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インバウンド対策とは?チャンスをつかむためのポイントを解説

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奥原 雅也
KV

更新日: 2024年1月30日
※2022年6月10日に公開した記事ですが、必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2024年1月30日に再度公開しました。

インバウンド対策とは、一言でいうと訪日外国人を対象としたマーケティング戦略のことです。

新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年以降、訪日外国人の数は激減しました。しかし、2022年後半から訪日に関する規制が緩和されるようになり、国を超えた人の動きが徐々に戻り始めています。2023年の訪日外国人旅行消費額は、2019年比9.9%増で過去最高の5兆2,923億円となりました。(※1)今後さらに、さまざまな分野で訪日外国人向けのインバウンド市場が、回復・拡大していくでしょう。

このような状況を踏まえ、企業がビジネスチャンスを広げていくには、インバウンド需要を意識した適切な準備が必要です。ここでは、インバウンド対策の重要性や、インバウンド増加によるメリット・デメリットのほか、インバウンド対策を成功させるためのポイントなどについて解説します。

▼参考ページ
簡単にインバウンド対応を行う方法

目次

  1. インバウンド対策の基礎知識
  2. インバウンド対策が注目される理由
  3. インバウンド(訪日外国人)市場の動向
  4. インバウンド増加のメリット・デメリット とは?
  5. インバウンド対策を成功させるポイント
  6. デジタルによるインバウンド対策の方法
  7. Web サイトやアプリの多言語対応事例
  8. 多言語対応 Web サイトを作成し、インバウンド対策をしよう

基礎知識

インバウンド需要への対策は、観光業だけではなく、さまざまな業界において必要なものです。まずは、インバウンドの意味やインバウンド対策の内容、最近の動向など、インバウンド対策の基本を確認しておきましょう。

ビジネス上のインバウンドとは、訪日外国人のこと

「inbound(インバウンド)」は、日本語に直訳すると「外から中に入ってくる」「内向きの」という意味になります。ビジネスにおいては「訪日外国人観光客」を指し、「インバウンド市場」「インバウンド需要」など、ほかの言葉と組み合わせてよく使われます。
日本を訪れる外国人は、観光客だけとは限らず、ビジネスや留学で訪日するケースも多くあります。そのため、観光だけではなく、日常生活での消費行動を含めたインバウンド対策が求められます。

インバウンド対策とは、訪日外国人を対象とした施策のこと

インバウンド対策とは、日本を訪れた外国人を対象としたさまざまな施策・取り組みのことです。インバウンド対策の大きな目的は、日本語や日本文化がわからない外国の方にも日本の店舗やサービスなどを利用しやすくして、機会損失を防ぐと同時に満足度を向上させることです。
例えば、メニューの多言語化や外国語を話せるスタッフの配置、日本文化体験サービスなども、インバウンド対策のひとつです。

インバウンド対策は「量」から「質」へ

これまで、日本がインバウンド対策で重視していたのは、訪日外国人観光客の人数を増やすことでした。そのために、国はビザ発給要件の緩和や国内事業者への補助金・助成金、国際観光振興機構(JNTO)の設立といった施策を打ち、事業者側も販促物の多言語化や無料 Wi-Fi の導入、通訳サービスの充実などを図ってきました。その結果、2003年に約500万人だった訪日外国人数は、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年には、3,000万人を超えています。(※2)

一方で、これからのインバウンド対策で必要なのは、より質の高い、高付加価値なサービスです。単に人数を増やすだけではなく、「1人あたりの滞在日数を増やす」「リピーターの再訪を促す」「付加価値の高いサービスで客単価を上げる」といった、インバウンド対策の質を高めていくことが重要になります。

 

デジタル上でのインバウンド対策が重要

今や、インバウンド対策に、デジタル上での情報発信は欠かせません。近年では、海外へ向けて商品を販売する越境ECや、メタバースを活用したアプローチなども増加しています。

インバウンド対策は、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」という、3つの段階に分けて考えることができます。このうち旅ナカでは、いかに「ここでしかできない体験」や「満足度の高いサービス」を提供できるかがカギとなります。一方、旅マエや旅アトにおいては、SNS や公式 Web サイト、越境 EC などでの情報発信・サービスが大きな意味を持ちます。
旅ナカにおける体験をより価値の高いものにするためにも、Web サイトの多言語化をはじめとするデジタル上でのインバウンド対策が、これまで以上に重要になってくるでしょう。

