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訪日マーケティング DX 〜テクノロジーで解放する日本のポテンシャル〜|アゴダ 大尾嘉氏|GLOBALIZED インバウンド

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佐藤菜摘

 本記事のポイント 

  • 旅の予約は対面式から非対面式オンライン予約へシフト

  • インバウンド旅行客に人気の日本の観光地は主要都市から地方へ

  • マーケティングにはデジタルのプラットフォームを活用し、サービスの質向上に注力を

Wovn Technologies株式会社は、2024年5月16日に「GLOBALIZED インバウンド」を開催し、「インバウンド最前線 2030年15兆円市場へ 〜訪日インフラに求められる多言語対応とは〜 」をテーマにセッションをお届けしました。

基調講演では、アゴダインターナショナルジャパン 代表取締役である大尾嘉 宏人氏を迎え、「訪日マーケティング DX 〜テクノロジーで解放する日本のポテンシャル〜」と題して、インバウンド旅行客と旅行予約の動向についてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。

 

【登壇者】
大尾嘉 宏人 氏
アゴダインターナショナルジャパン
代表取締役

1994年、凸版印刷(現・TOPPANホールディングス)に入社。99年にアメリカ西海岸へ駐在し、戦略的投資・提携案件に携わる。
2007年、楽天(現・楽天グループ)へ転じ、国内・海外の買収先企業でのPMIに従事したほか、楽天グループ執行役員、楽天モバイルの常務執行役員に就任。
2020年、アゴダに参画。北アジア地区統括アソシエイト・バイスプレジデントとして、日本、韓国、台湾を管轄。アゴダインターナショナルジャパン代表取締役兼任。

 

 

アゴダは Booking Holdings Inc. のグループ会社です。国内5万軒以上のホテルや旅館、世界中から400万軒以上のホテルを掲載しています。オンラインチャネルからの宿泊予約数ランキングでは2023年に世界2位になりました。

アゴダはアジア中心の OTA(Online Travel Agent)ですが、大きくトラフィックを集められている理由の一つは多言語化です。39カ国語でサービスを展開しており、世界中からアゴダのサービスを利用できる状況になっています。皆さんも海外へ行く際、フライト・ホテル・アクティビティを全て日本語で予約でき、コミュニケーションができると非常に安心感があるのではないでしょうか。それをアゴダも実現しています。

また、カスタマージャーニーや UI を非常に大事にしています。1つのアプリや Web で、フライト・ホテル・アクティビティ・公共交通機関を、シームレスに予約できるよう注力しています。さらには、旅の計画を立てるときや予定を確認するとき、旅の途中でアクティビティを追加したいときに、いつでもアプリで自由に計画の変更・追加ができることを目指しています。

日本特有のおもてなしを予約サービスに反映

2022年には、日本の国内ユーザー向けの温泉リゾートチームを立ち上げました。コロナ禍のため、通常時にインバウンド旅行客がよく訪れる東京・大阪・福岡・札幌・沖縄ではなく、日本人が行く温泉地33地域の施設を強化しました。

また、日本の施設特有のプラン内容を詳細に説明できる機能を提供しました。ホテルや旅館を検索した際に、豪華な夕食メニューやオプションが表示されるのは日本特有です。その魅力を大きな画像や言葉で丁寧に説明することが可能な「カスタマイズプラン販売機能」を展開しました。

さらに、子供料金や人数に合わせた料金があることも日本特有です。海外ではホテルを部屋単位で予約するため人数は関係ありません。一方、日本の場合はおもてなしとして、食事や様々なサービスの準備をするため、人数ごとに値段が変わります。子供でも年齢によって食事の有無などが異なるため、年齢帯別料金が設定可能な「子供料金機能」を追加しました。

インバウンド旅行客の目的地は主要都市から地方へと変化

現在のインバウンドのトレンドを見ていきましょう。

パック・団体旅行と個人旅行を比較すると、個人旅行が急激に伸び、9割を超えるシェアとなっています。
宿泊予約経路の構成比率は、コロナ禍後に OTA がシェアを拡大し、旅行代理店のシェアが縮小しています。宿泊施設の自社サイトも充実し、特定のホテルに直接予約をする傾向も見られます。非対面式オンライン予約へシフトしていると言えます。

