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【登壇者】
土居 義岳 氏
AGC株式会社 広報・IR部 社内ブランディングチームリーダー
2002年 旭硝子 株式会社(現:AGC株式会社)に入社。2008年より CSR 室で非財務情報の情報開示に関わり、主担当として制作を進めた CSR 報告書は、東洋経済新報社や環境省の社外表彰を複数回受賞。2016年に化学品カンパニーへ異動。事業部広報や化学品グローバルウェブサイト開設を担当し、化学品関連製品のマーケティングオートメーションの基盤を構築。2021年より広報・IR 部に異動し、グローバルの社内メンバー向けに様々な情報発信やイベントを企画・推進している。
全世界の従業員に、ブランドやビジョンを浸透させ、グローバルOne Teamの実現へ
土居(AGC):
弊社は1907年に旭硝子株式会社として創業し、2018年から AGC株式会社に社名を変更して現在に至ります。創業以来、建築用ガラスに始まり自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラスなど、ガラス製品の製造・販売を行っています。現在はガラス製品だけでなく電子、化学品、ライフサイエンス、セラミックスなど、様々な領域で事業を展開しています。
また、弊社は現在30を超える国と地域で事業を展開しており、海外の売上高は全体の約7割を占め、グループメンバー5万8千人のうち約8割は日本人以外のメンバーです。
土居(AGC):
私が所属している広報・IR 部は全体で20名ほどの規模で、広報、IR、広告・マーケティング、社内ブランディングの4チームに分かれています。私は社内ブランディングチームに所属し、社内コミュニケーション全般に加えてAGCのブランドやビジョンをグループ内に浸透させることをミッションとしています。
ここ数年間で、M&A によって AGCグループ のメンバーも急激に様変わりしています。違った価値観や文化を持つメンバーが加入する中で、 AGC のブランドやビジョンをいかに浸透させるか、従業員エンゲージメントをどう向上させていくかが課題です。
ただ、多様性が増強されてイノベーションが起こりやすい環境になっているとも言えるので、グローバル規模での社内コミュニケーションに取り組み、グループ全体で方向性を揃えて一体感を醸成することに価値があると考えています。
社内コミュニケーション、3つのキー施策
土居(AGC):
私たちが取り組んでいる社内コミュニケーション施策を3つご紹介します。
①グループメンバー向け情報発信
土居(AGC):
以前はグループメンバー向けに「We are AGC!」 という紙媒体のグループ報を日本語版で1万5千部、英語版で5千部発行していました。それを補完する Web 媒体としてグループウェブ「AGC World」でグループのニュース・トピックスを発信していました。昨年の1月から「AGC World」に WOVN.io を導入してタイ語・中国語を追加した4カ国語対応をしていましたが、あくまでもメインのコミュニケーションツールは紙媒体でした。
しかし IT ツールの発展や サステナビリティ の観点からグループ内の紙媒体に対するニーズが低下したことと、日本語か英語を母国語としている方は全グループメンバーの5割にも満たないことから「日英だけの紙媒体のグループ報では伝わらない」という課題もあり、今年の6月からメインのコミュニケーションツールを WOVN.io で多言語化している Web 媒体に切り替えました。
これにより、日英以外を母国語としている従業員にも積極的な情報発信を行うことが可能になりました。また、現在では頻繁に新しいニュースがサイトにアップされて、グループメンバーに向けた情報発信の頻度も飛躍的に高まっています。
ただ、紙媒体を完全に廃止したというわけではありません。
一部の現場メンバーは会社支給の PC を持っていないため、電子媒体だけでは情報を届けることができないグループメンバーが一定数発生します。
そのため、今まで32ページほどあった社内報の代わりに 「AGC World」のコンテンツを抜粋したA3・4ページの壁新聞を四半期ごとに発行しています。この壁新聞は日本語、英語に加えて中国語、タイ語にも対応し、食堂や更衣室などに掲示してもらっています。
②グローバルイベントの実施
土居(AGC):
2019年から AGC の創立記念日に合わせてグローバル向け施策を開始、2021年からはオンラインのグローバルライブ配信イベントも実施しています。このイベントは同時通訳を導入して5カ国語でライブ配信しています。