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出典:訪日ラボが発表しているプレ旅マエ〜旅アトのフレームワークを活用して WOVN にて作成

インバウンド対策が注目される理由 

インバウンド(訪日外国人)は、日本経済に大きな影響を与えます。観光やビジネス、留学などで日本を訪れる外国人は、滞在地で宿泊費や飲食費、交通費を使います。さらに、地域の観光スポットでおみやげを購入したりサービスを利用したりすることも少なくありません。国や各企業は、このような消費行動が少子高齢化による国内の消費額減少をカバーできると期待し、インバウンド対策に注目しているのです。

実際に、インバウンド消費は日本経済にとって非常に重要な規模となっています。インバウンドはサービス輸出に分類され、日本の主要品目の輸出額と比較すると自動車に次ぐ輸出産業です。これは半導体等電子部品や自動車部品など、輸出額が上位の主要品目を上回っています。(※3)

また、各企業が質の高いインバウンド対策を目指すことで、高付加価値の商品・サービスを開発するきっかけにもなります。その結果、日本全体の経済活性化や国際競争力の強化につながると考えられています。

インバウンド(訪日外国人)市場の動向 

訪日外国人から生じた国内の消費マーケットのことをインバウンド市場といい、訪日外国人の多様化に伴い変化し続けています。

過去に日本を訪れた外国人は、2018年から2020年までは中国、韓国、台湾、香港、タイ、アメリカからが多く、加えて2021年から2023年にかけてはベトナム、シンガポール、フィリピンからの訪日者数が増えています。また、非アジア圏で訪日外国人が多い国は、アメリカのほか、イギリス、カナダ、オーストラリアなどです。(※2)

コロナ禍によって低下した経済を再び活性化させるためには、これまであまり多くなかった国からの訪日外国人を増やす必要があり、さまざまな国の外国人に対応できるよう対策が求められます。

インバウンド増加のメリット・デメリット とは?

では、インバウンドが増加すると、どのようなメリット・デメリットが起こるのでしょうか。具体的な内容について見ていきましょう。

インバウンド増加のメリット

インバウンド増加による最大のメリットは、国内への経済効果です。訪日外国人の来店や利用が増えれば、新たな顧客層の拡大にもつながります。インバウンドによる消費支出は、観光業をはじめ、さまざまな業界で経済効果をもたらすことが期待できます。
また、インバウンド増加には、地域活性化というメリットもあります。訪日中に体験した地域の魅力を、帰国後、または SNS などで広めてもらえれば、日本の歴史や伝統文化の認知向上につながるでしょう。地域を訪れる外国人観光客が増えると、それに対応するために新たな雇用やサービスも生まれます。

インバウンド増加のデメリット

メリットが大きい反面、インバウンド増加によるデメリットや課題も存在します。そのひとつが、外国人観光客のマナー違反などによる風紀の悪化です。文化や風習の違いなど、悪気がなくても、トラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
また、外国人観光客を受け入れるには、決済方法や Wi-Fi 環境の整備、多言語化などの対応が必要になります。これらの環境整備に時間やコストがかかることも、インバウンド増加のデメリットといえるでしょう。

インバウンド対策を成功させるポイント

企業がインバウンド対策を成功させるには、国内マーケティングと異なる視点が必要になります。ここでは、インバウンド対策成功のポイントを、4つご紹介します。

外国人目線でのマーケティングリサーチ

日本人が良いと感じる商品やサービス、広告が、外国人にとっても同様に魅力的とは限りません。反対に、日本人にとってそれほど特別ではないものが、外国人には非常に魅力的に映るケースもあります。
まずは、外国人の目線での価値観を理解し、何が喜ばれるか、何が求められているかを把握する必要があります。

エクスクルーシブな体験

前述したように、これからのインバウンド対策は「量」から「質」への転換が求められます。それによって、エクスクルーシブな体験、つまり「今、ここでしかできない体験」を、忘れがたい印象とともに提供することが重要になっていきます。
特に近年では、世界的なインフレと急激な円安により、訪日外国人の日本での消費に割安感が生まれやすくなっている状況です。サービスの価値がより顕著に感じられ、満足度の向上を後押しするでしょう。

情報発信の多言語化

コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増えたことにより、インターネット人口は世界的に増加しています。それまで、インターネットをあまり利用したことがなかった人も、オンラインショッピングやネットでの情報収集を行うようになりました。インバウンド対策においても、デジタル上での情報発信がこれまで以上に大きな役割を果たすようになってきています。
同時に、求められる情報発信の頻度も非常に高くなっています。企業にとっては、膨大かつ高頻度な情報を多言語化できる翻訳体制を整えることが急務といえます。

