない、教育関係者のキャンパス受け入れもできないといった、とにかく接触できないという状況となりました。すべてオンラインでの活動にシフトすることになったのです。
オンライン主体となってからは、ウェビナーだけでも現地事務所・大学院の募集活動も含め、年間400回に迫るぐらいだったでしょう。国別地域別、入試区分別、昼夜別ウェビナーを企画し、毎日のように開催する形式でした。
逆にコロナ禍の状況はシステム開発チャンスだとも思いました。現地への出張ができないので、その予算も活用しながら、この機会にもう全てやれるべきことをやり尽くしましょう、となったのです。その中で、Web サイト、オンラインアプリケーションシステム(slate)、アドビサイン(Acrobat Sign)、セールスフォース(Salesforce)、Tableau など、一気に集中して取り組みました。
森山(WOVN):
元々確立されたオペレーションがある中で、大きな変更を加えることは恐らく多大な努力があられたのかなと思います。その中で、情報発信の基盤として Web サイトの運用と体制について詳しくお伺いできたらと思います。
垰口(立命館):
Web サイトに感しては職員2名の体制でした(大学院の担当者も別途1名)。合わせて、デザインや裏側の仕組みは外部委託先に依頼していました。本当に最小限の人数で仕組み作りを強化してきました。
森山(WOVN):
コロナ以降、例えば Web から流入してウェビナーに来ていただけるとか、そういった導線が徐々に確立された感じでしょうか。
垰口(立命館):
コロナ前もウェビナーへの取り組みをは行っていましたが、実際に開催しても参加者0人ということもザラにありました。Web へのアクセス自体も2014年頃はまだ3〜4万ユーザーほどしかいませんでした。
それが今は年平均40万ユーザーほどと激増しています。デジタルネイティブ世代の入学といわれていますけども、スマホユーザーが半数を超えてます。Web をスマホで見る、Web サイトを何回も訪れる、ウェビナーへも何回も参加する受験生が増えました。その流れに追いつき、同時に進化していくよう進めていきました。
森山(WOVN):
コロナ前は、言語でいうと日本語と英語での発信という状態でしたか?
垰口(立命館):
はい。APU では一部のコンテンツを除き、必ず日本語と英語で同時に作成し、同時に配信するというのが基本です。もちろん、海外にも事務所がありますので、韓国・中国・台湾・ベトナム・タイ・インドネシア等での配信もありました。ただ、言語化された情報は用意をしていたけれども、要約した一部分のみの情報発信でした。
森山(WOVN):
その日英対応だけでも恐らく大変な労力がかかっていたかと思うのですが、他の言語に関しては各事務所でできる範囲のところでやってもらうようなイメージということですね。
垰口(立命館):
そうですね。Web でも全言語でしっかりと発信した方がいいことはわかっていても、人手とコスト面の問題で中々手が出せないというのがありました。現地 の SNS で現地スタッフに現地語で対応してもらって、サイトは最低限で配信するというのが基本でした。
森山(WOVN):
元々は日英を100とすると、他の言語の割合はどのぐらいでしたか?
垰口(立命館):
20%〜30%がいいところだと思います。
森山(WOVN):
今は日英と同様にほぼ100%の情報をリアルタイムに発信できているということですが「多言語化の意義」みたいなところをお伺いできますか?