次にアゴダでの検索数を見ると、2023年、日本からの旅行者はコロナ禍前の2019年と比較して、国内旅行は3倍以上、海外旅行は2倍近くの増加となりました。

続いて世界のアゴダユーザーを見ると、アジアで最も人気のある観光地は、国では日本、都市では東京となっています。

2022年11月と2023年11月の検索データを比較した、人気上昇中の国内旅行先ランキングもあります。

 1. 福岡:検索46%増
 2. 広島:検索39%増
 3. 仙台:検索37%増
 4. 神戸:検索33%増
 5. 富士河口湖:検索28%増

地方都市での人気が急上昇しています。元々、インバウンド旅行客の目的地としては東京・大阪・福岡・札幌・沖縄がよく知られていました。ところが今では、どのように見つけたのかと思うような都市のホテルや旅館の予約が次々と入ってきています。

友人・知人の Instagram を見て知った、YouTube を通して知ったという話を多く聞くようになりました。目的地が提供しているコンテンツではなく、ユーザーによるコンテンツで情報が共有され、日本に来ている傾向が強くなっています。

日本を目的地とするインバウンド旅行検索数 TOP 8(アゴダ内実績・2024年2月)は下記です。

 1. 韓国
 2. 台湾
 3. 香港
 4. タイ
 5. シンガポール
 6. アメリカ合衆国
 7. フィリピン
 8. 中国

日本に近い韓国・台湾・香港からの検索が多く、特に九州には韓国から多くの人が来ています。

冒頭で温泉リゾートチームの立ち上げを紹介しましたが、由布・湯沢・草津・熱海・松山・南小国といった全国の温泉・リゾートエリアで、2023年には2019年と比較し、インバウンド旅行客が増加しています。インバウンドが戻ってきてから、日本の中での旅行先が如実に変化しているといえます。

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マーケティングにはデジタルを上手く活用し、サービスの質向上に注力

最後に、デジタルマーケティングのポテンシャルについて話します。

IT には Information Technology、情報技術という定義がありますが、私はサービス・モノを提供する供給者と享受する消費者を繋ぎ合わせるものだと考えています。価値を提供する人達と、価値を見出す人達の出会いを IT で促進することによって経済は活性化します。同時に供給側が良いものを作り続け、旅行の場合、旅やモノを享受することで生活が豊かになります。アゴダは IT でこの2つを繋ぎ合わせることを実現しています。

宿泊施設・フライト・アクティビティといったコンテンツをしっかりとアゴダに掲載するだけで、予約は入ってきます。プラットフォームを利用するだけで他に何もしなくても、予約が入る仕組みを作っているのがテクノロジーです。コンテンツには施設情報だけでなく、料金、在庫状況やターゲット、人によって値段が違うのか、早割情報などがあります。こういった様々な変数を詳細に掲載することで、非デジタルでの集客とは比較にならないくらい上手くマッチングをして予約が成立します。

2023年5月からアゴダで販売を開始したある施設では、3カ月で飛躍的に日本人旅行客とインバウンド旅行客の予約が増えました。施設ではサービスの品質を上げることに集中し、情報コンテンツをアゴダに掲載すれば、IT の力を使ってマーケティングを行います。
そして39カ国語でサービスを展開しているので、理解できる言語でサービスの内容を知り、安心感を持って日本に来ていただけます。

インバウンドの滞在日数は日本人の週末の旅行と違い、1週間以上と長いです。さらに安価で空いている平日に訪れます。ホテルは稼働率を上げられるので、インバウンド旅行客と日本人旅行客を上手く組み合わせることが効果的です。

IT で世界は小さくなったと私は感じています。飛行機で移動する距離でも、隣町のような感覚で行くことができるほど便利になりました。準備や計画に関しても、オンラインのプラットフォームを利用することで、自ら予約し、好きな場所・計画・フライト・アクティビティを選ぶことが非常に簡単にできるようになりました。需要はたくさんあるので、こういったプラットフォームを利用するのも一つの手です。

ありがとうございました。

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