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【海外 SEO 勉強会】海外流入を強化するコンテンツ SEO の最新セオリー|海外SEO情報ブログ 鈴木氏

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佐藤菜摘

 本記事のポイント 

  • Google は「エンティティ」に対して「E-E-A-T」を判断

  • オフライン含む様々な活動で「言及」を集め、エンティティを強化する

  • WOVN.io は簡単にテクニカル SEO の土台を作れる。そこからコンテンツ SEO 強化へ

Wovn Technologies株式会社は、2024年12月5日に「海外SEO情報ブログ」運営者で株式会社Faber Company 執行役員Search Advocate の鈴木 謙一氏をゲストに迎えセミナーを開催。「海外 SEO 勉強会 #2 〜 海外流入を強化するコンテンツ SEO の最新セオリー 〜」と題して、海外 SEO 対策の特にコンテンツ SEO で重要な「エンティティ」と「言及」についてお話を伺いました。本レポートではその内容をご紹介します。

【登壇者】

鈴木 謙一 氏
海外SEO情報ブログ運営者/
株式会社Faber Company 執行役員Search Advocate

正しい SEO をウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。2007年から運営する「海外SEO情報ブログ」は、日本で最も有名な SEO をテーマにしたブログ。世界中から集めたお役立ち SEO 情報をいち早く読者に提供している。また、インプレスの「Web担当者Forum」で執筆連載するコラム「海外 & 国内SEO 情報ウォッチ」は、当該メディアの人気コーナーの一つ。Google 公式の検索セントラルヘルプコミュニティでは、プロダクトエキスパートとして10年以上活動しており、Google 社員とのつながりも深い。所属先の Faber Company では、検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。同社運営の YouTube ミエルカチャンネルでも、SEO の情報を発信している。

加嶋 優
Wovn Technologies株式会社 
Marketing Executive

専門商社でセールスキャリアをスタート後、2013年に創業間もない広告代理店へ参画し、広告運用チームの立ち上げと拡大に尽力。国内で6人目のTwitter広告コミュニティcontributorに選出。広告運用を通じて、累計400社以上のマーケティング活動を支援。2019年からはSaaS事業にピポッドし、PO・CS責任者・マーケティング責任者などを歴任。2023年2月にWovn Technologiesに入社。デジタル広告の設計・管理や、自社カンファレンスの企画運営、外部イベントでの講演など、様々なチャネルでマーケティング活動を推進。

 

目次

  1. Google は「エンティティ」を関連する情報と共に取得
  2. 経験・専門性・権威性・信頼性に基づく検索品質評価には「言及」が必要
  3. オンライン・オフラインの様々な活動により言及を集める
  4. WOVN.io を活用した海外 SEO の取り組み事例
  5. Q&A

鈴木:
本日は、グローバルサイト、コーポレートサイト、EC サイト、ブログなど、サイト種別やターゲットの国に関係なく成り立つ、以下についてお話しします。

  • エンティティとは何か、検索とどのように関わり、なぜ重要か
  • E-E-A-T とエンティティの関係
  • エンティティを Google に認識させるために重要な言及(Refer・Citation)とは
  • 言及を集める方法

 

Google は「エンティティ」を関連する情報と共に取得

検索におけるエンティティとは「物事」です。場所、人、物体、抽象的な概念の場合もあります。例えば、サンフランシスコ、サンフランシスコにある建造物のゴールデン・ゲート・ブリッジ、動物のパンダ、パンダが食べる笹、哺乳類、アニメのドラゴンボール、主人公の孫悟空、作者の鳥山明氏、WOVN という企業、いずれもエンティティです。

こういったエンティティを Google はナレッジグラフというデータベースで管理しています。ナレッジグラフは、エンティティ同士の関係やエンティティの持つ情報も全て取得しています。例えば WOVN の場合、企業であること、住所や電話番号、プロダクト、社長といったデータを保有しています。また、Google はテキストを単なる文字情報として捉えるのではなく関連する情報も取得しているため、「Apple」が果物か、テクノロジー企業か、自動車買取企業かを区別できます。

ナレッジグラフのデータが検索結果として表示されたものをナレッジパネルと言います。こちらは私「鈴木謙一」のナレッジパネルです。

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このナレッジパネルの URL は https://www.google.co.jp/search?kgmid=/g/11kbpfq8cc となり、スズキケンイチが数多く存在する中で、私固有の ID が含まれたパラメータ「kgmid=/g/11kbpfq8cc」が付与されています。