垰口(立命館):
多言語化のニーズとして一番強かったのがベトナムで、「全ページ同じコンテンツをベトナム語で作りたいのですが、できませんか?」というのを1年前くらいからいただいていました。コストもかかるので即決とはなかなかいかずでした。
しかしながら、ステークホルダーは受験生だけではなくて、学費を払う親御さんや、現地の高校の校長先生などの教育関係者に及びますし、英語ができない方も親世代には多くいらっしゃったんですね。その方たちに情報をしっかり届けて志願を増やしたいという事務所の強い意向が多言語化に踏み切る大きな判断材料となりました。
(実際に WOVN を導入している入試情報サイト)
垰口(立命館):
リリースしてまだ間もないので、現地からのフィードバックはこれから集まってくるかな、というところですが、今後オンライン説明会などいろんな情報の発信が多言語も含めてこのサイトに集約できるという期待があります。
森山(WOVN):
なるほど、ありがとうございます。今の多言語化の取り組みも含め、アフターコロナの情報発信のあり方についてご意見をお聞かせいただけますでしょうか。
垰口(立命館):
いわゆるデジタル化というのはさらに伸びていき、おそらく情報の取り扱い方法がますます進化していくと思います。
WOVN に限らずですが、いろんなものを時代時代に合わせて利用する、導入して終わりではなくこれがスタートかなと思います。
常に最新事例を学び、実践していく姿勢でいたいです。「やっぱり APU は最新のものに対応しているな」というところを受験生や親御さん、関係者が見ていると思いますので、どんどん新しいことやりましょう、という大学のイメージやスタンスを大事にしたいです。
大嶋(APU):
コロナ後のいわゆる大学の学び方、成長の仕方自体が、コロナ前とは全く違うということがとても大事だと思っています。
結局、学生たちは大学生活の中で、バーチャルやデジタルを通じて成長していく機会も必ずあるわけです。対面だけではない学びをする前提として、大学側の情報発信であったり、コミュニケーションの取り方、そのあたりが大きく異なりますし、海外では既に先行して取り組まれています。
大学の学び方が変わっていくということは当然、我々の入試や広報もそれに応じてどんどん変わっていかなければならないので、情報発信のあり方も当然変わっていくと確信をしています。
森山(WOVN):
そうですね。ハイブリッドの取り組みは益々洗練されていくでしょうね。
ここからはいただいた質問へ回答できればと思います。「GDPR に対して、特に意識して取り組まれたことがあれば教えてください。」というご質問がきています。恐らく APU さんでも、ヨーロッパからのアクセスに対する GDPR 対応というのもかなり整理されたのかなと思いますが、いかがでしょうか?
垰口(立命館):
GDPR は2年前ぐらいから取り組み始めました。もちろんヨーロッパからも含めて世界中から Web サイトにアクセスいただきたいスタンスでした。ヨーロッパでは Web サイトでの情報配信だけでなく、フェアも開催していました。
その時に「個人情報の扱いがクリアにならないと参加しません」という声をいただいたことがあります。本当に世界からアクセスが欲しいのであれば、その国の法律やルールに沿った個人情報の取り扱い方法を明示しなければならないと気づかされました。
具体的には Web サイトに GDPR のルールを公開する段取りを行ったり、細かいところでは Cookie を取得する際の同意ボタンを入れるなど、入試サイトの方から先行して取り組んでいきました。今ではウェビナーの申し込み登録する場合も同様に、同意を取るように仕組化をしました。
森山(WOVN):
ありがとうございます。続いての質問です。「APU さんの Web サイトの記事の執筆言語は何ですか?また自動翻訳するとどのような問題が発生しますか?」ということですが、いかがでしょうか。
垰口(立命館):
コンテンツは、英語から日本語のパターンもその逆のパターンもどちらもあります。最終的には日英両方で配信しましょう、というのが大きなスタンスです。
時間はかかりますが、それに対応できるスタッフが APU にはたくさんいらっしゃるのと、日常の会議も日英がまざって行われているので、日英で展開することが苦になっている訳ではなく、当然という形でやっているのが APU です。
WOVN の自動翻訳については、正直に申しまして100%ではもちろんないです。言語によって違いがありますが、6、7割ぐらいの精度でしょうか。今回の多言語化は、事務所でチェック対応ができる人間がいることを導入の条件にしています。韓国・上海・台湾・ベトナムの4つの事務所には、機械翻訳後の内容を見てもらい、足りない点、誤っている点などは事務所で補完する仕組みで運用しています。ですので、全部が自動化されているわけではないです(機械翻訳だけでオープンしていないです)。
森山(WOVN):
機械翻訳の後、人の目で最終チェックを行うことで、一定の精度を担保しているということですね。ありがとうございます。
ここでお時間となってしまいました。
本日は大嶋さん、垰口さん、どうもありがとうございました。
6.Web サイトの多言語化にご興味がある方へ
立命館アジア太平洋大学さんの入試サイト、大学公式サイトの多言語化で導入されている WOVN について詳しく知りたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
佐藤菜摘
前職は、広告代理店にて大手CVSの担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年WOVN Technologies株式会社に入社し、広報業務を担当。2022年よりMarketingチーム。