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データで考察する外国人留学生募集環境|アクセスネクステージ 長谷川氏|GLOBALIZED 大学国際化

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佐藤菜摘

 本記事のポイント 

  • 留学生数はコロナ禍から回復。出身国・地域はより一層多様化。

  • 非漢字圏の留学生増加により日本語のハードルは高まる。来日後も約2人に1人は他言語で情報収集

  • 大学の魅力をより正確に届けるためには、これまで以上に多言語での情報発信が重要

Wovn Technologies株式会社は、2023年11月2日に「GLOBALIZED 大学国際化」を開催し、「大学国際化の最前線、どう向き合うか“留学生40万人計画” ~これからの大学広報が届けるべきこととは~」をテーマにセッションをお届けしました。

当セッションでは、株式会社アクセスネクステージ 外国人進路支援事業部 取締役 長谷川 祐介 氏を迎え、「データで考察する外国人留学生募集環境」と題して、現在来日している留学生の傾向やコロナ禍前からの変化についてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。

【登壇者】
長谷川 祐介 氏
株式会社アクセスネクステージ
外国人進路支援事業部 取締役

明治大学商学部卒業。株式会社アクセスネクステージでは10年以上にわたり教育機関の支援業務に従事、首都圏および関西圏の多くの大学・専門学校を担当。中でも、責任者として外国人留学生の募集支援事業の推進に長く携わり、2023年4月より新設した「外国人進路支援事業部」の事業部長として外国人留学生の進学・就職両面のサポートに取り組んでいる。

 

現在来日している留学生、その中でも多くの大学にとって正規生の募集広報対象となる、日本語教育機関に在籍している留学生にはどのような傾向があるのか。また、コロナ禍前と比較してどのような変化が見られるのか。データを元に考察していきます。

最初に当社を簡単に紹介します。設立40年ほどの会社で、主な事業は大きくは2つあります。1つは大学や専門学校をはじめとした教育機関の学生募集や運営支援をする「教育機関支援事業」。もう1つは様々な手法で企業の採用を支援する「採用支援事業」です。また、この2つの領域を基盤にして、外国人留学生に特化して進学と就職の支援事業にも注力して取り組んでいます。

今回ご提示するデータの参照元は、日本語教育機関に在籍する外国人留学生向けに当社が運営する進学情報サイト「アクセス日本留学」と進学説明会「アクセス日本留学フェア」です。

進学情報サイトでは、日本の高等教育機関への進学情報などを発信しています。留学生を受け入れている全国の大学・専門学校の最新情報を掲載し、WOVN.io による9言語対応に加え、日本語での理解促進を助けるためやさしい日本語への自動変換にも対応しています。

また、進学説明会は、今年は7月までの4日間で約12,000人の留学生に来場いただき、のべ400校以上の大学・専門学校に出展いただいています。

全日本への留学生数はコロナ禍から回復へ

まずは留学生数の現況を確認します。次のグラフは日本学生支援機構が毎年公表している留学生数の推移です。

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準備教育課程を含む日本語教育機関の在籍留学生数は、2020年からのコロナ禍による入国禁止措置に伴い、2021年は2019年と比較して半数以下まで落ち込みました。ただ、2022年3月に入国が再開してからは回復傾向に転じている状況です。このグラフは毎年5月1日時点のデータなので、2022年3月の入国再開後、留学生が増えている最中の数値と言えます。


続いては出入国在留管理庁が公表している、在留資格「留学」での新規入国者数の推移です。

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日本語教育機関以外に在籍する留学生も含まれるデータですが、2023年1〜8月の新規入国者数は約85,000人で、2019年同時期の約74,000人と比較して増加しています。2022年は過去最高値でしたが、これは3月の入国再開まで待機していた学生も入国してきたためです。

まずは、ここまで日本学生支援機構と出入国在留管理庁のデータを紹介しましたが、日本への留学生数は回復あるいは増加傾向にあると捉えられます。


非漢字圏出身の留学生の割合が増加

次に留学生の国籍の内訳について、コロナ禍前と今年を比較します。

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中国が最も多いのは変わりませんが、2番手がベトナムからネパールに変化しています。そして2019年には極少数だったミャンマー・スリランカ・バングラデシュといった東南アジア・南アジアからの学生が増えています


続いて母数は異なりますが、漢字圏出身と非漢字圏出身の割合を比較したグラフです。
非漢字圏出身の留学生の割合が48.9%から61.8%に増加しています。

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また、当社の進学説明会に来場した約12,000人の留学生、つまり、日本語教育機関に在籍中で大学や専門学校に進学を希望する学生に絞ったデータも確認しています。それが次のグラフです。

非漢字圏出身の留学生の割合が46.6%から51.1%に増加しています

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その進学説明会に来場した留学生の国籍の一覧がこちらです。
様々な国籍の留学生が来て、日本の大学や専門学校への進学を目指し情報収集していると言えます。

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日本国内のエリアごとにも留学生の特性があります。こちらは5〜7月に東京・大阪・名古屋で開催した進学説明会の来場者の国籍分布です。

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先ほどお話したように全体数としては中国出身者が多いですが、エリアによって在籍している留学生の国籍分布が異なっています。首都圏は漢字圏出身の留学生の割合が大きく、大阪・名古屋は非漢字圏出身の留学生の割合が大きい傾向が今年は顕著になっています。


来日してからも約2人に1人は他言語で情報収集している

続いて留学生の情報収集について考察します。

こちらが当社進学情報サイトの言語別閲覧の割合です。
サイト全体としては国内ユーザーが65.5%、海外ユーザーが34.5%です。
全ユーザーのうち日本語での閲覧が36.3%、他言語での閲覧が63.7%で、約3人に2人が他言語環境で閲覧しています。
これを国内ユーザーに限定すると、日本語が55.8%、他言語が44.2%。つまり、来日してからも約2人に1人は母国語などの他言語環境で閲覧していることが推察されます。

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補足として、あくまでも参考データですが、7月時点での前年12月の日本語能力試験保有レベルについて、任意で取ったアンケートがあります。保有レベルの低下や、アンケート回答時点での未受験者が増えている傾向がありました。

2019年と環境が異なるため厳密な比較ではありませんが、ここまでの全体を通して、非漢字圏からの留学生が増加している傾向、日本語以外の環境で Web サイトを閲覧するユーザーが多数を占めていること、そしてこの日本語能力試験受験状況から見て、留学生にとって日本語のハードルは高いことが窺えます。

 

より一層多言語での情報発信が重要に

ここまで見てきたデータから、直近の留学生の傾向は大きく3つあると言えます。

1.出身国・地域はより一層多国籍・多地域化している
特に東南アジアや南アジアの留学生が増え、漢字圏の学生が減少しています。

2.日本国内のエリアごとに国籍の割合の違いが顕著に出ている
首都圏は中国を中心として漢字圏の留学生が多く、大阪・名古屋・福岡のような都市圏はネパール・スリランカ・ミャンマーといった非漢字圏の留学生が多い傾向があります。

3.日本語能力の低下や日本語以外での情報収集をする傾向が窺える

これらを踏まえると、留学生や世界に対して大学の取り組みや魅力をより確実かつ正確に届けるためには、これまで以上に多言語で情報発信をすることが重要だと考えられます。

当社としても、留学先に日本を選んでもらい、来日後により良い進路選択ができるよう、留学生の支援企業として尽力したいと思っています。

また、留学生を受け入れている教育機関や企業のお役に立てるよう、これまで以上に力を入れて取り組んでまいります。


ご清聴ありがとうございました。

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