各国で検索されると、URLは下記のように変わります。

  • 米国:https://www.google.com/search?kgmid=/g/11kbpfq8cc&hl=en
  • ロシア:https://www.google.ru/search?kgmid=/g/11kbpfq8cc&hl=ru
  • エジプト:https://www.google.com.eg/search?kgmid=/g/11kbpfq8cc&hl=ar

ID は同じです。つまり、国や言語に関係なくエンティティは一意です。

Google トレンドを利用してナレッジグラフを確認することもできます。海外SEO情報ブログと検索するとこちらのように表示されます。

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トピックと表示されているため、エンティティとして認識されていることがわかります。さらに、運営者の鈴木謙一も表示されているため、ナレッジグラフはエンティティ同士の関係も取得していることがわかります。

 

 

経験・専門性・権威性・信頼性に基づく検索品質評価には「言及」が必要

Google は E-E-A-T を兼ね備えているコンテンツを上位表示させようとします。

  • Experience(経験):実体験に基づいたコンテンツがあるか
  • Expertise(専門性):専門家による話なのか
  • Authority(権威性):権威として認められている専門家なのか
  • Trustworthiness(信頼性):経験・専門性・権威性の上に成り立つ=信頼性があるコンテンツなのか

Google は E-E-A-T をスコア化してランク付けしているわけではありません。検索ユーザーの主観的な認識です。想定どおりの検索結果となっているか、ガイドラインに沿った信頼性があるか、世界各地の評価者による採点を Google は実施しています。

E-E-A-T を備えたコンテンツは品質が高いと判断されます。その E-E-A-T の判断の一つに、Wikipedia などの著名で信頼性のあるサイトからリンクか言及(Refer・Citation)されているかというものがあります。リンクはなくても、テキストで触れられていれば言及となります。そして言及の対象は Web サイト名、企業名、商品名、サービス名などで、これらはエンティティです。つまり、言及の対象であるエンティティとしてまず認識されなければ E-E-A-T を判断できません

自分の Web サイトがどのように言及されているかを調べることができます。

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検索結果上の3点リーダーをクリックして表示される「ソースについて」から、自分の Web サイトがどのページで言及されているかを調べられます。「このページの詳細」より、さらに詳しく見ることもできます。

さらに厳密に調べる場合は intext: という特殊検索コマンドも使えます。その際、外部サイトからの言及を調べるため、-site: で自分のサイトは除外します。

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オンライン・オフラインの様々な活動により言及を集める

エンティティを強化するために、言及はどのように集めれば良いのでしょうか。

オンライン・オフラインそれぞれにおいて、下記の活動を強化・活用しましょう。

【オンライン】

  1. 役立つコンテンツの発信:大前提として有用なコンテンツを発信することが重要です。

  2. 著者紹介:どのような人がコンテンツを作成し、どのような企業が Web サイトを運営しているのか、発信者に信頼性があるかという点で重要です。ニューヨーク・タイムズの刷新した著者紹介ページ「Enhanced Bios」が参考になります。

  3. ソーシャルメディア活用:様々なソーシャルメディアで自社や提供サービス、コンテンツを共有してもらう取り組みも進めてください。

【オフライン】

  1. インタビュー・取材:これらを受ければ知名度が上がり、他のサイトでも言及が発生します。

  2. 出版・寄稿:本の出版も信頼性を高めるために有効です。

  3. 講演:講演内容を紹介するページで言及されます。講演できる仕組みや人材育成を行ってください。

  4. イベント出展:積極的な出展も有効です。

英語圏では、最大のディスカッションフォーラム「Reddit」(掲示板と SNS を融合したような形式のソーシャルメディアプラットフォーム)で情報収集するユーザーが増加しているため、海外 SEO を強化するうえでフォーラムの活用も有効と言えます。Google の検索結果に Discussions and forums という専用のブロックがある国では、Reddit の上位表示が大幅に増加しています。英語圏に展開するのであれば、Reddit 内で自社の公式アカウントからユーザーの質問に答えるなどのサポート活動を行うことで、経験や権威性を示せます。

言及は SEO だけでなく、今後さらに活用されていく生成 AI に対する最適化(GEO=Generative Engine Optimization)にとっても重要になります。大規模言語モデルは膨大なテキストを学習して精度が向上します。その学習の元となるのは Web 上のコンテンツのため、言及を集めることが重要といえます。

 