外国人に向けたブランディング

ブランディングとは、「企業や商品、サービスなどがどのように見られたいか」というイメージを形成し、ターゲットに認知することです。インバウンド対策においては、「海外の人を受け入れている」という姿勢を示すことが、重要なブランディングになります。
例えば、外国語だけで書かれた海外の Web サイトを見て、日本人が「利用してみたい」と思うことはほぼないでしょう。訪日外国人の多様化に備えるには、より幅広い国・地域に対応できる多言語化が求められます。

 

デジタルによるインバウンド対策の方法

インバウンド対策のために、企業はどのような準備を進めれば良いのでしょうか。ここでは、今後特に注力したい、デジタル上でのインバウンド対策についてご紹介します。

Web サイトの多言語対応 

今後のインバウンドビジネス対策として必須となるのが、複数の言語で情報を発信する「多言語対応 Web サイト」の構築です。多言語対応 Web サイトを構築する際は、まずは多言語化の目的を明確にすることが大切です。例えば、すでに訪日比率の高い中国からのお客様への情報提供をメインとするのか、あるいは今後増えると予想される国・地域のお客様に向け、マーケティング活動としての情報発信をするのかなど、目的によって Web サイトのコンテンツの作り方が変わってきます。

一般的な多言語対応 Web サイトの構築方法は、もとの日本語の Web ページのテキストをほかの言語に翻訳したり、デザインを修正・変更したりするなど、日本語版とは別に多言語版として一から Web ページを作り直していきます。さらに、サーバや CMS など、運用のためのシステムも新たに構築する必要があるため、多大な工数がかかってしまい、言語数が増えるごとに工数は2倍、3倍と増加します。

また、多言語対応 Web サイトの運用で重要になるのが、「情報更新」です。インバウンドマーケティングにおいて、訪日外国人にタイムリーに最新の情報を届けることは必須になります。そのためには、対象 Web サイトの更新情報を常に把握し、情報が更新されたら即座に多言語ページを更新するなど、煩雑な更新作業が求められます。

そのため、多言語対応 Web サイトの構築と情報更新において、「コスト面」「工数面」「タイムリーさ」を考えるなら、自前で構築・運用をするよりも、多言語化 SaaS などテクノロジーの活用による効率化を検討したほうがいいでしょう。

▼参考ページ
多言語サイトの作り方から構築時の9つのポイントをわかりやすく解説
簡単にインバウンド対応する方法

SNS の活用

SNS による積極的な情報発信も、インバウンド対策として効果的です。多言語対応 Web サイトと SNS を組み合わせることで、より多くの外国人に自社の商品やサービスを伝えることができます。SNS で発信する際には、文章だけではなく、画像や動画を駆使した視覚的なアピールなども工夫しましょう。
なお、インバウンド対策にどの SNS が適しているかは、ターゲットとする外国人の国や地域、性質などによっても異なります。そのため、Facebook や Instagram 、Twitter など、複数の SNS を運用するとより効率的です。

多言語対応アプリの活用

アプリの普及が進み、重要な顧客接点の一つとなっています。コロナ禍を経て、外食関連アプリの利用も増加しました。(※4)インバウンド市場が拡大している今、外国人が飲食店を利用することも増えていくでしょう。しかし、母国語以外でメニューや予約サービスなどを理解することは困難です。そこで、多言語対応したアプリを活用し、外国人顧客もメニューやクーポンなどの情報を理解してストレスなく予約・注文ができるようにすることで、満足度向上やリピーター増加につながると考えられます。さらに、顧客の利便性向上だけでなく、従業員の接客負担軽減や顧客データの活用も見込めます。

→お役立ち資料「【飲食店アプリの多言語化】訪日外国人の来店が増える中、接客レベルの向上を図る
資料を見る
また、アプリの利用は外食関連業に限ったことではありません。例えば、旅行・体験予約にもアプリを活用することがあるでしょう。外国人観光客にとってお金を使う対象は「モノ」から「コト」へ、特別なサービスや体験への関心が高まっています。理解できる言語で情報提供されたアプリがあれば、より利用客も増えると考えられます。今はまだ訪日観光客が少ない場所に関しても、多言語対応により在留外国人の利用が増え、口コミなどを通してインバウンド集客につながることも期待できます。

