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【八芳園社長が語る】MICE からつくる“新観光”構想|株式会社八芳園 井上氏|GLOBALIZED インバウンド2.0

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佐藤菜摘
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Wovn Technologies株式会社は、2023年2月16日に国内最大級のインバウンド特化型カンファレンス「GLOBALIZED インバウンド 2.0」を東京タワーにて開催し、訪日観光に関わる多様な業界の方に向けて「訪日 DX で進化する日本の未来」をテーマにお届けしました。

当セッションでは、株式会社八芳園 取締役社長井上義則氏をお招きし、「MICE からつくる"新観光"構想」と題して、結婚式場で有名な八芳園が手掛ける MICE 事業と、ワンストッププロデュースから生み出す"新観光"構想についてお話を伺いました。

【登壇者】
井上 義則 氏
株式会社八芳園 取締役社長

2003年八芳園入社。年間挙式披露宴組数を1000組前後まで下げていた八芳園を、4年で2000組まで V 字回復させ、その後6年連続で達成。2008年 常務取締役 総支配人、2013年 取締役専務総支配人を経て、2021年10月に取締役社長に就任。八芳園事業で培ってきたイベントのプロデュース力とクリエイティブ力を活かし、日本文化の継承と創造をテーマに、MICE 産業へ参入。地方自治体と連携し「食」と「人」の交流事業のプロデュースを行うなど、八芳園施設外でのイベントプロデュース実績を着実に積み上げる。
現在は、総合イベントプロデュース企業として、社会課題解決に貢献するため人の交流の場に DX を実装させ、リアル空間とデジタル空間を組み合わせたハイブリッド空間での新しい交流の未来創造に着手し、サスティナブルなホスピタリティサービスコンテンツ創造を指揮している。東京都 DMO GATEWAY 新品川 事務局長。

 

デザイン×デジタルで魅了する八芳園のコンテンツプロデュース

八芳園は創業から80周年を迎えた企業です。港区の白金台に日本庭園を有する約1万坪の敷地内に結婚式やその他のイベント会場としてご利用いただいております。

かつては事業の大半が結婚式会場の提供だったのですが、インバウンドの増加と東京オリンピック開催をきっかけに MICE 事業(Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Event)にも取り組み始めました。

当初の課題として、会場の大きさが結婚式向けのため、何千人規模のイベントとなることが多い MICE の受け入れには合わない、というものがありました。ですが、ブライダル事業を運営していく中で培ったコンテンツ制作力、クリエイティブ力を活かし、MICE 産業でも勝ち筋があるのではないかと考えました。

そこで私自身が取締役社長になった時点で、労働集約型だった事業ポートフォリオを、クリエイティブとデジタルを中心に置いたコンテンツで勝負することに方針転換しました。

現在、プロモーション動画をはじめとした様々なコンテンツは、すべて自社で制作しております。弊社の Youtube チャンネルで動画を掲載しているので、気になる方は是非ご覧ください。

https://www.youtube.com/@happoenpr

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外国人の方に八芳園を知っていただくための動画も制作・発信しています。外国人の方が興味を示す文化に音楽や色彩、そして特徴的なデザインを組み合わせることによって、より日本らしさを強調しています。

このようなコンテンツを制作することによって「日本文化を発信している八芳園である」、「八芳園という場所は日本のコンテンツが似合う場所である」といったブランディングに繋がります。いわゆるユニークなコンテンツを発信するユニークな場所であるというブランディングです。

会場が広くないため、ハードウェアで戦うと選ばれにくくなってしまいます。そこで、八芳園という場所に訪れると「新しい日本文化」を体験できると思っていただくことが大切です。

そうした想いから様々なプロモーション動画の制作をしているので、ユニークなコンテンツを作るために、私自身が日本各地に足を運び各地の職人にお話を伺いました。みなさん決まっておっしゃるのが「俺の代で終わりだ」です。長く持続している日本の文化を次の世代の人たちに届けるにはどうすればよいのか、私たちの世代が果たす役割について深く考えさせられました。

以下で八芳園が取り組んできたことについて一部紹介します。

 

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こちらは、470余年の歴史と伝統を持ち、家具生産高日本一を誇る福岡県大川市で制作した組立式茶室「MUJYOAN」を八芳園の庭園に置いて撮影した写真です。この町には「家具の町、大川」という看板が町中にあるのですが、それだけでは職人の技術、日本の文化が次世代や世界に伝わらないと考え「クラフトマンの町、大川」というブランディングに変えたイベントを開催しました。