WOVN.io を活用した海外 SEO の取り組み事例

加嶋(WOVN):
ここからは、SEO を意識しながらどのように自社サイトの多言語対応を進めていくべきか、お話しします。

SEO にはテクニカル SEO(検索エンジンに向けた技術的な対策)とコンテンツ SEO(ユーザーに向けたコンテンツ作りの対策)があります。

テクニカル SEO のポイントは6点です。WOVN.io では次のような設定の一部を自動で、また簡単に対応できます

  1. 各言語 URL の発行
    検索エンジンに各言語のページがあることを認識されるようにするため、サブドメインなどで言語ごとに URL をわけることを推奨しています。

  2. hreflang タグの設
    Web ページがどの言語か検索エンジンが認識するために重要です。

  3. meta タグなどの翻訳
    タイトルやディスクリプションを日本語のままでなく翻訳して設定することが重要です。

  4. XML サイトマップの生成と翻訳
    サイトマップは自社の Web サイトの構造を検索エンジンに伝えるためのものです。Google は一定周期でクロールしています。例えばページを追加・更新した際、サイトマップを送信すると速やかに Web サイトの構造が認識されます。

  5. サーバーサイド翻訳
    サーバーで翻訳データを保有し、各言語のコンテンツが存在していると検索エンジンに認識される必要があります。機械翻訳エンジンを Web サイトに接続して翻訳しただけではインターネット上に翻訳されたコンテンツが存在していると認識されません。WOVN.io ではサーバーサイドでの翻訳が可能で、この点が機械翻訳エンジンを接続しただけの翻訳との大きな違いです。

  6. robots.txt への対応
    自社内だけで使用するページなど、検索エンジンに認識される必要のないページもあるかと思います。このようなページをクロールされないように制御することも重要です。

UX 観点でもテクニカル SEO のポイントが3点あります。

  1. ページスピードの最適化
    ページスピードが遅いとユーザーが離脱する可能性が高まります。これにより Web サイトの評価が下がる恐れがあるため、最適化が重要です。

  2. モバイルフレンドリー
    スマホ社会の現在、スマホにも最適化したページを作成することもポイントです。

  3. セキュリティ担保
    SSL 認証やセキュアな環境かどうかも評価のポイントになります。

以上のようなテクニカル SEO をまずは対策して、次にコンテンツ SEO にも注力していくことが有効です。

コンテンツを多言語で発信する際のポイントは大きく3点です。

  1. 継続的なコンテンツ作成
    最も重要なのは「質」で、ユーザーファーストの姿勢です。最新情報を届け、定期的なリライトをしていく必要があります。これを日本語サイトに加えて多言語でも同様に対応することは困難なため、解決策として WOVN.io をご提供しています。
    国ごとに販売製品が異なる場合や法律に合わせる必要がある場合は、スクラッチで多言語サイトを制作する方が適しているかもしれません。一方、グローバルで発信する内容が同じ場合は、元言語のサイトに WOVN.io のような多言語化サービスを導入すると、時間・予算・リソースを抑えて多言語サイトを運用できます。

    スクラッチと多言語化サービスをハイブリッドで活用されている企業もあります。例えば、掲載内容が異なる日本語サイトと APAC 向けの英語サイトはスクラッチで制作。英語サイトに多言語化サービスを導入して、同内容をベトナム語などの現地語で展開しています。

  2. 翻訳手段をうまく組み合わせる
    機械翻訳とあわせて、固有名刺の辞書登録や、学習させて精度を向上させる AI の活用、人がチェックするポストエディットなど、コンテンツによって翻訳手段を使いわけることもポイントです。

  3. i18n(国際化対応)
    日本語とアルファベットでは文字数が異なり、レイアウト崩れが起こりやすいため調整するなど、国・地域ごとに様々な違いがあるため、対応する必要があります。

※画像はクリックで拡大いただけます

 

続いて、WOVN.io を活用した海外 SEO の取り組み事例を紹介します。

旭化成株式会社 様:エンジニアリングプラスチック製品サイト
5言語対応により、海外からの UU 数は185%増加

素材という商材の特性上、製品名で認知されにくいという課題がありました。そこで技術コンテンツや実験結果をオウンドメディア化し、多言語化されました。グローバルメーカーの技術者が技術情報や実験情報を調べた際に、このサイトにアクセスできたことで認知とお問い合わせ獲得につながっています。