→お役立ち資料「【旅行・体験予約アプリの多言語化】外国人旅行者層をとらえるために
資料を見る
コロナ禍を経てインバウンド市場が回復・拡大してきている今、低下した経済を再び活性化させるためには、これまであまり多くなかった国からの訪日外国人を増やす必要があり、さまざまな国の外国人に対応できるよう対策が求められます。

Web サイトやアプリの多言語対応事例

外国人観光客に向けて、Web サイトやアプリを多言語対応している事例を紹介します。

イオンリテール株式会社

イオンリテールは、イオンに来館される訪日観光客向けのショッピングサービスサイト「WELCOME AEON」を運営し、訪日観光客限定クーポンの配布や各店舗情報案内、免税サービスなどの情報を発信しています。これまでに来館された外国人客の分析を行い、まず最もニーズの見込まれる英語・簡体字・繁体字・韓国語・ベトナム語の5言語対応を始めました。海外 SEO 対策も行い、訪日観光客に向けて旅行前の段階からきちんと情報を届けています。

PressRelease - Aeon
詳しい内容は「イオンリテール、インバウンド対応のため 訪日客向けサイトを WOVN で5言語対応」をご覧ください。

日本空港ビルデング株式会社

日本空港ビルデングが運営する羽田空港と成田空港の免税品事前予約サイトは、英語・簡体字・繁体字・韓国語に対応しています。免税品事前予約サイトで希望の商品を予約すると、あとは空港で受け取るだけで買い物ができるサービスです。商品情報の更新に合わせたタイムリーな情報発信を多言語で行っており、利用者の利便性向上と e コマースでの売上拡大を図っています。

PressRelease - 日本空港ビルデング
詳しい内容は「羽田空港・成田空港、免税品予約サイトを WOVN で多言語化」をご覧ください。

株式会社相鉄ホテルマネジメント

国内外でホテルを運営する相鉄ホテルマネジメントでは、会員プログラム「SOTETSU HOTELS CLUB」を提供しています。SOTETSU HOTELS CLUB アプリは、会員 QR コードの発行や宿泊予約、ホテル情報(行き方・地図)の閲覧など様々な機能を持ち、お客様一人一人への細やかなサービスを提供するための重要なサービスです。多くの外国人顧客を迎える同社では多言語対応が必須と考え、アプリを5言語対応することでユーザビリティ向上を進めています。

kv_株式会社相鉄ホテルマネジメント
詳しい内容は「SOTETSU HOTELS CLUB アプリの多言語対応でコスト圧縮・運用工数は 1/5 に。外国人のお客様にとっても使いやすい多言語アプリへ。」をご覧ください。

多言語対応 Web サイト・アプリを作成し、インバウンド対策をしよう

アフターコロナの時代となり、インバウンド市場は再び活性化、さらに拡大してきています。より多く、より魅力的な情報を訪日外国人へ届けるため、多言語対応 Web サイト・アプリの作成は欠かせないものとなるでしょう。
ただし、多言語対応 Web サイト・アプリは既存サイト・アプリの文字をただ翻訳すれば良いというものではなく、コンテンツ、ビジュアル、デザインなどを含めて、それぞれの地域・言語・文化に合うように最適化していく必要があります。

そこで、インバウンド対策として多言語化 Web サイト・アプリの構築をお考えの方におすすめなのが、Web サイト多言語化ソリューション「WOVN.io」アプリ多言語化ソリューション「WOVN.app」です。「WOVN.io」「WOVN.app」は、既存の Web サイト・アプリを最大45言語に多言語化し、運用を自動化することができます。商品やサービスの背景にあるストーリーを伝えるために欠かせない、動画字幕の多言語化にも対応。
多言語対応 Web サイト・アプリは公開して終わりではなく、継続した維持運用が大切です。少ない負担で効果的なインバウンド対策を実現するためにも、ぜひ「WOVN.io」「WOVN.app」の導入をご検討ください。

※1 観光庁: 訪日外国人消費動向調査 2023年暦年 全国調査結果(速報)の概要
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001718105.pdf
※2 日本政府観光局(JNTO):訪日外客統計https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/index.html
※3 経済産業省:【経済産業省】令和5年版 通商白書 第Ⅱ部 第2章 第3節 我が国経済の成長のけん引役として期待されるインバウンド需要
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2023/2023honbun/i2230000.html
※4 日本経済新聞(2023年3月4日):外食関連アプリ、利用者増加 モバイル注文に支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC160RG0W3A210C2000000/

 

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