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リコマースとは?拡大している理由やメリット、成功のポイントを解説

佐藤菜摘

循環型社会を目指す動きが広がりを見せる中、リコマースというビジネスモデルが拡大しています。リコマースとはどのようなビジネスモデルで、循環型社会と関わりがある 3R とはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、リコマースの意味や種類、リコマースが拡大している理由について解説します。リコマースのメリットや、リコマースのビジネスを成功させるポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次 |
リコマースとは中古品を扱うビジネスのこと
リコマースとは、「re(再生・再利用)」と「commerce(商業・取引)」を組み合わせた言葉で、中古品を取り扱うビジネスのことです。不要になった商品を再販売することにより、資源の無駄遣いを減らし、環境保護に貢献できます。
このビジネスモデルは、衣類や家電、書籍、家具といった幅広いカテゴリーで展開されており、消費者は新品を購入するよりも安く目的の商品を入手可能です。近年では、オンラインプラットフォームを活用した中古品取引が一般化し、リコマース市場は拡大しています。
リコマースと 3R の違い
リコマースに近い意味を持つ言葉に「3R」があります。リコマースも3R も「循環型社会を目指す」という点は共通しているものの、異なる点もあるため、使い分けが必要です。
3R は、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)という3つの「R」の総称です。リデュースは「減らす」という意味で、資源の無駄遣いを減らし、ゴミの排出量を減らそうという考え方を示します。リユースは「再利用」という意味で、使えるものを繰り返し使ったり、不要になったものを譲り合ったりする取り組みのことです。また、「リサイクル」とは、ゴミを資源として再び利用することです。リデュースやリサイクルを行ってもゴミとして排出されるものは、リサイクルによって再び資源へ生まれ変わらせることができます。
一方で、リコマースは、一度使用された中古品を販売するビジネスモデルです。3R の「リユース」に似ていますが、リコマースは単なる廃棄物削減や資源再利用にとどまらず、商品として再販することによる利益創出を目的としています。物品の再利用を通じて経済的価値を創出する点が、3R とは異なるリコマースの特徴です。
リコマースの主な種類
かつてのリコマース市場は、古本や古着などを専門店が買い取って販売するケースが主流でした。しかし近年では、従来型のリコマースとは異なる、新たな形態が登場しています。
近年広がりを見せているリコマースの主な種類をご紹介します。
レンタルサービス
レンタルサービスとは、一時的に必要とされる商品を、一定期間貸し出すサービスのことです。CD や DVD のレンタルサービスの他、冠婚葬祭の着物やドレス、ベビー用品、アウトドア用品など、必要な場面が限られている商品で多く利用されています。レンタルサービスを利用することで、必要なものを必要なときだけ使えるので、商品を購入する費用や処分の手間がかかりません。
レンタルサービスの中には、購入前のテストを目的としたものもあります。家具や家電、ファッションアイテムなど、気になる商品をレンタルして実際に使い勝手を試せるので、納得した上で購入を決めることができます。
シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーとは、個人間でモノや場所、サービスなどを共有・提供し合う仕組みのことです。代表的な例がカーシェアで、車を所有せずに、必要なときだけ、カーシェアリング企業が提供する共用の車を借りることができます。モノの所有から利用へのシフトを促し、資源の無駄を減らすと同時に、利用者にとってはコストを削減できるメリットがあります。
オンラインの個人間売買
フリマサイトやオークションサイト、物々交換サイトといったオンラインの個人間売買も、リコマースのひとつです。オンラインの個人間売買を利用すれば、売り手は不用品を現金化でき、買い手は新品よりも安い金額で欲しい商品を手に入れることができます。スマートフォン1台で手軽に取引できる便利さも相まって、利用者は増加傾向にあります。
自社商品の下取りサービス
下取りサービスとは、新しい商品を購入する際、古い商品を引き取って査定価格で買い取るサービスのことです。最近では、新型モデルへの買い替えを促す目的で、自社商品の下取りを実施するケースが増えています。
下取りサービスの対象となる商品は、家具や家電、車、楽器、スマートフォンなどさまざまです。消費者にとっては、下取りサービスを利用することで、古い機種を処分する手間が省け、割引価格で新品を購入できるメリットがあります。大型の家具や家電などは廃棄するのもコストがかかるため、下取りサービスの有無が商品選びを左右するケースもあるでしょう。
リコマースが拡大している理由
リコマース市場は、年々拡大傾向にあります。リコマースが拡大している理由は、主に以下のとおりです。
フリマサイトが増加しているから
リコマース市場が拡大している大きな要因といえるのが、フリマサイトの存在です。フリマサイトの増加により、中古品などの個人間売買が一般的になりました。その結果、消費者の中古品に対する抵抗感が薄れ、商品購入にあたって中古品を積極的に選ぶ人も増えています。
原材料費高騰で物価が上がっているから
