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インバウンド需要とは何か?

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小駒 海晴

2019年以前、ニュースで「爆買い」という言葉を耳にした人が多かったのではないでしょうか。日本への観光客はアジアを中心に世界中で増加傾向にあり、日本の商品やサービスを求める外国人観光客も多くいました。

しかし、2020年新型コロナウイルス拡大による各国の入国制限に伴い、旅行需要は激減しました。新型コロナウイルスは、海外からの観光客を事実上ゼロにしたため、インバウンドの恩恵を受けていた日本は大きなダメージを負うことになりました。

そんな中、2022年6月から制限付きで外国人観光客の受け入れを再開しており、観光業や地域経済の回復につながることが期待されています。

あらためて、今後回復が期待される「インバウンド需要」について、日本に旅行に来る外国人の実態、インバウンド需要の影響を考えてみます。

 

インバウンド需要とは何か

インバウンド(inbound)には「到着する、入ってくる」という意味があります。業界によってさまざまな使われ方をされる言葉ですが、旅行業界では「外国からの旅行者」を指します。

つまりインバウンド需要とは、日本に訪れた外国人の日本国内で生み出された商品やサービスへの需要 ということです。

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「爆買い」もインバウンド需要の一種です。インバウンド需要は、GDP では輸出にあたります。経済学では、輸出が増加すると国民の収入が増えて国内の消費も増加するという理論があります。さらに、消費が増えると、また誰かの収入が増え、さらに消費が増えるという好循環が発生するため、インバウンド需要による経済効果は、単純な輸出額の増加よりも大きなものとなるのです。

高齢化と少子化の影響により伸び悩んでいる国内需要を補うべく、外国からの需要を取り入れて収益を得ようとしている企業も増えています。

また、繁閑の差を小さくするために、インバウンド需要に取り組む企業もあります。日本人の国内旅行者は長期休みなどに集中するため、国内旅行者だけでは繁忙期と閑散期の差が大きくなってしまいますが、外国からの旅行者は繁閑関係ないため、収益や仕事の調整がしやすくなるためです。

インバウンドが注目されている背景とは

インバウンド需要により、訪日外国人観光客の継続的な増加や、コロナ後の旅行需要の回復、さらには観光客の消費行動による経済活性化につながることが予想されます。経済が失速傾向にある日本国内において、経済活性化につながる施策の1つとして、インバウンドへの注目が高まっています。

インバウンドの対義語として、アウトバウンドという言葉があります。インバウンドを訪日外国人と訳したときには、アウトバウンドは出国日本人を意味します。インバウンドがアウトバウンドを上回ると、外国にいった日本人よりも日本に来た外国人の方が多いことになります。

日本政府観光局の統計(※1)によると日本においては、しばらくインバウンドよりもアウトバウントの方が多い状況が続いていましたが、2015年には 45年ぶりに訪日外国人観光客が出国日本人を上回りました。2019年には出国日本人よりも訪日外国人観光客の方が約1,200万人多い状況となっています。

また同局の統計(※1)によると、訪日外国人は2009年の679万人に対し2019年は3,188万人と大幅に増加しており、日本の GDP の増加に大きく貢献しているといえます。

2019年12月以降は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により各国が感染拡大防止のために入国制限を行った影響で旅行需要は急激に減速しましたが、2022年に入り少しずつ旅行需要は回復してきています。

日本経済新聞社(※2)によると、欧米発の国際便座席供給数は、2022年5月時点では2019年平均の8〜9割と、コロナ前の水準近くまで戻りました。また観光目的に限ると、国際便の座席予約がコロナ前を2割上回ったという民間データもあります。

日本でも、2020年から閉鎖していた外国人観光客の受け入れを、2022年6月より再開しています。添乗員付きのツアー客に限るなどいくつかの制限はありますが、日本の入国制限緩和が大きな転換となり、インバウンド需要が少しずつ回復していくことが予想されています。


0014_slide2引用元:国土交通省 観光庁 【訪日外国人消費動向調査】2020年の訪日外国人旅行消費額(試算値)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001396416.pdf

インバウンド効果の見込める注目の業界とは

訪日外国人観光客が増えることによって直接的に収益に影響がある業界には、宿泊、観光、飲食、航空、鉄道、小売などが挙げられます。観光客は主に商品やサービスの消費を行うため、これらの業界にインバウンド需要が集中することが予想されます。

例えば、宿泊業界でインバウンド需要の増加が見込まれると、その需要の取り込みに向けた大規模な建物の改修工事、または新規建築を行う宿泊施設が増え、積極的に訪日外国人観光客を呼び込もうとする動きも活発になります。これにより、国内での経済活性化だけでなく、さらなるインバウンド需要拡大も期待できます。

▼国内インバウンド施策事例はこちら
株式会社相鉄ホテルマネジメント様:外国人のお客様にとっても使いやすい多言語アプリへ

時間帯までも意識したインバウンド戦略とは

インバウンド需要を収益につなげるには、訪日外国人観光客の特徴を踏まえる必要があります。例えば、ツアーで来る訪日外国人観光客は、日中はツアー行程を回るため忙しく、自由に行動できる時間は夜から深夜の時間帯が多くなります。つまり、この時間帯が活発に買い物をする時間となります。

こうした需要に対し、大手小売店では24時間営業や免税店、店舗数の多さなどで対応したことにより、早くにインバウンド需要の恩恵を得られたところもあります。迎賓館や京都の寺院でも夜間のライトアップなどを行い、夜間の観光客を惹きつけるような戦略を実行しており、インバウンド需要を焦点とした競争が繰り広げられています。

インバウンド対策のポイントとは

日本に旅行にくる外国人の内訳で最も多いのは、中国からの観光客です。日本政府観光局の統計(※1)によると、2019年には約960万人が中国から日本へ旅行に来ています。次いで韓国の約560万人、台湾の約490万人、香港の約230万人、アメリカの約170万人という順になり、その他の国からの観光客は100万人未満となっています。

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ツアー旅行の場合は言語サポートがあることもありますが、個人旅行者にとっては言語の壁は高いものです。訪日外国人観光客向けに自社の Web サイトを翻訳するときには英語で翻訳しようと考える人が多いかもしれませんが、この統計をもとに考えれば、アジアの言語で翻訳を行う方が大きな効果を生む可能性があると考えられます。

▼参考ページ
簡単にインバウンド対応を行う方法
言語の壁を取り払うローカライゼーションとは

まとめ

コロナウイルスの影響により事実上ゼロになったインバウンドが、今後は少しずつ回復していくと予想されています。また「団体から個人」「都市から地方へ」「モノからコトへ」と旅行の形態や目的が様変わりする中、多くの国や地域から日本に訪れるようになっています。

そのためインバウンド効果が期待できる業界では、多様化する外国人観光客をどれだけ取り込めるかが競争の鍵となります。コロナの感染状況や旅行需要の変化を見ながら、本格的なインバウンド回復に備えた取り組みを行いましょう。

 

※1.【日本政府観光局(JNTO)】統計データ(訪日外国人・出国日本人) http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/index.html
※2.【日本経済新聞】欧米の旅行需要、コロナ前水準に(有料記事)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61237820Z20C22A5NN1000/

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