旭化成様の事例詳細はこちら

株式会社松井製作所 様:日本法人向けコーポレートサイト
英語・中国語サイトのアクセス数は2倍に

日本法人がターゲットの Web サイトですが、その日本法人にはグローバル企業が多く、決裁者をはじめ従業員に外国人が増えています。そういった外国人従業員に充実した情報を届けることで顧客になってもらうため、多言語化されました。

松井製作所様の事例詳細はこちら

株式会社一蘭 様:公式サイト
台湾は200%、中国では262%、韓国からは201%とアクセス数増加

外国人旅行者が口コミで興味を持ち、多言語化された Web サイトで一蘭のこだわりを知って、さらに興味を持つという良い循環を実現しています。

一蘭様の事例詳細はこちら

 

Q&A

加嶋(WOVN):
ここからは参加者の方からの質問にお答えいただきます。
SNS での言及でも効果を得られますか?お話しいただいた Reddit の事例の他に、効果的なポイントがあれば教えてください。

鈴木:
インフルエンサーのようなユーザーからの言及の方が認識されやすいという側面はあります。しかし数も重要です。信頼性があるサイトからの言及の方がより認識されやすいですが、数も重要なため、SNS を含め様々なところで言及されることが必要といえます。

加嶋(WOVN):
アフィリエイトサイトのリンクは外部リンクとしての評価対象になりにくいといわれていますが、アフィリエイトサイト内でテキストとして記載されている場合、言及として効果はあるのでしょうか?

鈴木:
言及は、リンクであるかは関係ありません。アフィリエイトサイトのように権威性が高くなくても、言及としては有効です。

加嶋(WOVN):
Web サイトには自社のコーポレートサイトのようなオウンドメディアの他にペイドメディア、アーンドメディアと大きく3つあります。これらを使い分け、質だけにこだわるのではなく多く言及を得ることも大事ということですね。

鈴木:
バランスの良さが大事といえます。言及を集めることは、言い換えるとブランディングです。自分のブランドを認知させることだと考えてください。

加嶋(WOVN):
EC サイトをエンティティとして認識させるために記事コンテンツを作成しています。このコンテンツにブログ名を付けて認識させる方が良いでしょうか。それとも EC サイト内にブログページとして存在させるだけでも良いでしょうか?

鈴木:
どちらでも良いです。EC サイトとしてだけ認識させたければそのままで構いませんし、コンテンツメディアとしても認識させたいのであればブログ名を付けても良いです。SEO 観点ではなくビジネス判断として、EC サイトのみ有名にするのか、メディアとしても有名にするのか、ブランディングの発想で考えましょう。

加嶋(WOVN):
EC サイトで様々なジャンルの商品を取り扱っています。ジャンルを絞ってブランディングを行えば、特定の言及は集められるかと思います。しかしその場合、総合 EC サイトではなく、特定ジャンルの専門 EC サイトとして Google から認識されるのでしょうか?

鈴木:
Google は評価のうえで特定ジャンルの権威性を見ているので、やみくもにコンテンツを発信することは推奨しません。そこで総合 EC サイトでは、ジャンルを分類して発信しましょう。基本的に Google はリンク構造により Web サイトの構造を認識しているので、ディレクトリでジャンルごとに区切るとわかりやすいです。

加嶋(WOVN):
1つのドメインで多言語サイトを運用するのと、言語ごとにドメインをわけるのでは SEO 観点でどちらが良く、どのような差が出るのでしょうか?

鈴木:
サブドメイン、国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)、サブディレクトリのどれでわけても構いません。ただし、Google が認識できない場合があるため、パラメーターで切り替えるのはやめてください。

加嶋(WOVN):
コンテンツ SEO 対応としてユーザーに内容をわかりやすくするために動画や画像を埋め込むとページスピードが遅くなります。テクニカル SEO 対応としてはページスピードの最適化が必要かと思いますが、どちらを優先すべきでしょうか?

鈴木:
ページスピードが遅くならないように、画像や動画を軽量化して埋め込んでください。画像であれば AVIF や WebP などに変換しましょう。動画も圧縮できますし、Lazy Load という遅延読み込みも活用できます。

加嶋(WOVN):
グループ企業や子会社の Web サイト間でも、相互リンクや言及は意味がありますか?

鈴木:
多量にするのは良くありませんが、ユーザーが見て自然な程度であればぜひ行うと良いと思います。

加嶋(WOVN):
鈴木さん、本日はありがとうございました!

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(右から、鈴木氏、WOVN 加嶋)

 

本セミナーの全編は下記アーカイブ動画をご覧ください。

 

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