木工が有名な町で LED やホスピタリティを組み合わせ、組立式茶室を制作し、台湾やシンガポールなどに空輸し、イベントを開催しました。この茶室は大川の職人による日本の技を随所に見ることができ、木のぬくもり、日本ならではの伝統を感じることができます。

 

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次の事例です。

日本各地には、神社・仏閣が多くあり、森羅万象から生活に至るまで約800万もの神様が存在するといわれています。長い日本の歴史、多くの意味が込められている日本文化や風習をより多くの方に知っていただきたいと考えました。そうした想いから、全国に残る日本の神話をモチーフに日本の文化や風習に込められた意味や歴史を伝えるコンテンツを制作しました。

 

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日本にとどまらず、シンガポールにも活動の場を広げました。成長著しい国で、どれだけ日本のコンテンツが浸透するのかを試してみたかったのです。

ここでは株式会社 JTB と連携して、シンガポールの観光名所である植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」で「SAKURA JAPAN」というイベントを実施しました。日本のコンテンツを浸透させたかったため、本物であることにこだわり、着物からヘアメイクまで入念に準備をした芸者や舞妓をお披露目するとともに、組立式茶室「MUJYOAN」を用いた茶の体験を通した日本文化体験イベントをプロデュースしました。

 

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こちらはリアルとオンラインのハイブリッド型イベントの事例です。

コロナ禍によって、ソーシャルディスタンス、3密や4密、そして非接触といった様々なキーワードが広まりました。こうしたキーワードをオセロのようにひっくり返す、新しい交流モデルを創り上げました。デザインとデジタルの力を組み合わせることによって、これまでとは全く異なるホスピタリティを提供し、新たな人と人の交流の形を提案しました。

 

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2021年に開催された東京オリンピックでは、参加国と各自治体が連携して推進していたホストタウン活動にも参画しました。こちらの写真は山形県のとある市とブルガリア共和国と連携を、食と会場で表現したものです。

これをきっかけに、全国12の地方自治体や大学、高校と連携して参りました。今後は連携を横に広げていくだけではなく、2025年の大阪関西万博でどのようなソリューションを生み出すことができるのか、日々模索しています。

 

交流文化創造という新たな市場を作る

2023年1月「交流文化創造という新たな市場を作ろう」と決意し、全社に発信しました。

こちらは、2025年に向け八芳園が果たす価値提供の一つです。

観光という言葉は「国の光を観る」という意味で解釈されています。また、1995年に観光政策審議会が、観光とは「余暇時間の中で、日常生活圏を離れて行う様々な活動であって触れ合い、学び、遊ぶということを目的とするもの」と定義しています。いわば「観光」とは「人と人とが交流」する「文化」であるといえます。

「交流して磨かれた文化が、持続可能になり、さらに創造を生み出す市場」を作ることによって、新たな観光という市場を生み出せるのではないかと考えました。文化交流という言葉自体はなじみ深いと思いますが、八芳園が大事にしているのは交流することによって文化が生まれてくるという考えです。様々な技を持っている人、想いを持っている人、知見を持っている人が交流することによって、より良い文化が形成され、外国人の方は日本を良い市場だと思い、訪れてくれると考えます。

 

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こちらが八芳園の新たなビジネスモデルです。

地方自治体の方たちは関係人口と交流人口を伸ばしたい、そして移住・定住を伸ばしたいとよく言っています。しかし、連携協定を深めていく中で、関係人口と交流人口が強く結びつくことはないことに気づきました。なので、八芳園が連携協定をする意義は、関係人口と交流人口を結びつけていく、入口・出口戦略を練ることにあるのではと考えました。

そこで、地方自治体が今まで行っていた観光のモデルではなくて、この自治体だから面白い遊びができるとか、この自治体の地域だから面白い学びができるとか、この自治体だからおいしい食材があるとか、それぞれの地域の特徴を市民から声が上がってくるようなプラットフォームを作ることにしたのです。

そのプラットフォームで吸い上げた声をコンテンツ化し、ホスピタリティプログラムとしてオムニチャネルを作っていくつもりです。ホスピタリティプログラムは日本の方向けに発信するだけでなく、MICE という機会を活用し外国人の方にも届けていきたいと考えています。

総合プロデュース企業としての想い

八芳園は総合プロデュース企業として空間デザインから DX 推進まで事業領域を拡張しています。デジタルの力がないと、労働力をカバーすることができません。様々な取り組みを行いながら、日本の文化というコンテンツをさらに世界の方に届けていきたいと思います。

 

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