リコマース市場が拡大している背景には、近年の物価上昇も無関係ではありません。原材料費や人件費などが高騰し、商品価格は軒並み上昇しています。消費者にとって、一次流通の商品は割高に感じられるようになり、高価な新品を購入することをためらうケースも少なくありません。そのような中、コストを抑えつつ品質の良い商品を購入できる手段として、リコマースが注目されています。
環境意識が高まっているから
世界的な環境意識の高まりも、リコマース市場拡大の一因です。脱炭素に向けた動きが加速する中、従来のような大量生産・大量廃棄のビジネスモデルは、消費者に受け入れられなくなりつつあります。日常の購買行動においても、環境負荷の少ない商品やサービスを優先的に購入するグリーン購入が広がっています。「環境に配慮した商品を選びたい」という思いから、新品の購入ではなく、あえてリコマースを選択する人も増えてきました。
ブランド戦略が変化しているから
上述した環境意識の高まりなどを受け、従来の大量生産・大量消費のビジネスモデルから、適量生産・適量消費へ移行する企業が増えています。例えば iPhone では、中古品の下取りによって新しいモデルを安価で提供するという戦略が採用されています。ブランド戦略のこのような変化により、新品だけでなく中古品も重要な選択肢として消費者に認識されるようになり、リコマース市場が拡大しているのです。
リコマースのメリット
企業は、リコマースに取り組むことでさまざまなメリットを得られます。企業にとってのリコマースのメリットは、主に以下のとおりです。
新規顧客を獲得できる
リコマースによって中古品を取り扱うことで、企業はそれまでリーチできなかったユーザー層にアプローチでき、新規顧客の獲得につながる可能性があります。新品を購入するのはハードルが高いと感じている人でも、価格が手頃な中古品に魅力を感じるケースは多いでしょう。リコマースをきっかけに、自社の商品やサービスを知ってもらい、潜在顧客を顕在顧客化する効果も期待できます。
リピーターを獲得できる
リコマースはリピーターの獲得にも効果的です。リコマースでは、商品の下取りサービスや再利用を促進する仕組みが多く存在します。例えば、古い商品の下取りサービスを実施することで、企業と顧客が再度接点を持ち、新商品の購入につながるケースは少なくありません。顧客と長期的な関係を築けることは、企業にとって大きなメリットです。
社会貢献につながる
リコマースは、不要になった商品を再利用し、廃棄を減らす仕組みです。リコマースを推進すると、循環型経済によって環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に貢献できます。こうした活動は、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。
ブランドイメージが高まる
ブランドイメージが高まることも、リコマースのメリットです。リコマースを推進する企業は、環境への配慮や循環型経済の実現に向けた取り組みを行っていると認識され、社会的な評価が高まります。社会貢献を意識している企業であることをアピールできると、顧客の信頼を得やすくなり、企業のブランド価値も高められるでしょう。
リコマースを成功させるポイント
リコマースには、メリットだけでなく課題もあります。リコマースを成功させるには、以下のポイントを意識することが大切です。
中古品の販売には手間をかける
リコマースでは、商品価値を維持・向上させるために、手間をかけることが重要です。例えば、買い取りや下取りをした商品は、クリーニングや修理、メンテナンスなどを施し、可能な限り新品に近い状態を保つ必要があります。また、商品の状態を正確に説明し、顧客に安心してもらうことも大切です。これは中古品の販売に限らず、レンタルサービスなどでも同様です。
人材育成に注力する
リコマースに取り組む際には、中古品の価値を適切に判断し、査定できる人材が必要になります。査定にあたっては商品の状態や市場価値を見極めなければならず、専門的な知識や経験が必要です。リコマースの意義を理解し、顧客とのやりとりから品質管理まで幅広く任せられる人材を育てることが、ビジネスの成功につながります。
Web サイトを多言語化する
リコマースビジネスを拡大するためには、Web サイトの多言語化も重要です。日本の商品は、品質や性能の安定性、耐久性、デザイン性などが優れており、海外でも高い人気があります。Web サイトの多言語化により、海外からの需要を取り込むことができ、事業のさらなる成長を目指せます。
リコマースとは何かを理解することが、ビジネス成長の大きな一歩
リコマースは、一度消費者が使用した商品を中古品として取り扱うビジネスモデルです。循環型社会を目指す動きが広がる中で、リコマース市場はますます拡大しています。リコマースを推進することで、環境負荷の低減や、新たな顧客層の開拓、ブランド価値の向上といったメリットが得られます。リコマースとは何かを深く理解し、ビジネスの成長につなげていきましょう。
日本の商品は海外からの評価も高いため、越境 EC などによりリコマースを世界的に推進すれば、大きくビジネスを成長させられる可能性があります。越境 EC を展開するには、Web サイトの多言語化が欠かせません。
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佐藤菜摘
前職は、広告代理店にて大手CVSの担当営業として、販促物製作やブランディングプロジェクトに従事。2016年WOVN Technologies株式会社に入社し、広報業務を担当。2022年よりMarketingチーム。
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