2023年は「AGC いつも世界の大事な一部」というテーマで、 AGC の様々な製品やサービスが実際に使われている場面や、お客様の声を紹介しました。AGCがこんなにも社会を支えていることを知ってもらうことで、グループメンバーのモチベーションを高めていただきました。
イベント終了後に実施したアンケートの結果では、9割のグループメンバーが「とても良かった・良かった」と評価しています。このグローバルイベント企画は、ウィズワークス社が主催する社内報アワードの動画社内報部門にて、グランプリも受賞しています。
③経営トップコミュニケーション
土居(AGC):
AGC グループでは年間約100回、グループCEOとグループメンバーが対話する機会を設けています。チャレンジを推奨し、風通しのよい企業文化を醸成する目的のもと、コロナ禍前から継続して取り組んでおり、社内エンゲージメントの向上に大きく寄与しています。
「両利きの経営」でおなじみのスタンフォード大学チャールズ・オライリー教授からは、「変革のためには、経営幹部が定期的に従業員と接することが必要」として、継続的な AGC グループならではの施策についてご評価いただいています。
https://www.agc.com/hub/pr/ambidextrous_strategy.html
認知拡大と品質担保に向けて
土居(AGC):
今後の課題としては2つあります。
1つ目は、「AGC World」を更に周知させることです。
現在 AGCグループ では、グローバルの拠点ごとに独自のポータルサイトを保有していますが、AGC World へのリンクが分かりづらいサイトも多くあります。これを解消するために、グローバル共通のポータルサイトを作成する構想があります。
2つ目は、機械翻訳の品質を向上させていくことです。
嬉しい悲鳴ではありますが、現地語のコンテンツが拡充したことで、機械翻訳の品質を気にする声が出始めています。こちらについては WOVN.io の新機能である COPILOT に期待しています。
WOVN:
今後より一層読者を増やすことと、読者が満足する質の向上という課題に取り組まれていくのですね。今検討いただいている「COPILOT」について簡単に説明させてください。
WOVN.io には大きく2つのバージョンがあります。現在 AGC さんに導入していただいているのは「PRIME」という、多言語環境の構築を目的とした製品です。
現在の AGC さんの運用は、日本語の原稿をもとに英語に人力翻訳を行い、その英語をもとにタイ語・中国語に機械翻訳をかけ、最後は人が翻訳品質をチェックする、という方法です。
機械翻訳の品質は日々向上しているものの、「翻訳には正解がない」と言われている通り、意図したニュアンスを100%汲み取り正確に翻訳することは困難です。
それを解消するために、WOVN では翻訳品質を保証しながら運用の自動化を行えるサービスである COPILOT の提供を開始しました。COPILOT では「本来人が行うべき翻訳のチェックを AI が代行」し、ラストワンマイルである「人の手による修正」までをも一気通貫で提供しているサービスです。
これにより、企業側は完全にノータッチで品質を担保した翻訳を行うことが可能になります。AGC さんのように多言語化 Web サイトを閲覧する従業員が増加し、翻訳に対するフィードバックが高まってくるタイミングで、COPILOT は真価を発揮すると考えています。
Q&A
WOVN:
ここからは視聴者の方からの質問にお答えいただきます。「AGC World をより多くの従業員の方に読んでもらえるように工夫していることはありますか?」
土居(AGC):
ローカルのトピックを多く発信しています。製造現場で働いているメンバーはグローバルのトピックよりも自拠点や同じ地域のトピックスに関心が高いので、各地域のグループメンバーに刺さるコンテンツを提供するように心がけています。
WOVN:
次の質問です。「紙媒体から Web 媒体にシフトしたことでコンテンツ量は増えたと思いますが、コンテンツ作成やシステムの更新は全て同じチームで対応しているのでしょうか?」
土居(AGC):
Web に移行したことで、コンテンツ作成・記事投稿は広報・IR 部だけでなく、人事部やサステナビリティ、DXの担当部門でも行えるようになりました。基本的に広報・IR 部がコンテンツのスケジューリングは行いますが、それぞれの部門で発信したいものを作成し、AGC World を利用することで多言語で届けられる仕組みになっています。
WOVN:
本日はありがとうございました!
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